山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

ローゼンメイデン tale39

TALE39 / 疑惑

何かがおかしい、何かが狂い始めてる


■ みっちゃんの身に起こったこと

みっちゃんの身を案じて急ぎ帰宅した金糸雀は、そこで手から血を流すみっちゃんと水銀燈の姿を目にする。
その2つの事実が意味するところは・・・。


 「どういうことかしら、水銀燈…」

金糸雀はヴァイオリンを構え、戦闘体勢に入る。

 「いくら貴女でも…」


 「違うのよ、その子じゃないの」

みっちゃんはあわてて金糸雀を制止する。
その子は何もしてないの。

そう言ってみっちゃんは、ことの顛末を話す。


仕事から帰ると、見覚えのない人形が一体、コレクションの中にまじっていた。恐怖心より好奇心(抱っこしたい気持ち)が勝り、みっちゃんはその人形に手を伸ばした。


 「手を伸ばしたら、いきなりガブ!って噛みつかれて」

怪我はかすり傷だから心配ない、とみっちゃんは付け加える。

咄嗟のことで驚き動けなくなったとろこへ、今度はクローゼットからもう一体別の人形が現れた、とみっちゃんは言う。


 「それが銀ちゃんだったの」



■ まるで異物が紛れ込んだように


 「ちょっと出る場所を間違っただけよ…」

と水銀燈は言った。


nのフィールドから戻ってくる際、かつてめぐがいた有栖川大学病院の316号室へ出た・・・つもりだった。ところが、その部屋のベッドでは真紅のマスターであるジュンが寝ていた。
場所を間違えたと思い、次こそはとめぐに繋がる扉を探してみた。しかし、やはり次も「ハズレ」で、なぜかこのみっちゃんの家に出てきてしまったという。

 「マスター違いで、ここに繋がったようね」


水銀燈が姿を現すと、みっちゃんに噛み付いた「先客」の人形は姿を消した。
もしその人形がみっちゃんを狙っていたのだとしたら、結果的に水銀燈がみっちゃんを守ったことになる。


 「その人形って…水銀燈も見たのかしら? まさか雪華綺晶…」

 「いいえ、あれは彼女じゃなかったわね」


水銀燈は雪華綺晶ではなかったと断言する。

みっちゃんも、その紛れ込んでいた人形が金糸雀や水銀燈、その他のローゼンメイデンのドールとは異質なものであると確信していた。
根拠はある。ドール・マニアでもあるみっちゃんは、素材や造形、メイクの違いなどから、同一の人形師による作ではないと判断していた。
あるいは、全く別の目的で作られた人形・・・。


 「…何かがおかしい、何かが狂い始めてる」

と水銀燈は言った。
まるで異物が紛れ込んだような違和感がある、と。


それから機転を利かした金糸雀の提案で、みんなで食事をとることにする。
みっちゃんは水銀燈と出会えたことが嬉しそうだったが、頬をすり寄せるのを我慢していた。
一同の話題はジュンが入院したということにも及ぶ。

もっとも、ジュンの怪我は学校で起きたもので、奇妙な符号の一致や事故のタイミングなど腑に落ちない点は残るものの、基本的にはローゼンメイデンたちとは無関係な、人間世界での不運な事故であるとみんなは考えているようだ。


現時点で、ジュンの転落事故にめぐが関わっていることに気づいてる者は存在しなかった。

・・・ただ一人、柏葉巴を除いて。



■ 巴とめぐ


 「あの…いいかな、柿崎さん」

巴は、学校の教室で級友と談笑しているめぐに声をかける。

自分から積極的に人に話しかけることは、巴にとって珍しいことなのかもしれない。
それだけでクラスのみんなが振り向いた。


 「私?なあに? 委員長さん」

めぐは相変わらず笑みを絶やさないが、いつもよりも幾分か温度の低い感じの笑いだった。


巴はめぐを伴って、屋上に続く階段の取り付きまで移動する。
ジュンが倒れていた場所だ(そして、めぐがジュンを踏みつけ、そのあと何かをした場所)。

事故があったので、今は立入禁止の札がかけられている。


 「ここ…ジュン君が倒れてたんだってね、心配だよね」

とめぐは言う。


 「…何を知ってるの?」

巴は、単刀直入に話を切り出す。


めぐは、転校してきた日にジュンに会いに来たと言っていた。怪我をした日の朝、めぐに関連したことでジュンはクラスのみんなから嫌疑をかけられた。ジュンが運ばれたまさにその病室は、長年、療養していた柿崎めぐという少女が入っていた (つまり、めぐが以前女子高に通っていたという話は嘘だ)。

