2013年2月12日、「山と高原地図」(昭文社)のAndroid版が登場しました。
「エアリア」と呼び親しまれ、ガイド地図の代名詞ともなっている「山と高原地図」がiOS版に遅れること約1年、ついにAndroidアプリとしてもリリースです。
なので、「エアリア」が電子化された、と言ったほうがピンと来るかもしれません。
アプリ自体は無料です。 Google playでダウンロードできます。
アプリには最初は地図データが含まれておらず、個別に欲しいエリアを購入していくことになります。 1エリアにつき450円。
アプリのダウンロード(無料) → Google play : 山と高原地図
* * *
地図をダウンロードする時はネット接続が必要ですが、データを端末に落としこんでしまえばオフラインでも地図は利用でき、使用時は電波状況を気にする必要はありません。
最新の2013年度版をダウンロードできるというのも嬉しいです!
さらに、GPSを搭載してるスマホやタブなら、地図上で現在地を知ることができたり、歩いたルートのログを記録することもできます。
* * *
既にiOSで1年近く稼働しているので(iOS版は2012年4月リリース)、メニューや操作方法などアプリとしての使い勝手はほぼ完成されている観はあります。
アプリをダウンロード、インストールしただけの状態では何もできません。
別途、地図データを購入・ダウンロードする必要があります。
とりあえず、用意されている無料サンプル地図の「サンプル版・高尾山」をダウンロードしてみました。
[エリア選択] → [地図の購入・ダウンロード]
と進み、地図の購入をします。
ダウンロードした地図データは、SDカード内の
/Android/data/jp.mappleon.android.yamatokogen/files/download/
に格納(格納フォルダは、機種によって若干異なる?)。
このようにデータはローカルに格納されるので、圏外でも地図を使うことができます。
ダウンロードしたサンプルマップを開いてみます。
上の画像が拡大・縮小なしの時の通常の大きさ。
コースタイムや水場、登山口へのアプローチ方法など、紙版と同じ情報が地図上に記載されている。
文字も読みやすいです。
ただ、やはり一画面で見られる範囲が狭い。
「山と高原地図」は徒歩移動に使用するのが前提なのでこの範囲でも問題ないし、フリックで簡単に範囲を移動させられるので周囲を見ることも苦ではないかもしれないが、画面をスクロールさせると距離感が掴みにくくなってしまうかもしれない。
また、山で手袋を着けた状態や湿気の多い状態でスムーズに動作させられる保証もないです。
* * *
なので、次は地図を縮小させて、一画面で見られる範囲を広げてみます。
画面の左下に拡大と縮小のアイコンがあり、またピンチでも縮小操作を行えます。
これが縮小させて、一度に見られる範囲を最大化させてみたところ。
ちょっと暗くした部分が、広がった分の領域です。
文字は読みづらくなり、また正直、思ったほど広域を見ることができない。
・地図は縦表示(ポートレート表示)固定で、端末を横にしても回転しません。 これはバージョンアップで変更されていくかもしれません。
・またナビソフトみたいに、進行方向を上に固定することはできません。
アプリ自体はよくできているのですが、タブやスマホといった端末の限界を感じさせられる。
というより媒体による差異があるのは当然で、紙媒体と電子媒体、それぞれの特性と得手不得手を把握することが大切なのかもしれません。
紙の地図に完全に取って代わることはできないけど、電子媒体ならではの強みもあります。
電子版と紙版との比較。
それぞれの長所と短所を把握することで、併用の大切さも分かり、短所を補い合い両者の長所を活かせる方法を見つけられるかもしれません。
● GPSで現在地がわかる、ルートが記録できる。
→ 現在地やGPSロガー機能だけでしたら無料のYamaNaviや山旅ロガーなどでも取れますが、使い慣れている「山と高原地図」上で可能というのがすばらしい。
● 1エリア450円と安い。
→ 紙媒体では950円するので半額以下です。 通常の電子書籍は紙本と値段があまり変わらないことが多く、それを思うと良心的な価格設定です。 すばらしい。
● 可読性に劣る、一度に見られる範囲が狭い
→ 7インチタブでも厳しく感じたので、もっと表示領域の狭いスマホなら尚更かも。
● 液晶画面の宿命
→ 性能が上がってるとは言え、やはり日中の屋外で液晶画面は見づらいです。 稜線上は眩しいので余計に。 夜はヘッドランプなしで見られるからいいかも!?
