山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン0-ゼロ- 第2階

ローゼンメイデン0-ゼロ- / 第2階

ここは夢と現のはざまの塔だから



すべての始まりは夢からだった。
そこに眠っていたのは、世にも美しい少女…。



■ 12階

この日も坊ちゃんは遥雲閣へ来ていた。
街も人も塔も、いつもと変わらないように見えた。

昇降機ガールが前日から姿を見せない、という話を小耳に挟む。
多くの人にとっては、それも取るに足らない些末なニュースのようだった(明日になれば、全てはまたいつも通りに戻っているのだろう)。

ただ、その昇降機ガールが菊の妹だと聞かされていた坊ちゃんには、少し引っかかるものがあった。


坊ちゃんを乗せたエレベーターは12階に到着する。
ここが塔の最上階で、展望室となっている。

これより上に階は存在しない。



■ 魔法つかいの建てた塔

坊ちゃんは、この12階からの景色が好きだった。

東京の街を一望できるくらいに高かったし、同時に、路地の様子や往来する人たちの背格好もはっきりと認識できるくらいに低かった。
遠眼鏡でのぞきこめば、いつもの日常世界は消え失せ、全く新しい世界が立ち上がってくる。

この展望室は高すぎもしないし低すぎもしない、ちょうど「はずま」のような高度にあった。

この塔を建てた人物は「幻郷」の出現する高さを、きちんと知っていたのかもしれない。


 「魔法つかいが建てたなんて触れ込みも、頷ける」

坊ちゃんは、一心不乱に遠眼鏡の中の世界を覗き続ける。
せっかく開かれた「幻郷」の扉が、閉じてしまわぬように。



■ 夢と現のはざま

やがて日没を迎える。
吹きさらしになっている展望室は、いよいよ風が冷たい。
時間切れのようだった。

この日も、坊ちゃんは薔薇乙女を見つけることができなかった。

下の階の休憩室へと降り、それから自分は少し休んでからいくと言って、付き添いの運転手を先に車に帰す。
坊ちゃんは一人で休憩室の椅子に座り、目を瞑る。


少し眠ってしまったようだ。
気付くと、あたりはすっかり薄闇に包まれていた。
自分の他には誰もいない。

いつかの夢で見た汽車の中の風景みたいだ、と坊ちゃんは思う。
もしかしたらここは、初めて薔薇乙女に逢ったあの夢の続きなのかもしれない――夢と現実が混ざり合うあの領域――。

休憩室にぼんやりと灯りがともり、窓の外は一段と暗くなる。


そして、水銀燈が現れる。



■ 水銀燈

坊ちゃんは薔薇乙女の姿を見てもあまり驚かない。
むしろこの場所では、そうして現れることのほうが自然で当たり前のように思われた。

水銀燈は、そんな坊ちゃんのリアクションに少しがっかりする。
もうちょっと驚いてくれたり怖がってくれたほうが、水銀燈としては主導権を握りやすいから。


坊ちゃんは、自分は薔薇乙女のうちの一人を探し求めている、しかし探しものは君ではない、と水銀燈に告げる。

水銀燈もそれ以上深く追及しない。
この坊ちゃんが姉妹の誰を探してるかは、あまり重要ではないようだった。


 「貴方は夢幻の中に『薔薇乙女』の誰かを探している」

水銀燈は言う。

 「この私もね」


坊ちゃん同様、水銀燈も薔薇乙女の一人を探しているらしい。
探しているのは「第0ドール」、8人目の姉妹。



■ 菊と翠星石の決意

菊は、華の行方不明のことを帰宅した坊ちゃんから知らされる。

心配させまいと平静を装ってはいるけれど、誰よりも妹の華のことを知っている菊が動揺していることは、翠星石にも伝わってきた。


菊は、明日は休みをもらって遥雲閣へ行ってみるつもりだと言う。
翠星石もその手助けをしたいからと、同行を申し出るのだった。




次回は2016年5月号(4/19発売)掲載予定


【 今回のあらすじ 】
遥雲閣に通い詰める坊ちゃんの前に水銀燈が現れる。水銀燈もまた薔薇乙女の一人を求めて、この塔に辿りついたという。探しているのは第0ドール。一方、妹の華が姿を消してしまったと聞かされた菊も、手がかりを追って、翠星石と共に遥雲閣へと向かうことになった。