そして謎の事故が起こり、ジュンは謎の眠りに陥った。
ジュンの昏睡状態にめぐが関係していると見なすのは、蓋然性の問題ではなく、もはや必然のように思える。


巴はめぐに問う。

 「あなたは何の目的でここに来たの…?」



■ めぐと白い悪魔との約束

屋上へ続く扉は閉められて、廊下は薄暗かった。
もともと生徒があまり近寄らない場所だが、事故のために封鎖されている現在は全くひとけがない。


 「私もね…お人形を持ていたのよ、黒い人形」

と、めぐは言う。

 「でも今は違う、今持ってるのは白い人形」


人形・・・?


 「黒い天使はもういない、白い子は…白いけど天使じゃないの」

 「ちょっと待って、人形って…」

 「だって誘惑するのは悪魔でしょう?」

 「…何…を言っているの?」


黒い天使や白い悪魔、誘惑・・・この子は何の話をしているのだろう。
それから人形というのは・・・。


 「それで私は、白い悪魔の手を取ったの、少しだけ命をもらって…そのかわりに」

うまく内容を飲み込めない巴に構わず、めぐは話を続ける。

 「あの子の欲しいものを罠にかけて捕まえて持っていってあげる、そんな約束をしたのよ」


その悪魔はジュン、それから巴の命まで欲しがっている。
めぐはそう言うと、巴の手を握る。


 「捕まえた…!」


巴はあわてて、手を振り払う。

雰囲気がおかしい、多分、この子は口からデタラメを言ってるわけではない。
全て本当の話なのだ。


何にせよ、ひとまずこの場を離れなければ危険だ。
巴は走ってその場から立ち去る。


めぐは、そんな巴の後ろ姿を静かに見送っていた。
もはや巴に逃げ場所などない、と言わんばかりに。




次回は47号(10/20発売)掲載予定


【 今回の概要 】
部屋に紛れ込み草笛みつの手を噛んだ見知らぬ異質な人形は、突然出現した水銀燈を見ると姿をくらます。一方、学校では不審を抱く巴がジュンの怪我に関係あると思しきめぐに問い質してみる。めぐは悪魔との約束で、ジュンや巴を捕まえるつもりだと言う。



【 今回の考察 】

アリスゲームの枠を超える大きな力が背後で動いている、そんな予感を漂わせる回でした。


▼ 水銀燈

今回は水銀燈にとって、旧シリーズの最終話でめぐを追って鏡に飛び込んで以来の「まいた世界」ということになります。
(《PHASE 43》掲載が2007年7月ということなので、実に4年ぶり)

そして、みっちゃんとも初対面!

◇ 水銀燈のセリフ 「まるで異物が紛れ込んだようにね」

例えば「まかない世界」におけるローゼンメイデンのような、世界が存在を許さないイレギュラーなものが、「まいた世界」に紛れ込んだということなのでしょうか。

  本来その世界に存在しないもの、してはいけないもの・・・

それが何であるのか、どこから来たのか、どのような目的で来たのか、いずれも現時点で不明です。


◇ 水銀燈の旅

  ・病室の鏡から、めぐを追ってnのフィールドに飛び込む 《PHASE 43》
             ↓
  ・nのフィールドでめぐを探しているうちに、うさぎの穴からまかない世界へ 《TALE 4》
             ↓
  ・真紅と共闘、雪華綺晶を退けたのち、再びnのフィールドでめぐを探す旅へ 《TALE 24
             ↓
  ・ラプラスの魔と思しき者に導かれて、真実の鏡を見る 《TALE 35
             ↓
  ・鏡の中に普段と違う服を着ためぐを見て、まいた世界へ戻る決意をする 《TALE 38
             ↓
  ・最初は316号室の鏡から病室へ、次にみっちゃんの部屋に出てまいた世界へ帰還 《今回》


今回の冒頭でジュンの寝ている病室に黒い羽根を残してきましたが、これがキッカケで、真紅たちもこの病室と水銀燈に関係があると気がつくかもしれません。



▼ みっちゃんの部屋

◇ ワードローブの鏡

みっちゃんの部屋のワードローブの鏡から水銀燈は登場した。
この鏡が、正式なnのフィールドの出入口なのか不明です。

(まかなかった世界の)大学生ジュンの浴室の鏡みたいに、刹那的にうさぎの穴と繋がっただけの、仮の一方通行の出口なのかもしれません。

というのも、水銀燈と違い金糸雀は桜田家へ来るとき外を移動していたし、nのフィールドに入る時も桜田家の鏡を使っていたので。また今回、水銀燈はそこから帰ろうともしていないですし・・・。