● 操作性の悪さ
→ 広げただけで使える紙地図と操作性を比較するのは酷です。
● 端末のバッテリーを消費を気にする必要がある
→ 電子機器の宿命。 モバイルバッテリー等、余計な荷物も増えるかもしれない。
● 温度や湿度などの条件によって、端末が使えない場合がある
→ マイナス20度や30度が当たり前の冬山では、端末が使えないこと前提で。
● 付録冊子が付いていない、未収録
→ テントで暇な時などに眺めるあの冊子がないのはさみしいです。
● Androidのバージョンが2.3以上、機種によっては対応していない
● 携行性の悪さ
→ 電子「山と高原地図」だけのためにタブやスマホを持っていくわけではないと思うので、これは関係ないかもしれない。 端末と紙地図とを比較すると重量があり収納にも気を使うので、携行性の悪さも一応加えておきます。
「山と高原地図」が1エリア450円という価格はお手軽で魅力的ですし、アプリを入れて損なしだと思います。
使い方なのですが、公式には紙と併用しろとあるし、それが確実で理想的なのは間違いありませんが、必ずしもそんなことをする必要もないのかもしれません。
というのも、地形図と違って「山と高原地図」はあくまでガイド地図であり、実際はなくても山行には差し支えないものですので。
このアプリがあるから遭難が減ったり、あるいは事故が増えるという大層なものでもないです。
楽しみを広げられるというだけのツール、程度と捉えておいた方がいいかもしれません。
ですから、ガイド地図が大活躍してくれる山行(例えば、あまり馴染みのない山域での一般ルートの縦走)には、ぜひ紙版とこの電子版の両方を持って行きたいです。
従来の紙媒体で得られるコース状況やタイム、水場の位置、エスケープルート、交通機関へのアクセスなどの重要な情報に加え、電子版を併用することで、お馴染みのエアリアマップ上に現在地を取るという楽しみ方が追加されるので。
地図に関しては、1/25000の地形図(紙媒体)とコンパスだけはどんな場合でも必ず持っていくことを心がけて、それ以外は自分の判断でいいのだと思います。
【関連リンク】
■ 商品紹介 : 山と高原地図 マップル・オン
→ http://mapple-on.jp/products/yamachizu/
■ Google play : 山と高原地図
→ https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.mappleon.android.yamatokogen
「エアリア」と呼び親しまれ、ガイド地図の代名詞ともなっている「山と高原地図」がiOS版に遅れること約1年、ついにAndroidアプリとしてもリリースです。
ちなみに、「エアリア」という名称はとっくの昔に廃止されています。 にも関わらず、年配の方だけではなく現役の大学生も使っていたりするので、その浸透力に驚きです!!
なので、「エアリア」が電子化された、と言ったほうがピンと来るかもしれません。
アプリ自体は無料です。 Google playでダウンロードできます。
アプリには最初は地図データが含まれておらず、個別に欲しいエリアを購入していくことになります。 1エリアにつき450円。
アプリのダウンロード(無料) → Google play : 山と高原地図
* * *
地図をダウンロードする時はネット接続が必要ですが、データを端末に落としこんでしまえばオフラインでも地図は利用でき、使用時は電波状況を気にする必要はありません。
最新の2013年度版をダウンロードできるというのも嬉しいです!