【 今回のローゼンメイデン 】

第1話の時点でいろいろと謎が出てきたので、今回の第2話で少しは状況が整理されると思いきや、逆にさら広がっていき、絡まった糸がますますこんがらがってしまったような印象を受けました。
物語はいよいよ複雑な様相を呈してきました(もちろん良い意味で)。

今回は水銀燈の登場と、そして「第0ドール」が衝撃的でした。



▼ 水銀燈

『Rozen Maiden』『ローゼンメイデン』に続きこのシリーズでも、水銀燈は2番目に登場した薔薇乙女となりました。

水銀燈は起承転結の「承」の役割を担っているようで、彼女の登場によって物語がさらに広がっていく印象を受けます。

第2階 水銀燈登場


今回、水銀燈は「第0ドール」をストーリーに持ち込みます。



▼ 第0ドール

水銀燈は「第0ドール」を探していると言う。
第0ドールが既に登場していてる誰かなのか、全くの新しいキャラクターなのかは不明。

物質の器を持たない(「ジャンクにもなれない哀れな幻影(→ TALE 10)」の)雪華綺晶のことを言ってるのかとも思いましたが、水銀燈は「8人姉妹」と明言しているので、少なくとも既出のローゼンメイデン7姉妹の誰でもないのは確かなようです。

もちろん水銀燈の思い違いにすぎない可能性もありますが、彼女はその存在を強く確信しています。


◇ 「第8ドール」ではない8人目の薔薇乙女

8人目のローゼンメイデンが、「第8ドール」ではなく「第0ドール」であることは不思議です。

そして「第0ドール」の存在を知っているのは、おそらく第1ドールである水銀燈だけだと思われます(少なくとも、今回「七姉妹」と言っていることから、翠星石は第0ドールの存在を知らない)。

翠星石と水銀燈(と読者)
8人目の存在を知っているのは水銀燈だけ?


以上の点から推測できることの1つは、水銀燈が作られた直後、初めてお父様の箱庭世界に連れてこられた時に、そこで「第0ドール」の姿を目にしたのかもしれない、ということです。
と言うのも、もし街や森で突然見知らぬドールが水銀燈の目の前に現れて、その相手がローザミスティカを持つローゼンメイデンだと分かったら、まず新しい妹「第8ドール」と考えるのが自然なので。というか、もしこれが過去編なら、まだ水銀燈は雪華綺晶の姿を見てないということになるので、その新顔が「第7ドール」であると考えるはずです。

第7や第8ではなく、やや飛躍して「第0ドール」であると水銀燈が確信したのなら、その確信に至るシチュエーションというのはかなり限定されてくると思われます。


もし、最初の薔薇乙女であるはずの自分よりも先に姉が存在していたということになれば、水銀燈にとってはかなり衝撃だったと思います。そして長い間、他の姉妹にも話さず共有もできず、重大な秘密と不安を一人で抱え込んでいたということになります。


その他、ローゼンメイデン・シリーズの大腿部内側にはナンバーが刻印されていますので、水銀燈がそれを見た可能性も考えられます。


◇ 第0ドールと13階

そもそも序数詞ではない 0 をナンバリングしたドールというのは、今回坊ちゃんが言った通り、本来であればおかしいですし成り立たない気もします。

ただ「序数としての0」に関しては、例えば、イギリスなどヨーロッパの多くの国では「Ground Floor」の概念がありますが、これは建物によっては「0階」と表記されることもあるようです。考え方の違いから来るものですので、日本人にしてれみば0階なんておかしな感じですが、それを使う国の人たちにとっては当然の感覚なのだと思います。

さて、もし遥雲閣十二階に0階があってそれを含めて12階だと言ってるのだとしたら、日本での数え方では遥雲閣の最上階は13階ということになり、ここに、ないはずの13階が出現します。

もちろん、遥雲閣は日本の建物ですから12階は12階ですし、作中での13階出現はそういう意味ではありませんでしたが、茫洋とした第0ドールのイメージを何とか掴むために(便宜的に0を序数として用いている)「Ground Floor(0階)」という考え方を持ち込んでみるのも、1つの手がかりになるのかもしれません。



