山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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RozenMaiden newanime tale7

Anime-TALE 7 / 存在した時間

覚えていてジュン、もし私が消えてなくなったとしても・・・


ローゼンメイデン第7話です。

新アニメは全13話だと予想され、ということは今回までで半分が放映されたことになります (ダイジェスト版だった第1話はとりあえず数に入れないものとして)。 残すところもあと6話。

今回は折り返しということで、懐かしい面々もお目見えします!



今回の内容


    ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

<あらすじ>

「世界は変えられる」 とメールの送り主が告げる。 ジュンはその言葉を信じて (あるいは信じたフリをして)、真紅の目を盗み人形を作り続ける。 やがて人形製作は水銀燈の知るところとなるが何か目論見があるのか、ジュンの邪魔をしてこない。 一方、nのフィールドに閉じ込められているまいたジュンも、まかなかった世界で新しい人形が作られていることを知り不安を覚える。


    ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


「夢見るなよ」 という店長の口から発せられた取るに足らないとも思える一言は、真紅たちがいずれこの世界から立ち去ってしまうという事実と相俟って、今のジュンに重くのしかかってきます。

中学時代に体験した 「自分が世界から断絶されている感覚」 は今もなお、ジュンの中で強い影響力を持ち続けているようです。 質量の大きな星みたいに強大な引力を有していて、ことあるごとにジュンを 「あちら側の世界」 へ引きずりこもうとします。


ジュンは中学時代の記憶を否定し履歴から消し去り、今ある世界を変えるために、『新・少女のつくり方』 を作り続けます。



『新・少女のつくり方』



世界から切り離された闇のような世界で 『新・少女のつくり方』 だけが赤い光を放っていてる ―― まるで真っ暗な海底で深海魚が獲物をおびき寄せるために光を発するみたいに、魅惑的に ――


赤く光る『新・少女のつくり方』


            *       *       *

実際のところ、ジュンがメールと 『新・少女のつくり方』 の送り主をまいた世界の自分だと信じているのかは不明です。

というのも、真紅も再三にわたって怪しいと警告してくれていますし、自分にとって都合の良いことばかり言ってくる今回の差出人をジュンも疑っているはずです (最初に真紅を作る時は何かの詐欺だと疑っていましたし、ジュンはわりと用心深いところがあるので)。

それでも (信じてるフリをして?) メールのやりとりを続け、相手にパーツを送らせ続け、人形を作り続けるのは、ジュンがもはや自暴自棄みたいな心理になっているからなのかもしれません。 世界を変えられさえすれば、この際、雪華綺晶という敵っぽい人形でも構わない、みたいな・・・。


『新・少女のつくり方』 の本当の送り主

今回はまいた世界のジュンも登場します。
そこで、メールも 『新・少女のつくり方』 も まいたジュンが送り主ではない ことが判明します。

本当の送り主は・・・まだ不明です。



存在した時間


ジュンの膝の上に座った真紅が絵本を読んでもらいながら、語りかけるシーンは印象的でした。

今、この時間は確かに存在したのだわ

覚えていてジュン
もし私が消えてなくなったとしても、貴方が作ったお人形のことを……この真紅が貴方と過ごした時間のことを……


ここには、真紅のいろいろな想いがこめられていると思います。


1つにはもちろん、真紅の、自分が去ってしまうことでこの世界には何も残らないと思いこんでいるジュンへの願いです。

世界中に知ってもらう必要もないが、ジュンだけには自分が存在したことを覚えていて欲しいと真紅は願います。

たとえ物理的な器が消滅したとしても、思い出や記憶を持ち続けることが消えゆく相手にとっても、そして自分自身にとってもおそらく意味のあることだ、と真紅は言います。
雛苺のやさしさや気高さを絶対に忘れまいとする、真紅自身の気持ちの表れでもあるように感じられました。


            *       *       *

もう1つ、ジュンの前回の質問に対しての補足的な意味もあると思います。

前回第6話で、ジュンの 「過去を変えて今を変えるために、何かできることはないか」 という質問に対して、その時は冷然と事実のみを伝えた真紅ですが、今回は真紅自身の考えも示します。


過去をなかったことにすることはできない、それは確かに存在したことだ、とりあえず事実として受け入れなければいけない。 その上で、共存や適切な距離の取り方を模索していくというやり方もある。