さらに、GPSを搭載してるスマホやタブなら、地図上で現在地を知ることができたり、歩いたルートのログを記録することもできます。
* * *
既にiOSで1年近く稼働しているので(iOS版は2012年4月リリース)、メニューや操作方法などアプリとしての使い勝手はほぼ完成されている観はあります。
アプリ画面
準備編
アプリをダウンロード、インストールしただけの状態では何もできません。
別途、地図データを購入・ダウンロードする必要があります。
とりあえず、用意されている無料サンプル地図の「サンプル版・高尾山」をダウンロードしてみました。
[エリア選択] → [地図の購入・ダウンロード]
と進み、地図の購入をします。
ダウンロードした地図データは、SDカード内の
/Android/data/jp.mappleon.android.yamatokogen/files/download/
に格納(格納フォルダは、機種によって若干異なる?)。
このようにデータはローカルに格納されるので、圏外でも地図を使うことができます。
マップ表示
ダウンロードしたサンプルマップを開いてみます。
上の画像が拡大・縮小なしの時の通常の大きさ。
コースタイムや水場、登山口へのアプローチ方法など、紙版と同じ情報が地図上に記載されている。
文字も読みやすいです。
ただ、やはり一画面で見られる範囲が狭い。
「山と高原地図」は徒歩移動に使用するのが前提なのでこの範囲でも問題ないし、フリックで簡単に範囲を移動させられるので周囲を見ることも苦ではないかもしれないが、画面をスクロールさせると距離感が掴みにくくなってしまうかもしれない。
また、山で手袋を着けた状態や湿気の多い状態でスムーズに動作させられる保証もないです。
* * *
なので、次は地図を縮小させて、一画面で見られる範囲を広げてみます。
画面の左下に拡大と縮小のアイコンがあり、またピンチでも縮小操作を行えます。
これが縮小させて、一度に見られる範囲を最大化させてみたところ。
ちょっと暗くした部分が、広がった分の領域です。
文字は読みづらくなり、また正直、思ったほど広域を見ることができない。
その他
・地図は縦表示(ポートレート表示)固定で、端末を横にしても回転しません。 これはバージョンアップで変更されていくかもしれません。
・またナビソフトみたいに、進行方向を上に固定することはできません。
総評
アプリ自体はよくできているのですが、タブやスマホといった端末の限界を感じさせられる。
というより媒体による差異があるのは当然で、紙媒体と電子媒体、それぞれの特性と得手不得手を把握することが大切なのかもしれません。
紙の地図に完全に取って代わることはできないけど、電子媒体ならではの強みもあります。
電子版と紙版との比較。
それぞれの長所と短所を把握することで、併用の大切さも分かり、短所を補い合い両者の長所を活かせる方法を見つけられるかもしれません。
紙版「山と高原地図」と比較して、電子版の良いところ
● GPSで現在地がわかる、ルートが記録できる。
→ 現在地やGPSロガー機能だけでしたら無料のYamaNaviや山旅ロガーなどでも取れますが、使い慣れている「山と高原地図」上で可能というのがすばらしい。
● 1エリア450円と安い。
→ 紙媒体では950円するので半額以下です。 通常の電子書籍は紙本と値段があまり変わらないことが多く、それを思うと良心的な価格設定です。 すばらしい。
紙版「山と高原地図」と比較して、電子版の悪いところ
● 可読性に劣る、一度に見られる範囲が狭い
→ 7インチタブでも厳しく感じたので、もっと表示領域の狭いスマホなら尚更かも。
● 液晶画面の宿命
→ 性能が上がってるとは言え、やはり日中の屋外で液晶画面は見づらいです。 稜線上は眩しいので余計に。 夜はヘッドランプなしで見られるからいいかも!?
● 操作性の悪さ
→ 広げただけで使える紙地図と操作性を比較するのは酷です。
● 端末のバッテリーを消費を気にする必要がある
→ 電子機器の宿命。 モバイルバッテリー等、余計な荷物も増えるかもしれない。
● 温度や湿度などの条件によって、端末が使えない場合がある
→ マイナス20度や30度が当たり前の冬山では、端末が使えないこと前提で。
● 付録冊子が付いていない、未収録
→ テントで暇な時などに眺めるあの冊子がないのはさみしいです。
● Androidのバージョンが2.3以上、機種によっては対応していない
● 携行性の悪さ
→ 電子「山と高原地図」だけのためにタブやスマホを持っていくわけではないと思うので、これは関係ないかもしれない。 端末と紙地図とを比較すると重量があり収納にも気を使うので、携行性の悪さも一応加えておきます。
Google playでの注意書き
・バックグラウンドでルート記録を行う機能はバッテリーを多大に消費します。万が一の場合の連絡手段を確保するため、バッテリーを節約する設定を推奨します(設定方法はアプリ内のヘルプ参照)。
・バッテリー切れに備えて、必ず書籍地図と併用してご使用ください。
・バックグラウンドでルート記録を行う機能はバッテリーを多大に消費します。万が一の場合の連絡手段を確保するため、バッテリーを節約する設定を推奨します(設定方法はアプリ内のヘルプ参照)。
・バッテリー切れに備えて、必ず書籍地図と併用してご使用ください。
まとめ
「山と高原地図」が1エリア450円という価格はお手軽で魅力的ですし、アプリを入れて損なしだと思います。
使い方なのですが、公式には紙と併用しろとあるし、それが確実で理想的なのは間違いありませんが、必ずしもそんなことをする必要もないのかもしれません。
というのも、地形図と違って「山と高原地図」はあくまでガイド地図であり、実際はなくても山行には差し支えないものですので。
このアプリがあるから遭難が減ったり、あるいは事故が増えるという大層なものでもないです。
楽しみを広げられるというだけのツール、程度と捉えておいた方がいいかもしれません。
