山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン tale31

TALE31 / 秘密

私たち……これでいいのかしら


■ ローゼンメイデンの本を探す少年

ジュンが、図書館でローゼンメイデンの本を探している少年に出会ったのは、午後1時のことだった。

その少年は、検索用の端末で人形に関する本を探していた。
ジュンが通っている中学校の制服を着ているが、顔に見覚えはない。
学年まではわからないが、少なくとも同じクラスではない。

その事実は、ジュンを安堵させる。


しかし、少年が検索している単語を確認したとき、ジュンの動揺は頂点に達した。
少年は、ローゼンメイデンに関する書籍を探していたのだ。

ジュンは驚いたはずみで、置いてあった缶を倒してしまい、少年に、中に入っていたお茶をかけてしまう。

 「うわっ、すみませッ…」


少年は別に気にしている風でもなかった。
ジュンは、お詫びに、ファーストフードの店で昼食をご馳走することにした。


ややぎこちないジュンに対しても、少年は自然体で気さくだった。

 「制服って雨に濡れてもヘンな匂いにならない?」


いつの間にか、普通の会話を交わしていることに気がつくジュン。


 「どこ中?」

ふと少年が尋ねてきた。

 「この辺だったらさくら中だけど… あ、俺はさくら中」


何気ない質問だが、ジュンが避けたいと思っていた話題だった。
しかし、答えないわけにはいかない。


 「僕も…」

 「うそ! 何年?」

 「に…2年…」

 「なんだ、じゃあ同級生じゃん!」


 「僕…ちょっと一年の頃から…ずっと休んでて」

ジュンは、しどろもどろになる。会話は望まない方向へと進み続けている。

 「…だから知らないと…思…」


あ、と少年は何かに思い当たる。

 「もしかして、桜田くん?」



■ 秘密会議

今日は、桜田家の庭にドールたちが一堂に会している。

 「頼んでた茶菓子は忘れずに買ってきたですか?」


 「そこは、使いぱしり乙女として抜かりないかしらー」

金糸雀は、持参した「カナリアサブレ」をみんなに配る。

 「さえずるおいしさ、『カナリアサブレ』!」


しかし、始まったのはお茶会ではなく「秘密会議」だった。


 「雪華綺晶は人形よりもマスターを狙うわ…」

まず、真紅が言う。

 「次に狙うとしたら…それは私たちのマスター」


 「そう…ですね…」

 「僕も…今のマスターも前のマスターも…両方救いたい」

翠星石と蒼星石も同意する。


 「確かに私たちは、アリスゲームを戦う敵同士よ…けれど」

真紅は続ける。

 「この目的のためだけにおいては、同志とも言えるのではないかしら」


先日、ジュンとみっちゃんは、お互い助けあってドールたちを守っていこうと誓い合った。
このドールたちの秘密会議は、そんなマスターたちに倣って、協力体制を築き、みんなで強力な雪華綺晶からマスターを守っていくという盟約を結ぶために開かれたもののようだった。

以前、まかない世界では、犬猿の仲である水銀燈と真紅の間にさえ共闘の誓いが成立した。
それに比べると、真紅、翠星石、蒼星石、金糸雀の4人は仲も良く、この合従連衡は遥かに容易に思われた。


 「気高き薔薇乙女の名にかけて…互いのローザミスティカにかけて」

元々アリスゲームに否定的で、姉妹で一番争いごとを嫌う翠星石が揚々と誓いを読み上げる。

 「お互いの危機には手をさしのべあうと誓うです…!」


真紅が手を重ね、蒼星石が手を重ねる。
最後に、促されて金糸雀も手を重ねた。


 「誓いを――」



■ 鳥海皆人

 「あの桜田くんなんだよね?」


ジュンは、目の前が暗転するのを感じる。
自分を知っているということは、あの忌まわしい学年集会での出来事を知っているということだ。

記憶がまた、フラッシュバックする。

 「うんそう、その桜田…」


 「すごい…俺4組の鳥海皆人[とりうみかいと]!」

皆人と名乗った少年は、目を輝す。

 「一年の頃からずっと話してみたいって思ってたんだ」


高揚した口調で「嬉しい」と言い、それからジュンに握手を求める。


 「よろしく」

 「――え?」


皆人がジュンと会いたがっていた理由は、いくつかあった。

1つは、2人とも親の職業が古物商であったということ。しかも、ジュンの親はこの業界では有名なやり手らしい。その親の仕事の関係で皆人はローゼンメイデンのことも知り、図書館で関連する書籍を探していたという。
それから、ジュンが不登校の理由になったドレスのデザイン画。多くの生徒が、男子のジュンが女性のドレスをデザインしたことを馬鹿にしたのに対して、皆人はジュンの才能を羨ましく思ったという。