▼ 十二階 ――魔法つかいの建てた塔――

◇ 展望室からの眺め

十二階の展望室に上がりそこから遠眼鏡で覗くことで、いつものよく知っている世界が全く違った世界に見えてくる、と坊ちゃんは言います。

「別の世界から見た現実世界」というのは真紅が『第0世界』で状況を説明した時のセリフですが、これに通じるものがあるようにも思えます。 《→ 『Rozen Maiden』PHASE4》

RozenMaiden Phase4 第0世界
『Rozen Maiden』Phase4の第0世界


◇ 夢と現のはざまの塔

坊ちゃんはまた、遥雲閣を「夢と現のはざまの塔」と表現します。

そして夢と現の「はざま」というのは、プラスのマイナスの「はざま」に位置する 0 という数字を彷彿とさせます。
『ローゼンメイデン0』では既に「出現(プラス)」と「消失(マイナス)」が頻出していますが、それらがこの遥雲閣を起点としているところも興味深いです。

数字がプラスとマイナスを行き来するには、どうしても「0」というポイントを通過する必要があるのと同様に、遥雲閣にも何か「出入り口」的な要素があるのかも・・・とか。



▼ 出現と消失

状況整理もかねて、少しだけ書き出してみました。

□ 本来は存在しないはずなのに、世界に出現したもの
・ 薔薇乙女
・ 遥雲閣の13階
・ 第0ドール
・(坊ちゃんの夢の中に出てきた紳士)
・(12階展望室から覗く遠眼鏡の中に出現する「幻郷」)

□ 存在すべきなのに、世界から消えてしまったもの
・ 菊の妹・エレベーターガール華
・(翠星石の記憶、鞄、蒼星石)
・(人工精霊) ← 単に描く必要がなかっただけの可能性大



▼ 坊ちゃんの探している薔薇乙女 = 真紅

水銀燈の登場や第0ドールの存在でますます謎が深まった今回第2階ですが、判明したこともあります。
その1つが、坊ちゃんの探している薔薇乙女は真紅であるということ。

坊ちゃんは夢の中で真紅を見てから、すっかり心を奪われたという。
以後、本当に存在するかも分からない薔薇乙女について熱心に調べ始めます。

今回、水銀燈は何か思惑があるのかないのか、坊ちゃんの薔薇乙女探しの手助けをすると申し出ます。もし彼の探しているのが真紅だと知っていたら、また少し違ったことになってたかもしれません。




<第2階>
掲載: ウルトラジャンプ 2016年4月号 / 3月19日(土)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: 菊、坊ちゃん、運転手さん、翠星石、水銀燈
備考:



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階


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ローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階

ローゼンメイデン0-ゼロ- / 第1階

マキマスカ・マキマセンカ



 「これが気になるのでございましょう」

その日、僕は奇妙な紳士と出会った。
今となっては、それが夢だったのか現実だったのかも分からない。


 「良いですとも、あなたにならお見せしましょう」

そう言って、男は持っていた鞄の蓋を開ける。

 「この愛おしい薔薇乙女(ローゼンメイデン)を」



■ 屋根裏の人形

場面は変わり、大正時代の東京。
大きなお屋敷で女中として働く少女の菊は、上京して日も浅く、まだ仕事にも慣れていない様子だった。

ある日、菊は大切な皿を割ってしまい、ガラクタ置き場となっている屋根裏部屋を一人で掃除するように申し渡される。
そこで、まるで生きているような精巧な造りの人形を見つける。

すっかり魅せられた菊は、憑りつかれた様にこの人形を自分の部屋に持ち帰る。



■ マキマスカ・マキマセンカ

他の土地や国から来たばかりの人たちがよくそうしてしまうように、菊もまた、自分の話し方が周りと違うことを気にしていた。
仕事が終わったあとに時々、菊は部屋で一人、東京言葉の練習もしているようだった(そして、語尾に「です」を付けるとたちまち、全てを東京言葉に変えてしまうというスゴイ裏技も発見していた)。