それは断定出来ませんが、もし「うさぎの穴」だとしたら、みっちゃんの部屋に水銀燈を導いたのは、やはりラプラスの魔ということになる。

その場合、

  ・みっちゃんを守るため
  ・謎の人形と水銀燈を対面させるため
  ・金糸雀と水銀燈を結びつけるため



などの思惑があると考えられます。
以前、真実の鏡を見せたのが同じくラプラスの魔だとしたら、その時には蒼星石と水銀燈を結びつけているわけですから、どちらにしても水銀燈を孤立させず、他のドール達と組ませようとしているのは確実のようです。

水銀燈まで一緒にさせる必要がある・・・そういう事態が迫っている??


あと1つの可能性としては、謎の人形がnのフィールドからみっちゃんの部屋に侵入するために穴を開通させ繋がったままになっていた、それを水銀燈が気付かず使ってしまい、みっちゃんの部屋に出た、というもの。



▼ 敵か味方か!? 謎の人形


特徴その1 ― 動く ―

  「同じように動く人形ではあったけど」

ローゼンメイデンと同じように動く・・・機械的じゃなくて、生きてるような動き方なのだと思います。
 → ローザミスティカか、それに類するものが入っている。

あるいは、最初の頃に水銀燈が刺客として差し向けた「くまのブーさん」みたいに、他のローゼンメイデンのドールがその人形を操作している可能性もある。
しかし、そのブーさんを操った張本人である水銀燈から見てもそういう感じではなかったみたいなので、その可能性は排除しても良さそうです。

謎の人形は、相当素早く動けるようだ。

謎の人形の動き
まるで忍者みたいな動き!?


特徴その2 ― ローゼンメイデンたちとは異質である ―

  「あっ、あと目はグラスじゃなくてシリコンアイね!
   ウィッグもちょっと変わった素材だったから、モヘアかも」


とみっちゃんは言う。
詳しくは分からないが、要はローゼンメイデンとは異なるということだと思います。

まかなかった世界のジュンやめぐが持っていた「雪華綺晶もどき人形」かもしれない、と予想していましたが、これもまだ分かりません。

水銀燈は一度、真実の鏡の中にめぐがこの人形を抱く姿を見ている。

真実の鏡 - めぐと人形
水銀燈が真実の中に見ためぐと人形

もし同じでも、水銀燈はこのことを金糸雀たちに伝えることはしないと思います。ただ、同じ人形だった場合はめぐのことを思い出し、もうちょっと動揺しそうではある。

 → あの人形ではない可能性の方がやや高い?


特徴その3 ― 噛む ―

  「手を伸ばしたら、いきなりガブって噛みつかれて」

謎の人形には、歯が生えている。

何かを食べるため? 人形として、よりリアルに表現するための造形? 武器? 他に意味がある?(例えば、ドラキュラが血を吸う器官として歯を使っているみたいに)

噛んだ理由は、突然手を差し出された子犬みたいに驚いて噛んだだけなのか、噛むこと自体に何か意味があるのか・・・。


特徴その4 ― 水銀燈の登場により姿を消した ―

謎の人形が水銀燈を見て去った理由として考えられることは、

  ・戦いになった場合、勝ち目がない、勝てるとしても深手を負う覚悟が必要
  ・戦っても勝てる自信はあるが時間がない、無駄にしたくない
  ・既に目的(噛むこと)を達したので、留まる必要がなかった
  ・ドールとの接触はなるべく避けたい (今は正体を明かせない理由がある等)
  ・特に理由はないが、恥ずかしがり屋で思わず逃げてしまった


など。


― 謎の人形とは? 結論 ―

 * 目的は?
 * どこから来て、どこへ逃げた?
 * 自分の意志で来たのか、それとも何者かに使役されて来たのか?

それぞれ考えられる可能性を羅列していくことはできそうですが、あまり意味がないように思えます。

つまり、結局のところ、今の段階では何もわからない。。
既存のキャラなのか新登場のキャラなのか、それすら不明です。

ただ、あまり邪悪さは感じない(なんとなく)。
テンとかヤマネとか、そういう小動物的な印象を受けます。



▼ 柿崎めぐと白い悪魔

少しだけの命と引き換えに白い悪魔の手伝いをする、とめぐは言う。
一晩だけの舞踏会を楽しむシンデレラみたいに、「夢」を見させてもらっているのだと思います。

でもめぐは、その夢が「現実」になればいいとは思っていない。

  「靴なんか拾われて追い掛けられて、シンデレラだって迷惑してたんじゃないかしら」

と、めぐは以前言っていたし 《→ TALE 37》、そして何よりも、水銀燈との契りを忘れていない

一夜限りの宴と割り切っているように見える。


同時にそれは、めぐの意志や自我が奪われていないことを意味する。

めぐが自分の意志で動いているのなら、なぜ、糸をつけられて操り人形のようにされているのでしょうか。

あの糸を通じて「命」が吹きこまれているのか、何かの契約の証なのか、裏切った時の保険なのか・・・いずれにしても、後ろから糸を引いている存在を暗示しているという意味合いもあると思います。