 「めちゃくちゃ感動したし、実はちょっと嫉妬もしたな…」

皆人は胸のうちを明かす。

 「俺にもあんな芸術の才能があったら」


しきりにジュンを羨ましがる。
ジュンは、忌まわしい記憶しかないデザイン画を初めて他人に褒められた。

皆人は「引かれること」を不安に思いながらも、扉を少し開けて自分の中の世界を少し見せてくれたのだ。

引く理由なんてジュンにはもちろんなかった。
他人の世界に招き入れられて、ジュンは世界を共有することの素晴らしさを知る、あるいは思い出す。


  こいつなら、もしかしたら

ジュンも皆人に、ある秘密を打ち明ける決心をする。
皆人に喜んでもらいたい、または一緒に喜びを共有したいと思う。

 「あの…さっきのローゼンメイデンって…実は…」



■ 帰り道

帰り道、ジュンは皆人との会話を思い出していた。
初めて自分の趣味を理解してくれて、憧れさえ抱いてくれる同年代の友人にも出会えた。

それは、これから中学校へ復帰するジュンにとって、大きな勇気となった。

 「このままいけば月曜日になったら、ちゃんと――…」


ローゼンメイデンを所有していることを打ち明けたことで、どんな結果を招くかはまだわからない。
それでもジュンが自分で選んだ道だ、人のせいには出来ないし、自分で受け止める覚悟は出来ている。


同じころ、金糸雀も秘密会議からの帰途についていた。

彼女に似合わない、深刻そうな表情を浮かべている。
アリスゲームよりマスターを優先させる同盟について考えているようだった。


 「確かに…マスターは大切かしら、ずっと守ってあげたいわ、でも…」

金糸雀は、ピチカートに語りかける。

 「私たち薔薇乙女の本分といったら、アリスゲームなのかしら」


それから、いつも1人で戦い、アリスゲームの残酷さを真正面から受け止めている姉の水銀燈に想いを馳せる。

 「こんな時、あの子なら何て言うかしら」


私たち……これでいいのかしら、 いつまでこうしていられるかしら…




次回は6・7合併号(1/6発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ジュンは図書館で、鳥海皆人という名の少年と出会う。同じ学校で同学年のその少年は、ジュンと趣味までも同じだった。自分に憧れているという皆人に、ジュンはローゼンメイデンのことを打ち明ける。一方ドールたちは、雪華綺晶に対抗するために、共闘を誓い合うのだった。



【 今回の考察 】

▼ 鳥海皆人

今回は新しいキャラクター、鳥海皆人の登場です!
新キャラ・鳥海皆人

さくら中学の二年生。学校も学年もジュンと同じ。
さらに親の職業も同じで、ジュンが創作できることを羨ましく思っているという。

あまり影を感じさせない少年だが、それだけ隠れいてる部分も見えづらく、初登場の今回だけでは、つかみきれない登場人物です。

ただ、ジュンが中学校に復帰する上で、キーパーソンになるのは間違いなさそうです。


▼ 金糸雀の意外な一面

金糸雀の意外な一面
いつになく深刻な表情をみせる金糸雀

マスターのみっちゃんとは仲良しで、いつも楽観的で呑気そうにしていて、みっちゃんと過ごす時間を大切にしている金糸雀ですが、やはりアリスゲームの宿命は受け入れているようです。
しかも、姉の水銀燈を除けば、姉妹の中で一番真摯に受け止めているようにみえます。


水銀燈は、とても真面目な性格でアリスゲームを一人で正面から受け止め、残酷な宿命を自分の中に受け入れている。いつも体と心を疲れさせていて、それを隠すために表面を偽悪的に装う。

金糸雀は水銀燈より器用に立ち振る舞うことができる。他の姉妹とも仲が良いし、アリスゲームという避けがたい宿命を受け入れつつ、平和な日常を謳歌することもできる。


他の姉妹も、アリスゲームの残酷な宿命を知っているし受け止めているが、この長女と次女のアリスゲームへの向き合い方は、深刻さの度合いの違いを感じさせる。
ローゼンメイデンシリーズの最初の2体、水銀燈と金糸雀だけが知っている、あるいは直接見聞きしたものがあるのかもしれない。




<TALE 31>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年2号 / 12月9日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: ジュン、真紅、金糸雀、翠星石、蒼星石、New!鳥海皆人



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 30
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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