ですから、ガイド地図が大活躍してくれる山行(例えば、あまり馴染みのない山域での一般ルートの縦走)には、ぜひ紙版とこの電子版の両方を持って行きたいです。
従来の紙媒体で得られるコース状況やタイム、水場の位置、エスケープルート、交通機関へのアクセスなどの重要な情報に加え、電子版を併用することで、お馴染みのエアリアマップ上に現在地を取るという楽しみ方が追加されるので。
地図に関しては、1/25000の地形図(紙媒体)とコンパスだけはどんな場合でも必ず持っていくことを心がけて、それ以外は自分の判断でいいのだと思います。
【関連リンク】
■ 商品紹介 : 山と高原地図 マップル・オン
→ http://mapple-on.jp/products/yamachizu/
■ Google play : 山と高原地図
→ https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.mappleon.android.yamatokogen
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『岳人』 2012年3月号
第1特集は「山スキー2012」。 恒例のバックカントリーのエリア・ルートガイドです。 37ページとボリュームがあり、エリアも北アや北海道、西日本など多岐に渡っている。 新しい発見はないけど、なんとなく手元に置いておきたくなる、そんな感じの特集です。
第2特集は「東日本大震災から1年」で、放射能による影響を考えるというもの。 この特集は流し読みしても構わない気もしますが、この中の”汚染から身を守る山歩きの注意点”という記事は、汚染されていると思われる山域で個人として注意すべき点(採水時や山菜などを採る際の注意点など)を具体的に記述していて、読んでおいて損はない気もします。
「電子国土基本図で変わったこと」は興味を引く読み物でした。 2007年に公布・施行された「地理空間情報活用推進基本法」、これに伴って変化している地形図をとりまく環境を紹介している記事です。 去年くらいから話題になっている送電線や50m以下の橋が記載されないという話は、国土地理院のサイトで提供されている電子国土基本図でのことで、当分の間は紙の地形図に変化はないであろうと予測している。 ただし電子国土基本図が主幹となっていくので、これに記載されないことになった項目については、今後、紙の地形図でも更新されなくなってしまう可能性はあるという。
この記事の執筆者は、地形図の大きなユーザのひとつである登山界がこの問題を掌握しているのか疑ってしまうほど反応が鈍い、とも言っている。 確かに地形図は一度買うとあまり買い換えないし、GPSの普及で相対的に依存度が低くなっているが、それでもいざという時一番頼りになるのは地形図である以上、執筆者の言う通り、その記載内容が変更されることにはもっと敏感になる必要があるのかもしれません。
→ 国土地理院サイト > 地図・空中写真
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
『岳人』 2012年3月号
定価 800円 (762円+税)
発行 2012年2月15日 発売
出版社 東京新聞
今月号の満足度: ★★★★☆
(山スキー特集を組んでる号はやっぱりお買い得な感じがします、個人的に)
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『山と渓谷』 2012年3月号
特集は「単独行読本」。 こういう特集では、単独行(や山行)になんとか意味を持たせようとするけれど、大抵は後付けでもっともらしい理由がコジツケられだけの、白々しい内容になってしまう気がします。 なので、座談会で”単独行の楽しみ方”というテーマでしゃべっていても全然面白くありません。 今回の大西氏の単独行ルポは、文章も生き生きしているし実録ならではの迫力もあり、この方が直截的に語らなくてもよほど単独行の魅力が伝わってきます。
編集の仕方にもう一工夫が欲しい特集でした。
山の小物インプレッションは今回で最終回。 目の付け所が結構良くて、ひそかに楽しみだっただけに残念です。 今回とりあげるのは「財布」。 ラインナップされたのは、いずれも薄くてコンパクトの2つや3つ折りタイプです。
山で使う財布は普段生活で使ってるものでもいいと思いますが、普段の財布に足りない機能や不要な部分も分かってきて不便を感じるようになったら、この記事を参考に、山用財布を用意するのもいいかもしれません。
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
『山と渓谷』 2012年3月号
定価 1,000円 (952円+税)
発行 2012年2月15日 発売
出版社 山と渓谷社
今月号の満足度: ★☆☆☆☆
(今回の単独行の特集は趣旨が曖昧すぎると思います)
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
- 関連記事
今回は、国土地理院発行の「2万5千分の1の地形図」(以下、地形図)についてです。
地形図を使いこなすのは、やはり実践あるのみ。
講習会に参加するのが一番手っ取り早く確実だと思います。
なので、この記事では使い方ではなく、その前段階の磁北線の引き方や地形図の折り方の準備についての一例を紹介してみます。
ついでに、結構悩む地形図の保管方法も紹介です。
この辺は人や山岳部・山岳会によって教え方も様々ですし正解はないと思うので、選択肢の1つとして読んでいただければ幸いです。
2万5千分の1の地形図
地形図に関して山行前にやっておくことは、
1,地形図の入手
2,その地形図に磁北線記入
3,地図の末端処理 / 折る
です。
上記の作業に必要なもの:
地形図、定規、分度器(正確に角度を図れるもの)、ペン(細くて滲まないもの)
分度器、定規、ペン
枚数が多いと、結構手間と時間がかかります。山行前のドタバタ時にこの作業が残ってると泣きたくなります・・・ぜひ余裕をもって!