▼ その他

◇ 右目の白薔薇

110922_03.jpg


今回の扉絵に描かれた真紅は、右目が雪華綺晶と同じ白薔薇になっている・・・ようにも見えます。
(コメントで頂いたように、実際は右目と白薔薇が重なっているだけなのかもしれません)

扉絵は本編の展開や伏線を示唆するものではないので、真紅の心配をする必要はないのですが、まかない世界での戦いの最後に雪華綺晶が去っていく時、白い薔薇がポトリと落ちます。 《→ TALE 23

あの雪華綺晶の右目の薔薇は飾りなどではなく、ドールに寄生する独立した存在だったりするのかも、とか今回の扉絵を見てふと思いました。






<TALE 39>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年43号 / 9月22日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: 桜田ジュン、水銀燈、金糸雀、柿崎めぐ、柏葉巴、草笛みつ
備考: カラー扉



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 38
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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ローゼンメイデン tale28

TALE28 / 危機襲来

マスターはどっしりのんびりいきましょ?


■ 日曜日の午後の来訪者

日曜日の午後、草笛みつが突然、桜田家にやってきた。
時刻は3時を少し回っていた。


 「あれが金糸雀のマスター?」

初めてみっちゃんを見る蒼星石が尋ねる。
真紅と翠星石は警戒するように物陰からこっそりと来客の様子を伺っている。
何も知らない蒼星石は、とりあえず2人に倣う。


 「しっ 猛獣に気取られるです」

翠星石が蒼星石を諭す。

 「あの人間、とんだ危険物ですよ」


 「特に私たちドールにとってはね…」

と、真紅も相槌を打つ。


 ふぅん…?

蒼星石は生返事をする。
特に危害を及ぼすような人間には見えない……どちらかと言えば、感じの良さそうな女性だ。


ジュンが紅茶を運んで部屋に入ってくる。

 「ホントにみっちゃんがいてくれて助かったよ…」


ジュンは、ありがとうと言う。
nのフィールド内で雪華綺晶から逃れ、まかない世界と連絡をとることが出来たのも彼女のおかげだった。

気にしなくていい、と言ってみっちゃんは右手を差し出す。

 「仲間でしょ? これからもよろしくね」


ジュンとみっちゃんは固い握手を交わすのだった。



■ 固すぎた握手

 「…ところで」

みっちゃんは握った手に力をこめて言う。

 「新しいローゼンメイデンのドールをお迎えしたとか何とかって…?」


みっちゃんの表情は一変していて、別人のようになっている。


 「なりゆきで一人…」

と、ジュンはおずおず答える。


二人のやりとりを陰から見ていたドールたちが、不穏な空気を察する。

 「やっ やばい流れです、ずらかるですよ」

 「危険だわ 三方向に散りましょう」

翠星石と真紅は慌てた様子で言う。


 「さっきから気配は感じるの…」

みっちゃんは、物陰に潜むドールたちを完全に察知していた。

 「一体…二体……これが三体目…?」


長居しすぎたのだ。真紅たちはもう少し早く、その場から立ち去るべきだった。

 「もう間に合わないわ…!」


 「蒼星石だけでも走って逃げるですよ」

翠星石は妹を逃がそうとする。

 「決して後ろを振り向いては…」


しかし、時はすでに遅かった。
みっちゃんに背後へ回り込まれて、3人のドールは捕まってしまう。


みっちゃんが桜田家に来た目的の1つは、ローゼンメイデンのドールたちを抱っこすることだった。


■ 本題?