この日の菊は一人ではなかった。屋根裏で見つけた人形を相手に、発声と自己診断をしてみる。
実のところ菊は、自分で発見した「です」を付けるという裏技の効能に最近、少しずつ疑念を抱き始めていた。自分はなにか重大なミスを犯しているのではないか、と。

ともあれ菊は人形に話しかける、呼びかけてみる。


その時、タグのついた鍵のようなものに気付く。
ゼンマイだ。
まるで菊の呼びかけに応じて、ゼンマイが現れたようにも見えた。

タグには、“マキマスカ・マキマセンカ” という呪文のような一文が記されている。

人形の背中に穴を確認した菊は、ゼンマイを差し込み、巻いてみる。



■ 届け物

菊の働くお屋敷には、坊ちゃんと呼ばれる青年がいる。
坊ちゃんはどこか儚げだった。何かを探し求めているような、遠くだけを見つめているような眼差しをしていた。

菊は密かに、この坊ちゃんに想いを寄せている。


 「そうだよ、坊ちゃんにこの忘れ物を届けておくれ」

朝、突然坊ちゃんへのお使いを言い渡される菊。
坊ちゃんと話をするチャンスではあるのだけれど……。

坊ちゃんはもともと体が弱く外出を控えがちだったが、このところは毎日のように、別段用事もないのに遥雲閣へ通いつめているという。
当然、女中の間で様々な噂や憶測が飛び交うことになる。


坊ちゃんを乗せた車は路肩に停まって、菊の到着を待っていた。
菊は忘れ物の風呂敷包みを手渡す。
その時、ちらりと包みの中身が見える。
ありがとう、と言って坊ちゃんは車窓の中から受け取る。全ては事務的だ。

女中に対しても物腰が柔らかく丁寧だけど、心ここにあらずという印象だった。
坊ちゃんは遥か遠くだけを見ている……。

渡した包みの中身が遠眼鏡(双眼鏡)だったことも、なにか関係してるのだろうか、と菊は考える。



■ 翠星石

ぜんまいを巻くと、屋根裏で見つけた人形は動き出した。
そして、そのままベッドの下に走り去ってしまった。

おそらくはそういう仕掛けのカラクリ人形なのだろうけれど、一方で、まるで人形には意思があって、驚いて逃げてしまったようにも菊には見えた(もしこの人形に人間みたいな意思があったら、こちらの話もしっかり聞いてくれるのに、という菊の願望がそう錯覚させたのかもしれない)。

いずれにしても今の菊は、話を聞いてくれる相手が欲しかった。
腑甲斐無い自分や対照的にモダンで華やかな妹のことへの愚痴をぶちまけても、静かに受け止めてくれて、優しい言葉を探してきてくれる……間違っても自分を罵ったりなんかしない、そんな相手が。

その点、愛らしくていかにも大人しそうなこの人形は打ってつけの相手のように思えた。

しかし、この人形は翠星石だった。



■ 薔薇乙女

『薔薇乙女(ローゼンメイデン)』、それが坊ちゃんの探しているものだった。
そして、この屋根裏の人形こと翠星石がその薔薇乙女だという。

翠星石は人形ではあるけれど、自分の意思で動くし話もできる、キャラメルもムシャムシャ食べる。
どうやら、かなり特別な人形のようだ。
坊ちゃんが『薔薇乙女』を必死に探すのも、少し分かる気はする。

一方で謎も残る。


 「僕の探しているものはもっと途方もない」

食後のコーヒーを飲みながら、坊ちゃんは言った。

 「ずっと遥か遠くにいるんだ」


坊ちゃんは、自分の屋敷のガラクタ置き場にこの人形が存在していることを知らなかったのだろうか。
そもそも、たまたま名前が一緒なだけで、坊ちゃんの探してる『薔薇乙女』がこの翠星石であるとは限らない。坊ちゃんが探しているのは人形などではなく(菊的には一番考えたくないことだが)、本当に薔薇乙女と呼ばれる人間の女性なのかもしれないのだから。