当然、これらは地形図を購入後に一度だけやれば良いことで、次に同じ地形図を使う山域に行くときはこの作業は必要なくなります。
逆に言うと、磁北線を引いた地形図は何度も使うことになりますので、手を抜かないできちんとやることをオススメします。
また、コピーをとるのであれば、磁北線を引いたあとがおすすめです。
地形図をコピーして持参すれば、書き込むことも出来ますし予備にもなります。
実際に進むルートと、万が一のためのエスケープルートもカバーする範囲の地形図を購入。
長期縦走では10枚を越えて、結構な枚数になる。
購入は、大型書店や山用品店などで。
1枚270円です。
店員さんが、折れないように丸めてくれる
買ってきた地図にペンで磁北線を引きます。
→ 磁北線とは
磁石は実際の真北(地図上の北)を差さず、西に少しずれた北磁極を差します。
地図に記入した、この磁気偏角を表した線を磁北線といいます。
つまり、コンパスを楽に使うために必要な線です。
地形図には「西偏」の角度が記されていて、これに従って磁北線を引いていきます。
地形図に記された西偏角度、ここでは6°30′
分度器などを使って、西偏角を記入していきます。
ペンは製図用の細くて滲まないものがオススメ。
線の入れ方は人それぞれですが、自分は4cm間隔で全面に引いていきます。
磁北線を記入した地形図
この「4cm間隔で全面に引いていく」ことのメリットは、2万5千分の1地形図上の4cmというのが実際の1kmに相当するので、距離の目安にもなるという点です。
デメリットは、地形を見るとき磁北線がちょっと邪魔になること。なので、出来るだけ細くて滲まないペンが良いです。
これで初めて「使える」地形図となりました!
自分はこの方法を最初に教わって、不都合もないので継続しています。
ですがもちろん、この辺は慣れてきたら自分なりの方法で引いていけばいいと思います。
折り方も自由です。
要は、携帯しやすく使いやすければいいのです。
自分は、畳んだ状態でも必要な情報を得られるオーソドックス(?)な“4×2”面になるような折り方をします。
まず、地図記号の説明や縮尺の書いた部分は不要なので折り込みます。
なるべくコンパクトにしたいので、地形が印刷された範囲だけにするわけです。
それから、末端を処理。
末端処理は必要ないので面倒だったらやらなくていいかも。
自分は習慣的なものなのでやっていますが。
不要部分を折りこんで末端処理が終わったら、一度長辺を谷折りにします。
そのあと両翼を山折にします。
これで、表も裏も地図が見える状態になります。
持ち運びやすいように真ん中で折って完成です。
これだと全部広げることなく、必要な情報が得られます。
地図は専用のケースを購入してもいいですが、個人的には透明なジップつきの袋で十分な気はします。防水で、地図を袋から出さなくても確認できれば良いわけですから。
また、折り方に興味があったら、インターネットででも書籍ででも調べてみてください。
宇宙区間でパネルを開くときにも使われるミウラ折りとか、いろいろ出てきます。
山へ行けば行くほど、地形図は増えていきます。
そこで悩むのが、地形図の保管や収納です。
あまり大事なことではないので教えてくれる人も少ないですが、結構他の人がやってる方法が気になるのも事実です。
収納時のポイントをざっと思いついただけ挙げてみると、
・欲しい地図がすぐに見つかる。
・なるべく広げて保管し、折り目で地形図を傷めたくない。
・日常生活では使わないので、あまり場所をとりたくない。
などなど。
8分の1の状態で保管するのが楽ですし実際そうやっていたのですが、これだと折り目の印刷部分が掠れてきてしまいます。
かと言って、書店の地形図が置いてある引き出し棚みたいのは大きすぎて論外です。
本棚の上に置いて保管
今使ってるのは、東急ハンズで買ったプラスチックのケースです。
2つ折りでも、楽々入る大きさです。
山域とごとにクリップで留めて、保管しています。
比較的コンパクトで、折り目も最低限、目的の地図を探すのも楽です。
まあ、あくまで一例ということで、参考にしていただければ幸いです。
読図は、講習会参加が望ましいです。
講習会に参加すると机上講習と実技講習で、学ぶことになると思います。