と、真紅は言いたかったようにも思えます。

原作旧シリーズ 《Rozen Maiden PHASE 23》 で、やはり真紅がジュン (まいた世界・中学生) の膝の上に座り語るシーンがあり、今回はその繋がりと捉えることができると思うのですが、その時に語った内容を考えるとそのように推察できると思います。


Rozen Maiden Phase23より まいたジュンと真紅
《Rozen Maiden PHASE 23》 より まいたジュンの膝の上で語る真紅


《PHASE 23》 ではこのジュンとのやりとりのあと、真紅が苦手な相手・水銀燈との対話を持ちます。 つまりジュンに語っているのと同時に、自分自身に対しても言い聞かせていたのだと思います。


            *       *       *

話は戻りますが、まかなかった世界の大学生のジュンは、何も知らない店長につまらないことを言われただけで、確かに存在した斉藤さんとの絆もあっさり否定してしまっています。 またその他にも、ジュンは自分へよせられる思いやりや好意に対しても鈍感なところがあるようです。

真紅はジュンに対して、そういう確かに存在する他人からの思いを感じとって、もっと自分の中に受け入れていくべきだ、とも言いたかったのだと思います。


想いや出来事を文字 (=形あるもの) として残すという行為は、まさに人形師ローゼンが 「究極の少女」 という仮説的な概念を、形あるものにしようとローゼンメイデンを作った行為を彷彿とさせられます。

「なぜ人間は形あるものとして残そうとするのか」 という真紅の問いは 「なぜお父様が自分たちを作ったのか」 という問いでもあったように思えます。



            *       *       *

そういう 『ローゼンメイデン』 のストーリーとは関係なく、この場面は個人的に好きです。
実際に覚えることのある 「いつの日か、この時を、懐かしさとかやるせなさを伴って思い出すことがあるんだろうな」 という予感が、うまく表現されていたと思います。



ジュンと水銀燈


真紅の 「存在した時間」 の話の後もジュンは人形を作り続けますが、この時はもう、藁にもすがる思いとか世界を変えるとかそういう目的ではなくなっていたかもしれません。 何かを作りたい・完成させたいというジュンの中のマエストロな部分が彼を創作行動にかき立てていだけ、だと思いたいです。

とにかくも、そうやって人形を作り続けているところを水銀燈に見つかります。


一刻も早くめぐ探しを再開したい水銀燈ですが、nのフィールドへ戻ることもできない以上、できることもなくひたすら受身的に変化を待ち続けていたわけですが、ジュンの人形製作の事実を知り、真紅同様に雪華綺晶の罠である可能性に思い至り、何かが起こる予感を覚えます。

そういうわけなので、水銀燈は人形作りの邪魔をするつもりは元よりありませんでしたが、これを利用してジュンから力を分けてもらおうと企てます。

しかし、ジュンにはコケオドシが通じず調子を狂わされます。
結果的に力を分けてもらうという約束を取り付けられましたが、水銀燈は憮然とします。


その時に水銀燈はポッキーを食べますが、旧アニメシリーズでもあったドールがポッキーを食べるシーンと比較すると、体の大きさの違いが一目瞭然です。

130831_05.jpg
ポッキーで見る、新旧アニメのドールの大きさ 上が「旧」・下が「新」



         ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷ ◆ ÷


ラプラスの魔は、ジュンと水銀燈のやりとりを確認して何やら満足気です。 まかなかった世界の扉をそっと閉めると、今度は別の扉を開きます。

そこで、舞台はnのフィールド内のまいたジュンのいる場所へ移ります。


ラプラスの魔




まいた世界のジュン


まいたジュンは、アニメ第一話の最後で扉を開けnのフィールドに入ります。
目的は、雪華綺晶に捕まったローゼンメイデンたちを助けること。

時々もう一人のジュンからのメールが届き、そこから断片的ながら、まかなかった世界の情報を得ています。

まかなかった世界のジュンが何者かの誘いに乗って、新しい人形を作ろうとしていることまでは把握できましたが、それを阻止する手立ては持ちあわせていないようです。
まいたジュンは金糸雀と一緒にいますが、二人とも自由に身動きがとれない状態にあります。


まいたジュンは金糸雀のマスター・草笛みつ (愛称みっちゃん) とは、雪華綺晶に気取られることなく、確実に連絡を取り合える状態にあるようです。

みっちゃんはマスターなので雪華綺晶の捕獲対象でもありますが、まいた世界で普通に会社へ行ったりして日常生活を送っているようです。

みっちゃんは (ローゼンメイデンのマスターとしては珍しく) 現実世界とうまく折り合いをつけていて、やりたいこともできているので、望む夢を与えるのと引き換えに精神体を奪っていく雪華綺晶のやり方は通用しにくいのかもしれません。