いずれにせよ菊は、そこまで踏み込んだことを訊ける立場にはない。

おそらくこれからも坊ちゃんは双眼鏡を持って遥雲閣の最上階(12階)の展望室へ通い続けるし、菊は離れた場所からそれを見送るしかないのだ。
遥雲閣の天辺から、坊ちゃんはどんな景色を見ているのだろう……。


そのころ、遥雲閣ではささやかな異変が起きていた。



■ 13階

夕暮れ時、最上階で客を降ろした遥雲閣のエレベーターの中には乗務員の華だけが残された。
終業間際で客も無く、つい気が緩む。

ふと上に目をやった華は、文字盤に見たことのない13番目の数字が浮かび上がっていることに気付く。

エレベーターの函は存在しないはずの13階に接続し、その扉を開こうとしていた。




次回は2016年4月号(3/19発売)掲載予定


【 今回の概要 】
大正時代のお話。大きな屋敷で女中として働く菊は、屋根裏で一体の人形を見つける。ゼンマイをまくと、この人形はまるで生きているように動き出す。翠星石と名乗るこの人形は、屋敷の坊ちゃんが探し求めている薔薇乙女とも何か関係がありそうだった。



【 今回のローゼンメイデン 】

ついにローゼンメイデンの新シリーズ、スタートです!
とにかく嬉しいです。

『Rozen Maiden』(アルファベット表記) → 『ローゼンメイデン』(カタカナ表記)
に続く、新シリーズのタイトルは『ローゼンメイデン0-ゼロ-』。


▼ 大正時代

今回の舞台は大正時代。

時は大正時代


この時代設定は意外でしたが、もっと意外だったのは、大正時代の雰囲気がローゼンメイデンと妙にマッチしているということ。「カラクリ人形」とか「舶来品」とか、そういう単語の1つ1つがことさらにしっくり来ます。


凌雲閣(作中では遥雲閣)も登場。
今後、重要な舞台の1つになりそうな予感です。
 → 凌雲閣の写真 <国立国会図書館所蔵写真帳から>


当時のキャラメルの価値
 → 森永ミルクキャラメルの歴史年表|森永製菓


ちなみにローゼンメイデンのシリーズは2002年にスタートしたので、今年で14年目。大正時代に直すと、もう来年にはこの時代が終わり、次の昭和が控えてるということになります。



▼ 翠星石

今回、唯一登場する薔薇乙女は翠星石。

翠星石とキャラメル
究極の少女アリスを目指す・・・それが薔薇乙女!


ただ、鞄に収まっていないことや人工精霊のスィドリームがいないこと等、不自然な点も多々見受けられます。
いつの時代も行動を共にしていたという双子の妹の姿もなく、また、最初は記憶もありませんでした。
誰かと契約しているのかも不明。


たとえば、まかなかった世界からまいた世界への帰り道、翠星石は足を滑らせて転落してしまいましたが《→ TALE 26》、そういう事故が起きたのかもしれません。

ローゼンメイデンTALE26 翠星石の滑落
nのフィールドはいろいろな時代、世界へとつながっている <TALE26より>

今後の展開と合わせ、気になります。



▼ 菊と華

屋根裏部屋の掃除中に翠星石を見つけ、ゼンマイを巻いたのが菊。
今回はこの菊と翠星石を中心に、ストーリーが展開しました。

菊には華という妹がいます。もしかしたら双子の姉妹なのかもしれません。
華は、当時の花形職業だというエレベーターガールをやっていて、今回のラストでは不思議な現象に遭遇します。

そういうわけで次回は、華も大きくストーリーに絡んで来そうな感じです。

菊と華
キクアンドハナ



▼ 坊ちゃん

薔薇乙女(ローゼンメイデン)を探し求める青年。
記憶のない翠星石がこのお屋敷にいたのは、あるいは、薔薇乙女を呼ぶ坊ちゃんの声が聞こえて、呼び寄せられたからなのかもしれません。

しかし坊ちゃんは未だ翠星石の存在を知らず、毎日双眼鏡を持って塔の展望室へ通っています。
(もしこの時代に金糸雀がいたら、傘で空中散歩している彼女の姿を双眼鏡で目撃できたかも?)