山岳部・山岳会でしたら、1年に1回は読図講習があるので繰り返せますし、有料でどこかの講習会に1回でも参加してやり方を習得すれば、あとは個人で技術を高めていくことができます。
講習会に参加する前の予備知識として、また、その後も自分の知識を補強する意味でオススメの2冊です。
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
『2万5000分の1 地図の読み方』(平塚晶人 著 / 小学館)
(おすすめ度: ★★★★★)
ロングセラーにして、読図手引書の定番。どこの団体の講習会でも大抵この本を薦めているくらい、信頼と実績のある本です。とりあえずこれは買って損なしです。
1998年11月発行。
→ 『2万5000分の1 地図の読み方』(平塚晶人 著 / 小学館)
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
『2万5000分の1 地図の読み方 - 実践講座 -』(平塚晶人 著 / 小学館)
(おすすめ度: ★★★★☆)
『2万5000分の1 地図の読み方』の続編。前作を補い、発展させている。
2010年3月発行。
→ 『2万5000分の1 地図の読み方 - 実践講座 -』(平塚晶人 著 / 小学館)
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
では、安全で楽しい山行を!
地形図を使いこなすのは、やはり実践あるのみ。
講習会に参加するのが一番手っ取り早く確実だと思います。
なので、この記事では使い方ではなく、その前段階の磁北線の引き方や地形図の折り方の準備についての一例を紹介してみます。
ついでに、結構悩む地形図の保管方法も紹介です。
この辺は人や山岳部・山岳会によって教え方も様々ですし正解はないと思うので、選択肢の1つとして読んでいただければ幸いです。
2万5千分の1の地形図
地形図・読図 - 準備編 -
地形図に関して山行前にやっておくことは、
1,地形図の入手
2,その地形図に磁北線記入
3,地図の末端処理 / 折る
です。
上記の作業に必要なもの:
地形図、定規、分度器(正確に角度を図れるもの)、ペン(細くて滲まないもの)
分度器、定規、ペン
枚数が多いと、結構手間と時間がかかります。山行前のドタバタ時にこの作業が残ってると泣きたくなります・・・ぜひ余裕をもって!
当然、これらは地形図を購入後に一度だけやれば良いことで、次に同じ地形図を使う山域に行くときはこの作業は必要なくなります。
逆に言うと、磁北線を引いた地形図は何度も使うことになりますので、手を抜かないできちんとやることをオススメします。
また、コピーをとるのであれば、磁北線を引いたあとがおすすめです。
地形図をコピーして持参すれば、書き込むことも出来ますし予備にもなります。
◆ 地形図の入手
実際に進むルートと、万が一のためのエスケープルートもカバーする範囲の地形図を購入。
長期縦走では10枚を越えて、結構な枚数になる。
購入は、大型書店や山用品店などで。
1枚270円です。
店員さんが、折れないように丸めてくれる
◆ 磁北線記入
買ってきた地図にペンで磁北線を引きます。
→ 磁北線とは
磁石は実際の真北(地図上の北)を差さず、西に少しずれた北磁極を差します。
地図に記入した、この磁気偏角を表した線を磁北線といいます。
つまり、コンパスを楽に使うために必要な線です。
地形図には「西偏」の角度が記されていて、これに従って磁北線を引いていきます。
地形図に記された西偏角度、ここでは6°30′
分度器などを使って、西偏角を記入していきます。
ペンは製図用の細くて滲まないものがオススメ。
線の入れ方は人それぞれですが、自分は4cm間隔で全面に引いていきます。
磁北線を記入した地形図
この「4cm間隔で全面に引いていく」ことのメリットは、2万5千分の1地形図上の4cmというのが実際の1kmに相当するので、距離の目安にもなるという点です。
デメリットは、地形を見るとき磁北線がちょっと邪魔になること。なので、出来るだけ細くて滲まないペンが良いです。
これで初めて「使える」地形図となりました!