『てのひらの人形』 第6話


絵本『てのひらの人形』


私はすぐに一つ目の大きな人形に向かって
「アイスクリームが食べたい」と言った。
そしたら

食堂のコックさんが
立派なアイスクリームを持って来たんだ。
「どうぞ。作り過ぎてしまったから、
お嬢ちゃんにサービスだよ」



一体目の人形に掛けた願いごとは、みごとに聞き届けられたようです。

もし叔父さんの言うことが本当で、一つの人形が一つの願い事を叶えてくれるとしたら、あと6つの願い事ができます。
そして、このローゼンメイデンのアニメも残すところあと6話・・・。

絵本の女の子は、あと6回アイスクリームを食べられます!


130831_04.jpg
今回、ジュンは真紅に絵本 『てのひらの人形』 を贈る




次回予告


第8話 「アンティークドール」
放送日 : 2013年8月22日 (TBS)

http://www.tbs.co.jp/anime/rozen/story/index-j.html#story08




< アニメ TALE 7 「存在した時間」 >

・放映日: 2013年8月15日(TBS)
・登場人物: 桜田ジュン、まいたジュン、水銀燈、金糸雀、真紅、斉藤さん、ラプラスの魔
・原作範囲: 『ローゼンメイデン』 TALE5, 6, 7



[ ブログ内関連ページ ]
2013年の「ローゼンメイデン」新アニメ 7月よりTBS系列にて


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ローゼンメイデン tale43

TALE43 / 平穏な日常

お願いよ、力を貸して・・・


  二つの世界を結ぶ点は、もう消えてしまったんだろう

  それでも時々、あの初めてのメールを思いおこす
  そして、あれは夢じゃなかったと確かめる



ジュンは時々、違う世界の自分を想う。
もう一人の自分にぜんまいを巻かれた、ローゼンメイデンの人形たちを思い出す。

彼らは、ある日突然こちらの世界へやって来て、同じように唐突に立ち去った。


それは現実に起きた出来事のはずだ。
でも、たとえ夢だったとしても別に構わない気もする。



■ 「平穏な日常」

現実にしろ夢にしろ、この接触はジュンの意識に変化をもたらす強烈な体験となる。
この出来事の後、ジュンは以前よりもずっとうまく現実世界と関わり合っていくことができるようになった、ようにみえる。

手元に残った結果だけをみれば、違う世界から来たジュンや真紅たちが空想や無意識によって生み出された架空の人物、ということにしてしまっても問題ないはずだ。

むしろ全ては夢だったということにして、フタを被せてしまった方が楽になれる。
生きた人形が存在するというオカルトみたいな事実を認めなくて済むし、アリスゲームという面倒くさそうなことにも関わらなくて済むのだから……。


それでもジュンは、やはり現実に起こった出来事として受け止める。
この記憶が現実世界から離れていかないように、しっかりと結びつけておく。

もしジュンが忘れてしまったら、かつてこの世界に真紅たちが存在したことを知る者はいなくなる。 それは――真紅が言ったように――最初から存在しなかったのと同じことなのかもしれない。


そうなれば、あちらへ通じる扉が開かれる可能性は永遠に失われてしまうのだ。



■ 鍵

ある時、斉藤さんはジュンのポケットからはみ出すストラップに気づく。

 「なあにソレ、カギ?」


ゼンマイだ、とジュンは答える。
ジュンは、真紅が残していったぜんまいをストラップにして携帯電話に結び付け、普段から肌身離さず持ち歩いていた。


ぜんまいと謎の人形、この2つの(どこからかやって来て、こちらの世界に残置された)物体が、ともすれば夢とも見分けがつかなくなりそうなあの一連の出来事を、現実世界に結びつける役割を果たしてくれているようだった。

物質の持つ現実的な重みと固定された形骸は、曖昧で流動的な人間の記憶や想いを補ってくれるし、持ち主を励ましてもくれる。


この2つの物質が存在している限りジュンは真紅達の存在を忘れることはないし、いつの日かまた、向こう側へ通じる扉を開いてくれるかもしれない。

そういう意味でこのゼンマイは鍵なのだ。 斉藤さんが指摘したように。


 「いつかまた会えるだろうか、僕の人形たち」

ジュンは強くローゼンメイデンたちのことを想う。


その晩、一本の電話がかかってくる。



■ テレビ電話

ジュンは何かの音で目を覚ます。
いつの間にか眠っていたようだ。

それが着信音だということに思い当たり、携帯電話に手を伸ばす。


ジュンを呼び続ける着信音は、いつもと違って聴こえた。
脳がまだ覚醒していないせいかもしれないし、あまり使わない機能でかかってきたのかもしれないし、特別な場所から想像もしない人が、尋常ではない用事でかけてきたのかもしれない。