抱っことは別に、アリスゲームの現状と今後の対策についてジュンと確認し合うことも、みっちゃんの来訪目的だった。
みっちゃんとて、自分の欲望の赴くままに生きているわけではない。


マスター同士が情報を出し合い、アリスゲームの現状を整理してみる。

まいた世界とまかなかった世界、ジュンとジュン、7人のローゼンメイデンとそのマスターたち、行方知れずとなっている者、動かなくなった者……等々。
それらのことが図にまとめられて、スケッチブックに描かれていく。


 「今の戦況こんな感じ…かな?」

複雑に思えていた状況も、整理して図にしてみると意外と単純なもののように見えた。
と同時に、その図はアリスゲームの本質から離れた辺境を描いたものに過ぎず、どこにも導いてはくれないようにも思えた。そもそも、描き込んだもの全てが正しいとも限らないのだ。


 「どうしたらいいんだろ、早く前に進まなきゃいけないのに…」

と、ジュンは言う。


 「目的はもう決まってるわけじゃない?」

みっちゃんは、途方にくれるジュンの肩に手を載せて励ます。

 「雛苺ちゃんを取り戻すこと……それに」


 今いる子たちをちゃんと守ること!

みっちゃんの言葉が、目的を真っ直ぐと指し示す。


 「アリスゲームだってもう何百年も答えが出ていないんだもの
  マスターはどっしりのんびりいきましょ?」



その後、ローゼンメイデンたちの写真を何枚か撮ってから、みっちゃんは帰途についた。
ドールたちは、ほっと肩を撫で下ろすのだった。



■ 夜の深い時間、月と蒼い影

その晩。

ジュンの部屋に置かれた薔薇乙女の鞄の1つが、静かに蓋を持ち上げる。
ドールの1人が鞄から出てきたのだ。

そっとカーテンが開かれる。
窓から差し込む月の光が、蒼星石の姿を照らし出す。

蒼星石は、少しのあいだ空に浮かぶ満月に近い月を眺め、それから窓の鍵に手を伸ばす。
寝ぼけているのではなく、はっきりと覚醒していることは、彼女の迷いのない動作からも伺える。


と、その時、後ろから声がかけられる。


 「今夜もまた行くのね?」

 「…真紅」


声をかけたのは真紅だった。

 「あの人のところへ…」




次回は46号(10/14発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ジュンと草笛みつ、2人のマスターが再会した。アリスゲームに関わる者同士として、現状を確認して今後について話し合う。具体的に何をすればいいかはわからない2人だったが、ドールたちを守っていくという揺るぐことのない目標を見出す。



【 今回の考察 】

ジュンとみっちゃんの目から見たアリスゲーム
tale28 アリスゲームの図
みっちゃんの書いた現在の状況をまとめた図

この図は、読者にとっても特に目新しいものではない。
強いて挙げれば、雪華綺晶のマスターである(かもしれないと、真紅と翠星石が推測している※1)オディールが、ここでは雛苺のマスターということになっている。もっとも、これはジュンとみっちゃんの持っている情報で描かれた図なので仕方がない。
(※1 雪華綺晶のマスターがオディールという説は、ラプラスの魔が肯定している《…PHASE 42》ので間違いないと思われる)。

しかし、雪華綺晶の指輪やマスターについては謎が多い。

[ 雪華綺晶の指輪に関する謎 ]
・雛苺のマスターを名乗るオディールが登場、指輪を所持《…PHASE 33》。のちに真紅と翠星石は、彼女のはめている指輪は雪華綺晶のものであると推測《…PHASE 42》。
・雪華綺晶はまかなかったジュンに契約を迫ったが、その時に自らの指輪を所持していた《…TALE 14》。
・精神を閉じ込められた結菱氏の手袋の下にも指輪を確認。翠星石は蒼星石のものと推測するが《…PHASE 42》、その後、蒼星石はジュンと正式に契約をしたので《…TALE 15》、昏睡状態の結菱氏が今も嵌めてるであろう本当の指輪の持ち主は不明。

[ 大胆な仮説 ]
雪華綺晶は(偽りの)指輪をいくつも持っている、または作り出すことが出来る

というわけで、結菱氏が今嵌めているのも、雪華綺晶の指輪の1つであるとも仮定。
雪華綺晶の指輪は契約者から力を分けてもらうためではなく、契約者の精神を閉じ込める時に必要なのかもしれない。




【 その他 】

月の満ち欠け
tale27とtale28の月の比較
TALE27とTALE28の月の比較

前回のTALE27と今回のTALE28には、月が描かれています。
月の形に関して全然詳しくないので調べてみました。形としては、TALE 27の月が25日月、TALE 28の月が17日月に見えます。

とりあえず、適当に検索したサイトです。興味があったらご覧ください。
http://kira03.fc2web.com/zatsugaku/002moon.html



<TALE 28>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2010年41号 / 9月9日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: ジュン、草笛みつ、金糸雀、真紅、翠星石、蒼星石



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 27
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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