この坊ちゃんも、重要な登場人物の一人であることは間違いなさそうです。

坊ちゃん
坊ちゃん(菊視点)

坊ちゃんとは別に旦那様と呼ばれる方もいるみたいで、そちらが屋敷のご当主様なのだと思います。
翠星石がいたのは、この旦那様のガラクタ置き場。



▼ 新シリーズ0-ゼロ-

今回始まった「0-ゼロ-」と前シリーズとの関係も気になります。
独立した外伝的なものかもしれませんし、前シリーズへとつながっていく話かもしれません。逆に、前シリーズからの続きかもしれない。

というのも、ローゼンメイデンの世界には「nのフィールド」があって、時代や場所を飛び越えることができてしまい、大正時代だからと言って「過去の話」とは限らないので。


これも次回以降が待ち遠しいです。



▼ 押絵と旅する男

今回の冒頭、汽車の中で2人の男がやりとりするシーンから十二階への話の流れは、江戸川乱歩の『押絵と旅する男』を彷彿とさせます。というかおそらく、オマージュなのだと思います。

ちょうど今年で著作権が切れて青空文庫で無料公開されていますし、短編なので気軽に読めます。
瞼に焼き付くような鮮やかな場面描写が印象的です。

 → ◇青空文庫 『押絵と旅する男』 (ファイル形式:txt、html)

 → ◇曇天文庫 『二銭銅貨・人間椅子 他41編』 (ファイル形式:mobi、epub)


仮にこの短編小説のとおりだとすると、冒頭のシーンは今回より数十年後の未来の話で、年老いた奇妙な紳士のほうが坊ちゃん(の弟)ということになりますが・・・。うむ、この辺は意識せず気楽に。



▼ ウルトラジャンプ 2016年3月号

ウルトラジャンプ 2016年3月号 thumbnail

今回のローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階が掲載されたのは『ウルトラジャンプ 2016年3月号』(集英社)。
この号は、ふろくも充実しています。

ふろくの1つミニクリアファイルは、家電の説明書や保証書などを収納するのに便利なA5サイズで、実用的でもあるのですが、使うのがもったいないくらい綺麗です。


また、懸賞のプレゼントもあります。
ウルトラジャンプ本誌に付いてるハガキで応募します。
応募締切は、2016年3月18日(金)(当日消印有効)。

ウルトラジャンプ 2016年3月号 懸賞応募 thumbnail



次回も楽しみです!!



<第1階>
掲載: ウルトラジャンプ 2016年3月号 / 2月19日(金)発売
ページ数: 35ページ
登場人物: 菊、華、坊ちゃん、お敏さん、翠星石
備考: カラー扉、表紙、ふろく、プレゼント懸賞



[ 関連ページ ]
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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7月19日、「ローゼンメイデン」 の小説版 『ローゼンメイデン ツヴィリンゲ』 が発売されました。


ローゼンメイデン ツヴィリンゲ


「ツヴィリンゲ([独] Zwillinge)」 は 「双子」 の意味だそうです。
このタイトルと表紙の絵からも分かる通り、翠星石と蒼星石を主人公とした書き下ろし小説です。 執筆は久麻當郎さん。




ローゼンメイデン ツヴィリンゲ



結菱一葉は昔の夢を見る。
自分から半身と1つの可能性を同時に奪った光景が、再び目の前で繰り広げられる。

夢は強い力を持つようだった。
痛みを過去のものとして見えない場所に隠すことを許さない。
怠ることなく手入れされている鋏の刃のように、
時間が経っても錆びることなく、鋭く心の樹に新しい傷を刻みこむ。

結菱一葉は夢に搦め捕られて身動きできなくなる。
どこへも行けない・・・。



内容


翠星石と蒼星石、それにそのマスターたちの話です。

「夢の悪用」 を企てる結菱一葉に対して、翠星石と蒼星石の意見は相違し、やがて2人は袂を分かつことになる。 これは Rozen Maiden 本編で描かれる通りなのですが、原作で描ききれなかったその辺りの細部を補足しつつ、独自のエピソードも加えて展開してきます。