ジュンは電話に出てみる。
その全てだった。


まず音声が入り、映像が送られてくる。
画面に映しだされたのはローゼンメイデンのドールたちだった。 翠星石と蒼星石、そして真紅がいる。

真紅達が、どこかの領域からかテレビ電話を使ってジュンにコンタクトしてきたのだ。 テレビ電話?


事態は入り乱れ、現実と夢が混ざり合っているようだった。
ジュンはとりあえず現実的な質問を投げかけてみる。

 「今かけてる携帯はいったい誰の…」

 「桜田くん?」


人間の少女が映る。
中学時代にほとんど接触を持たなかったまかない世界のジュンでも、柏葉巴だとすぐに分かる。
携帯電話の持ち主は彼女なのだ。

でもなぜ。

 「な…何で…? 柏葉と真紅たちが一緒に? まいた僕は?」


ジュンは、ますます混乱した。



■ 失われる「平穏な日常」

真紅が会話を引き取り、自分たちの置かれている状況を手短に説明する。

まいた世界のジュンが雪華綺晶に囚われてしまったこと、ジュンは力をくれるマスターでもあるので、ジュンを助けるためにはジュンの力が必要であるジレンマに陥ってること、つまり今頼れるのは(まかなかった)ジュンだけであること。

 「お願いよまかなかったジュン、力を貸して…」


ジュンはもちろん承諾する。
真紅の頼みだったし、なにより自分自身を救い出すために。

扉は開かれ、世界は繋がったのだ。


そこで電話の映像と音声が乱れる。
ノイズが混入する。

真紅たちの他にも、違う世界からこの世界に干渉しようとする者がいるのだ。


そして、ジュンの背後で人形が動き出す。




次回は13号(2/23発売)掲載予定


【 今回の概要 】
金糸雀と水銀燈が出会ったドールはニセモノ世界のホンモノだった。まやかし世界にいることの危険性を感じた金糸雀は、この局面の早急な打開を試みる。その頃、真紅たちはまかなかった世界とのコンタクトに成功するが、まかなかったジュンにも異変が忍び寄る。



【 今回の考察 】


▼ ニセモノ姉妹

まやかし世界で水銀燈と金糸雀が出会った人形は、雪華綺晶がローゼンメイデンを模して作った「姉妹」ということらしい。
つまり、水銀燈たちにとっては「ニセモノの姉妹」ということなる。


ニセモノ姉妹と本物姉妹


この人形は、実際は全然ローゼンメイデンの誰にも似ていない・・・ように見えます。
少なくとも姿形を本物に似せるつもりはなかったようです。

もともと実体を持たない雪華綺晶は、物質が作り上げる形状や容姿というものに興味がないのかもしれないし、うまく認識出来ないのかもしれません。

つまりこの人形の姿こそが、雪華綺晶がとらえて認識しているローゼンメイデンの姉妹たちの像なのかもしれない。


例えば、この「ニセモノ姉妹」には蜘蛛みたいにたくさんの手があり、襲ってくる。

これまで、雪華綺晶は一人で他の姉妹たちを相手に戦うことが多かった。

雪華綺晶vs他の姉妹連合
真紅たちにすれば、強大な力を持つ雪華綺晶に対抗するためのやむをえない共闘だったが……


「か弱い末っ子の自分を、姉たち全員が寄って集ってイジメた」という悲しみと恐怖の記憶が、雪華綺晶のローゼンメイデンの姉妹に対するイメージとなって、このたくさんの細い手がある人形を作り上げたのかもしれません。


そして、外の世界から遮断されて完全に雪華綺晶の主観だけで成り立つこの世界にあっては、現実社会で共有されている価値観や客観的事実などは意味をなさない。 イジワルな姉はニセモノであり(自分は本当の妹じゃないから冷たい仕打ちを受ける?)、雪華綺晶にとって都合の良い人形こそが本物の姉妹ということになる。