自分はこの方法を最初に教わって、不都合もないので継続しています。
ですがもちろん、この辺は慣れてきたら自分なりの方法で引いていけばいいと思います。
◆ 地図の末端処理 / 折る
折り方も自由です。
要は、携帯しやすく使いやすければいいのです。
自分は、畳んだ状態でも必要な情報を得られるオーソドックス(?)な“4×2”面になるような折り方をします。
まず、地図記号の説明や縮尺の書いた部分は不要なので折り込みます。
なるべくコンパクトにしたいので、地形が印刷された範囲だけにするわけです。
それから、末端を処理。
末端処理は必要ないので面倒だったらやらなくていいかも。
自分は習慣的なものなのでやっていますが。
不要部分を折りこんで末端処理が終わったら、一度長辺を谷折りにします。
そのあと両翼を山折にします。
これで、表も裏も地図が見える状態になります。
持ち運びやすいように真ん中で折って完成です。
これだと全部広げることなく、必要な情報が得られます。
地図は専用のケースを購入してもいいですが、個人的には透明なジップつきの袋で十分な気はします。防水で、地図を袋から出さなくても確認できれば良いわけですから。
また、折り方に興味があったら、インターネットででも書籍ででも調べてみてください。
宇宙区間でパネルを開くときにも使われるミウラ折りとか、いろいろ出てきます。
地形図・読図 - 保管編 -
山へ行けば行くほど、地形図は増えていきます。
そこで悩むのが、地形図の保管や収納です。
あまり大事なことではないので教えてくれる人も少ないですが、結構他の人がやってる方法が気になるのも事実です。
収納時のポイントをざっと思いついただけ挙げてみると、
・欲しい地図がすぐに見つかる。
・なるべく広げて保管し、折り目で地形図を傷めたくない。
・日常生活では使わないので、あまり場所をとりたくない。
などなど。
8分の1の状態で保管するのが楽ですし実際そうやっていたのですが、これだと折り目の印刷部分が掠れてきてしまいます。
かと言って、書店の地形図が置いてある引き出し棚みたいのは大きすぎて論外です。
◆ 地形図の保管ケース
本棚の上に置いて保管
今使ってるのは、東急ハンズで買ったプラスチックのケースです。
2つ折りでも、楽々入る大きさです。
山域とごとにクリップで留めて、保管しています。
比較的コンパクトで、折り目も最低限、目的の地図を探すのも楽です。
まあ、あくまで一例ということで、参考にしていただければ幸いです。
地形図・読図 - 使い方編 -
読図は、講習会参加が望ましいです。
講習会に参加すると机上講習と実技講習で、学ぶことになると思います。
山岳部・山岳会でしたら、1年に1回は読図講習があるので繰り返せますし、有料でどこかの講習会に1回でも参加してやり方を習得すれば、あとは個人で技術を高めていくことができます。
◆ 読図に関して、オススメ書籍
講習会に参加する前の予備知識として、また、その後も自分の知識を補強する意味でオススメの2冊です。
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
『2万5000分の1 地図の読み方』(平塚晶人 著 / 小学館)
(おすすめ度: ★★★★★)
ロングセラーにして、読図手引書の定番。どこの団体の講習会でも大抵この本を薦めているくらい、信頼と実績のある本です。とりあえずこれは買って損なしです。
1998年11月発行。
→ 『2万5000分の1 地図の読み方』(平塚晶人 著 / 小学館)
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
『2万5000分の1 地図の読み方 - 実践講座 -』(平塚晶人 著 / 小学館)
(おすすめ度: ★★★★☆)
『2万5000分の1 地図の読み方』の続編。前作を補い、発展させている。
2010年3月発行。
→ 『2万5000分の1 地図の読み方 - 実践講座 -』(平塚晶人 著 / 小学館)
★・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・★
では、安全で楽しい山行を!
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