もう一つ、小説版オリジナルとして翠星石と蒼星石の過去も描かれます。


スピンオフもそうですが、こういう原作のある作品からの派生ストーリーというのは、書ける範囲が相当限定されると思います。 なにしろ自由に使えるスペースは、今まで原作で描かれていなくてこれからも描かれないであろう範囲だけ、なのですから。 そういう縛りの中で 「きゅうくつさ」 を全く感じさせず、自然に描かれるているところがまず素晴らしいです。

それでいながら、与えられた領域を最大限に利用して、登場人物たちは可能な限り自由にダイナミックに動きます (体操の床競技選手たちが、ラインオーバーしないギリギリまで最大限に床を使って、華麗な演技を繰り広げるみたいに)。

使用できる領域を正確に見極めていて、かつ登場人物たちもよく把握していないとこうはいかないはずです。 執筆された久麻さんという方は、ローゼンメイデンを相当読まれている方なのだと思います。


この小説を読んだあとにもう一度、本家コミックスを読み返してみると、小説で書かれていることが原因になって本家で事件が起こってるみたいな、そいういう逆転現象的な感覚に陥ります。 つまり、それだけうまく書かれた話なのだと思います。


目次


  序章 n=0 序
  1章 n=1 覚醒
  2章 n=2 開花
  3章 n=3 意志
  4章 n=4 策略
  5章 n=5 戦闘
  番外編 n=√2 呪い人形


本編は n=1 から n=5 まで。
n=0は序章で6行の詩、n=√2はおまけ的な番外編です。


2つの舞台

主に2つの時代が舞台となります。

1,メイン舞台となるのは現代の日本で、結菱一葉がぜんまいを巻き、蒼星石と契約するところから始まる。

2,もう1つの舞台として、中世か近世頃のヨーロッパが描かれる。 翠星石と蒼星石の昔のマスターたちの話だ。 回想という形ではあるけれど、n=2 では丸々、n=3 でも半分くらいのページが費やされている。



舞台1・現代日本 / 薔薇屋敷の結菱氏

翠星石と蒼星石、結菱氏の話です。
本編であまり描かれなかった結菱氏について多く語られます。


ローゼンメイデンの登場人物、特にマスターたちは個性の強い人間が多いのですが、結菱氏に関してはかなり印象が薄い気がします (旧アニメ版の蒼星石マスター(柴崎元治)の印象が強いせいもあるかもしれませんが)。 復讐するために蒼星石を利用するつもりだったのに逆に救われて、蒼星石が斃れた後は温厚な紳士に戻り、やがて雪華綺晶に精神を連れ去られてしまって退場・・・だけみたいな。

結菱一葉
蒼星石のマスター・結菱一葉


そのように本家で描写が少ない人物なので、原作設定に抵触しない範囲内で書かかなくてはいけない小説版にはうってつけの人物なのかもしれません。 ただし、この小説版ではそれだけには留まらず、本家の結菱像にも積極的に干渉し、原作では描ききれなかったところも補足します。

例えば、冒頭部分では夢に苦しめられる結菱氏が描かれます。 この描写によって、原作本編での彼の行動を知っている読者は 「苦しめられているが故に結菱氏は夢の力を知っていて、だからこそ、夢の庭師の力を使って復讐することを考えた」 と結びつけることができると思います。

また小説版では、結菱氏と翠星石の関係は思っていたほど険悪ではなく、翠星石も結菱氏が抱える悲しみを理解はしていた、という風に描かれます。 原作では、蒼星石を失った後は翠星石が結菱氏の元にしばしば足を運び一緒にお茶をする場面が描かれますが、その原作での描写にも一層の説得力が与えられた気がします。


最終章 n=5 では、Rozen Maiden本編に繋がっていきます。
自然な形で小説オリジナルの脚色も加わっていて、翠星石の 「ちょい腹黒人形」 ぷりも遺憾なく発揮されていて見どころです。


舞台2・昔のヨーロッパ / 若き皇帝とガラス職人

回想という形で、翠星石と蒼星石の昔のマスターの話も描かれます。

ヨーロッパのとある帝国の皇帝ルドルフと簒奪を企てる皇弟マティアス、それにガラス職人を目指すレオシュの話です。

この時代では蒼星石は皇帝ルドルフと、翠星石はレオシュとそれぞれ薔薇の契約を結んでいます。

ルドルフはヨーロッパの広域を支配する帝国の若き皇帝で、政治よりは芸術に興味があるみたいです。 ルドルフには弟がいて、その弟は兄に取って代わろうと野心を抱いています。