あるいはもっと辛辣で、「貴女たちはアリスという究極の少女を目指しているけれど、実際はこんなにも醜い存在」 という風刺と批難を込めた雪華綺晶から姉たちへ送るメッセージなのかもしれない。



▼ 雪華綺晶と「平穏な日常」

今回の話は2つの場面から成っています。

・まやかしの世界で水銀燈と金糸雀が出会った「ニセモノ姉妹」の話。 主観の支配する世界では「思い込み」だけでニセモノと本物が容易に入れ替わってしまう可能性もあるということ。

・まかない世界のジュンが、夢と現実の混ざり合うような領域で真紅たちからの電話を受けること。 結果、世界は繋がり扉は開かれる。

                 ◆       ◆       ◆




この2つの場面に共通しているのは、「本物とニセモノ」「現実と夢」といった対義的で明確に区分されいると思われる概念が簡単に混ざり合い、時に入れ替わってしまっているということです。


ニセモノは本物があって生まれてくるものですが、本物(という概念)もニセモノが存在して初めて成り立つ (本来的にモノが本物であることは当然で、「本物という概念」は必要ない)。

生と死も似たような合わせ鏡で、死がなければ生という概念が生まれないのかもしれません。
また、目が覚めなければ夢であると気づくこともないのかもしれない。

これらは片方の事象や概念を意識することでもう片方も認識することができて、その時になって初めて、それぞれの領域を確保・定義する必要が生じ、お互いを隔てる壁が築かれるのだと思います。


◇ 雪華綺晶

雪華綺晶は、この対となる概念の片方を致命的に欠損しているように見える。 つまり、本来は分かつべき概念の間に壁を築き上げることができないのです。
彼女は夢と現実の区別を付けることはなく、現実で叶わないことなら夢の中で叶えれば良いと考える。

物理的な器を持たない雪華綺晶は肉体に輪郭がなく、自分の領域というものをおそらくは把握できない。 空間と自分の境目をうまく見定めることができない。
そういう事情もあって、壁を作るという習慣が身につかなかったのかもしれない。


◇ 「平穏な日常」

壁を作れない雪華綺晶に対して、(「三匹の子ぶた」でレンガを積む末っ子みたいに)ひたすら外に対して壁を築いて来たのがまかなかった世界のジュンで、彼はまだ見たことのない自分の「限界」にまで想像だけで壁を作ってしまう。
それをまいたジュンに指摘されて、今度は意識的に壁を壊していくことにする。

ジュンが今まで築いてきた余計な壁を壊している間は、それでいろいろなことがうまく行くように見えていた。 壁を壊すことで世界が広がっていくのだから当然かもしれない。
今回の話では、世界を隔てる壁まで壊してしまう。 それによってもたらされるものが吉であるか凶であるかは、今後のお楽しみ・・・!


今回のサブタイトルは「平穏な日常」です。 それが失われようとしている回に「平穏な日常」というタイトルをつけるところは良いですね。

平穏ではない状態に移行して始めて「平穏な日常」というものを認識できる、といっているみたいで。


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<TALE 43>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2012年9号 / 1月26日(木)発売
ページ数: 27ページ
登場人物: まかなかった世界のジュン、水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柏葉巴、雪華綺晶人形、雪華綺晶人形の姉妹、斉藤さん、山口店長
備考:



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 42
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


関連記事
ローゼンメイデン tale42

TALE42 / 絶望と希望

そう、もう一人いたんだよ


■ 仲良しごっこはおしまい

鏡の中に手を差し込んだ水銀燈が掴んだものは、真紅の手だった。


 「真紅!?」

 「水銀燈? どうして貴女が……」


翠星石と蒼星石も、真紅の後に続いて現れる。
思いがけず、姉妹たちは一堂に会することとなった。


意識を取り戻した巴も加わり、それぞれが見聞きしたことを語り合う。

しかし欠けているピースが多すぎる。 寄せ集めた情報は断片的すぎて、組み合わせたところで何も完成しないし、どこにも導いてくれそうになかった。

行動に移るべき時のようだった。
水銀燈は、いつまでも続く方向性も生産性もない真紅たちの会話を 「パーティーのおしゃべり」 と揶揄して、一人で立去ろうとする。


好きで話し合いを続けているわけではなく、マスターを奪われてしまい行動を制限されてしまっているという事情もあるのだが、結局のところ水銀燈の言うとおり 「パーティーのおしゃべり」 にすぎないことには違いなかった。 そして、当の真紅たちにもそれは分かっていた。


