山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン tale33

TALE33 / 視線

どこか…どこでもいいから


■ 二日目の朝

自宅を出たジュンは、玄関前で巴に出会う。
心配して迎えに来てくれたのだ。

 「昨日、あれから会えなかったから…」


巴はジュンに気を使い、まだ無理をする必要はないと励ます。

そんな思いやりから出た言葉さえも、前日のことで意気消沈しているジュンには、自分に向かってくる刃のように思えるのだった。


 「そういえばね…うちのクラスに転入生がいるの」

巴はそんなジュンの心のうちを感じとり、配慮して話題を変える。

 「本当は2学年年上なんだけど、療養でずっと休んでいたんだって」


その話を聞いて、ジュンは少し気が楽になる。
みんなの興味は、自分なんかより転入生に向くはずだ。


 「桜田くん…知り合い?」

巴は少し迷ったが、結局、転入生の口からジュンの名前が出たことは伝えないことにした。
今の心理状態のジュンにその事実を告げたら、おそらくとても混乱させてしまうことになるだろうから。



■ 視線

二人は校門を通り抜け、昇降口に着く。
巴には先に行ってもらい、ジュンは心の準備を整えてから教室へ向かう。


 「そうだよ、転校生だっているんだ…きっとみんなそっちに目が行ってる」


自分にそう言い聞かせて、教室の扉を開ける。
クラスみんなの視線が一斉にジュンに注がれる。

自意識過剰……のせいではないようだった。
明らかに好奇の目でジュンを見ている。


  …え… なんで…!?

どこか謎めいたところのある転入生・柿崎めぐが、ジュンに会うためにこの学校へ来たと言い放ったことなど、ジュンはこの時点でまだ知らない。

転入生のおかげで自分への興味が逸れるどころか、逆に渦中の人になっていたのだった。


巴がジュンにわけを説明しようとした時、ちょうど先生が教室に入ってきた。

梅岡先生は前年からひき続いて、2学年でもジュンのクラスの担任ということらしい。
点呼が終わり、授業がそのまま始まる。


ジュンは、それで少し救われた。



■ 逃げ場がない

午前中の授業が終わる。

 「やっと昼休み、疲れた…一人になりたい」

そう言って教室を出てみたものの、ジュンには行くあてもない。


階段を歩いているところを、梅岡先生に呼び止められる。
先生は、熱意と善意を持ってジュンと上手く接していけるように努力している、と告げる。

どこかで読んだり聞いたりしたことがあるような文句を熱く語る梅岡先生に対して、ジュンはやりきれない思いを感じる。


  他人の善意も好奇の目も一緒だ

蜘蛛の糸のように、絡みついてくる。
引きこもっていた家を飛び出し檻の外に出たはずなのに、これでは別の檻に飛び込んだようなものだ。

ジュンは息苦しさを覚える。


  逃げ場がない
  どこか…どこでもいいから


特に考えがあったわけでもないが、閉塞感を打ち破りたい一心で階段を駆け上る。
そして、“立ち入り禁止”と書かれた扉を開け屋上へ飛び出す。



■ 屋上の鳥

扉の外には空が広がっていた。
白い雲が浮かび、たくさんの鳥が飛びかっている。


 「鳥?」

よく見ると、それは空を舞う紙だった。
一人の女子生徒が、数十枚の紙をばら蒔くように放り投げていた。


ジュンは、その一枚を拾い上げる。

Welcome

2年6組のみんなから柿崎めぐさんへ
メッセージ


紙を投げている女子生徒は、同じクラスの生徒のようだ。
柿崎めぐ……おそらく、昨日来たという転入生に違いない。


それから、その女子生徒が防護柵を乗り越えて、建物の際に立っていることに気がつく。
行為だけ見れば、飛び降り自殺をしようとしているようにも見える。

しかし、この少女は鳥籠から飛び出したばかりの鳥みたいに、初めて手にした新鮮な自由を謳歌しているようにも見えた。


ジュンは声をかけてみる。

振り向いた柿崎めぐが、ジュンと目を合わす。




次回は20号(4/14発売)掲載予定


【 今回の概要 】
今度は教室に無事たどり着くジュン。しかし、扉を開けるとクラスのみんなが好奇の視線を投げかけてくる。理由が分からず息苦しさばかりを覚えるジュンは、その束縛から逃れるために屋上へ上がってみる。そこで、転入してきためぐと出会う。