翠星石が契約を結んでいるガラス職人レオシュは、腕の良い職人だけどちょっと頼りなさげです (どこかジュンに似ている気がします)。

モデル

ルドルフとマティアスは実在の人物をモデルにしたみたいです。
ルドルフ2世(Rudolf II.,1552 - 1612年)とマティアス(Matthias, 1557 - 1619年)で、wikipediaによるとルドルフ2世は文化人で多くの芸術家や学者、錬金術師を援助したそうです。

もちろんローゼンメイデンのドールが作られた時代は不明です。 あくまで名前や設定を借りてモデルにしただけで、小説で描かれるのは当人たちではありません。


兄弟・双子

両方の時代の蒼星石のマスターに共通しているのは 「兄弟・双子」 です。
兄弟・双子が 「対」 として描かれ、「もう一人の自分」 との同一化や入れ替わりがモチーフになっています。

皇帝ルドルフは、弟マティアスに簒奪されるという形で入れ替わりが行われます。
結菱一葉は本編にも描かれている通り、双子の弟・二葉に成り代わり、事故死した弟に代わって生き続けます。


  「マティアスはマスターに追いつこうと必死になっている。いや、取って代わりたいようだ」
  「そんな……兄弟なのに……」
  「でも、僕らドールズも姉妹なのにいつか争う運命にある」


                    (『ローゼンメイデン ツヴィリンゲ』 p.55 より)


            *       *       *

翠星石と蒼星石は一対の双子ドールですが、似た者同士というよりは、目の色が象徴するように鏡合わせのように反転している存在です。

この双子のローザミスティカは姉妹たちの中で唯一、相手との互換性があります。
ローザミスティカはローゼンメイデンのドールたちにとって最も大切なもので、ともすれば自分の存在意義やアイデンティティさえ決定づけるものです。 そのローザミスティカが交換可能であることは、自分の存在が相方のスペア (もちろんその逆も然り) で半身に過ぎず、あらかじめ代わりの用意されている不完全な存在であることを意味する、と当人たちが受け取ってしまうのも無理からぬ話なのかもしれません。 岡目にはやや乱暴な考え方のように見えますが、当人たちにとっては深刻な問題のはずです。

小説の中で、翠星石が妹の蒼星石と服を交換して入れ替わるというシーンが描かれますが、なかなか感慨深いです。

翠星石はその事実を (少なくとも表面上は) 平然と受け入れていますし、それどころか、双子の妹に何かあった時には自分のローゼミスティカを役立てられるので喜ばしく思っているようにも見えます。
蒼星石もそういう翠星石が好きなのだと思いますが、一方で双子の姉とは違う存在であろうとして、自分が双子の 「片割れ」 であることを必死に否定します。 意識して否定すればするほど、ますますその念に呑み込まれていき、気がついた時には身動きが取れないほどがんじがらめにされていました。

蒼星石は自分の世界の破壊を望んでいて、そんな時に結菱氏に出会ったのだと思います。 結菱氏と契約した時には既に蒼星石は 「死」 を覚悟していた、そんな気がします。


蒼星石が 「影との戦い」 を一身に引き受けてくれたおかげで、同じ双子であるにも関わらず、翠星石はそういう苦悩とはある程度無縁でいられたのかもしれません。




書籍について



ローゼンメイデン ツヴィリンゲとコミックス9巻
ツヴィリンゲとコミックス9巻


紙質や大きさは、ヤングジャンプコミックス 「ローゼンメイデン」 と同じです。
並べても違和感ありません。

本を開くと、カラーのイラストが織り込まれています。
イラストは、オールカラーで電子化する時に使われる手法でデジタル彩色されているみたいです。


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あと、おまけでしおりがついています。

しおり
しおりは表と裏で2コマの漫画みたいで、コミカルな仕様です





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 定 価 :840円([本体 800円] + 税)
 発売日 :2013年7月19日
 著 者 :久麻 當郎 / 原作・表紙イラスト :PEACH-PIT
 発行所 :株式会社 集英社

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