【 今回の考察 】

今回は、「外の世界」の話です。
ローゼンメイデンのドールたちが全く出てきません、回想やセリフの中にさえも。

ジュンは自身の手で、自分の世界を外の世界に馴染ませる方法を見つけなければならず、ドールたちもここでは手助けをすることが出来ない。

正確に言えば、即効性のある処世術のマニュアルをジュンに授けることくらい真紅になら出来そうだけど、それではすぐにまた別の壁に突き当たることになり、要するに目の前の壁を先送りしているに過ぎないからやらないだけなのだと思います。
(今回の「梅岡先生のセミナー」のくだりでは、まさにこの考え方の対比となっていて面白いです)

ともかくそういうわけで、今回はドールの出番なしです。


手を差し伸べてくれる巴も皆人もローゼンメイデンがキッカケで友人になったし、これからもドールたちはジュンの支えになってくれるとは思います。しかし、少しずつだけど確実に、ジュンと人形たちの世界が離れつつあることを感じさせる回でした。


▼ めぐ

今回のめぐは、病院のベッドから窓の外を眺めて飛んでいきたいと言っていた頃の、めぐ本人を彷彿とさせる。
謎の多い今現在のめぐですが、めぐの意志のようなものは残っていると思います (完全に雪華綺晶の支配下にあったはずの蒼星石のボディにも思念が残留していて、濃い霧の中で翠星石を逃そうとした時みたいに)。

実は、ジュンがめぐを見るのはこれで2回目。
以前、無意識の海で水銀燈の記憶に触れた際にめぐの顔を見ている。ただし、無意識の海(=意識下)での出来事なので、ジュンが覚えているかは不明。《→ PHASE 29》

水銀燈のマスターがめぐという名前であることはジュンも知っているが、さすがにその「めぐ」であろうとは思わないのだろう。めぐという名前は、あまり珍しくないし。
また、注意深げな巴も気がつかなかったところをみると、めぐは契約の指輪をはめていない模様。


▼ 梅岡先生

ヤングジャンプ移籍後、初めての登場。
ジュンが不登校となるきっかけを与えてしまったのが梅岡先生。

梅岡先生

1年生の頃から、ジュンや巴たちのクラス担任。
悪意とは無縁の人物で、教師として、生徒の長所を伸ばし個性を大切にしたいという理念と目標を抱いている。

ただし、やや独善的なところがあり、その高い理想を支えるのに必要な事柄(例えば、想像力や思いやりといったもの)を欠いたまま、自分の信じる道を突き進んでいる感じがします。
その結果、生徒の心を傷つけてしまい、自分自身もその傷を受けてしまう。

真紅と梅岡先生は、ジュンにとって、それぞれ内と外の世界を象徴している存在。また、考え方やジュンの導き方も対照を成しています。



今回は、ジュンが階段を上っていき、扉を開くと大空が広がるところの描写がすごく好きです! 空気の色や匂いが感じられ、開放感が伝わってきます!!




【 その他 】

コミックス『ローゼンメイデン』第5巻
2011年4月19日(火)に発売!
  ┗ 2011年5月27日(金)に変更! (震災による影響のため)[2011/04/03 追記]

 → http://yj.shueisha.co.jp/info/20110331a/


コミックス「ローゼンメイデン」5巻

・通常版
・特装版 … 宝野アリカとコラボした特別編を収録した別冊つき。

この2種類が同時発売です!



<TALE 33>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年15号 / 3月10日(木)発売
ページ数: 24ページ
登場人物: ジュン、柏葉巴、柿崎めぐ、梅岡先生



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 32
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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