 「仲良しごっこはおしまい」

と金糸雀も言う。

 「もう私も時間を無駄にしたくない」


もう時間を無駄にはできない。
普段は妹たちの話を聞き、あまり自分の意見を押し出さすことのない金糸雀の発言だけに、強い意志が感じられる。 みっちゃんを奪われたことで、少し焦りが生じたのかもしれない。

翠星石が、一人になるのは危険だと言って金糸雀を引きとめようとする。


 「私たちはいつだって、本当は一人だわ」

そう言うと金糸雀は傘を広げ、一人でその場から飛び去る。



■ 新しいドール

金糸雀にもどうすればいいか分からなかったし、みっちゃんの居場所すら掴めていない。
それでも行動を起こさなければ、みっちゃんに近づけないのだ。

金糸雀は、どこまでも続くように見える「ハリボテ」の病院廊下を、あてもなく飛び続ける。


 「ひとつ思い出したわ」

水銀燈が後ろから声をかける。
ただ一人、金糸雀を追ってきたのだった。


 「私が見たのは、目よ」

人形なのに、人形の目みたいではなかった・・・
水銀燈はみっちゃんの部屋で見た謎の人形について、思い出せたことを語って聴かせる。

それは大事な話かもしれなかった。 しかし、そんなことは今の金糸雀にはどうでも良くて、水銀燈が一緒に来てくれたことが嬉しかった。


そして水銀燈の方も話しかけるキッカケが欲しかっただけで、そんな話をするためにわざわざ追って来たわけではなさそうだった。
かつてマスターを追って鏡に飛び込み、nのフィールドを彷徨っていた水銀燈には、今の金糸雀の気持ちが良く分かるのかもしれない。


そんな二人の前に、見えない壁が立ちふさがる。
透明なガラスみたいな壁だ。 壁の向こう側も見えるし、自分の姿もうっすらと表面に映っている。


 「……? 水晶のカベ……」

雪華綺晶の世界で一度触れた金糸雀は、それがガラスではなく水晶であると確信する。

水晶の壁の向こう側で、開かないはずのハリボテの扉が開く。
扉の隙間からは 「目」 が金糸雀と水銀燈を窺っている。


「目」 の持ち主が扉から出てくる。 見たことのない人形だった。
金糸雀たちローゼンメイデンよりも頭1つ分小さく、動きもぎこちない。


 「オ姉さま・・・」

と、その人形は言った。



■ 4人寄れば文殊の知恵

飛び去った金糸雀を水銀燈が追っていったようだ。 おそらく二人は合流している。
あの二人が一緒なら心配はいらない、ひとまず安堵する真紅や翠星石。


問題は、自分たちのこれからの方針だった。

 「マスターが見つからないことには…」


と、さっそく最初にして最大の難関に突き当たってしまう。

なにしろ、真紅と翠星石と蒼星石の3人のマスターはジュンであり、そのジュンは今は雪華綺晶に囚われてしまっている。
ジュンを救い出すには雪華綺晶との衝突が避けられないが、そのためにもジュンの力が必要だった。


 「桜田くんを助けるにも桜田くんの力が必要って……ジレンマね」

と巴が言う。

その言葉が、真紅に何かを閃かせる。

 「ジュンを助けるためにはジュンが……」


翠星石や蒼星石も、ある人物を思い出す。
同一人物だけど、同一人物じゃない・・・もう一人のジュン。


 「そう、もう一人いたんだよ」



■ まあ若干頼りないのだけれどね

その日、ジュンは朝から慌ただしかった。

大学へ行く前に、アルバイト先の本屋に顔を出さなければいけないことになっていたのだが、あいにく、その朝は寝過ごしてしまったのだった。

そこへメールが入り、斉藤さんも今日に限って遅刻であることを告げる。


悪いことが重なる日は、本当に立て続けに面倒が起きるものなのだ。

 「なんか、今日はめんどくさいことが起きる予感がする・・・」


まかなかった世界のジュンのこの予感は、遠からず的中しそうだった。




次回は9号(1/26発売)掲載予定


【 今回の概要 】
期せずして一堂に会することになったドールたちだが、金糸雀と水銀燈の袂別により再び二手に別れて行動することになる。金糸雀たちは水晶の壁に阻まれ、そこで見たこともないドールと出会う。一方の真紅たちは、まかなかった世界のジュンに希望を見出す。



【 今回の考察 】

状況が整理されるような回でした。

金糸雀が旗幟を鮮明にして真紅たちの同盟から離脱、結果として水銀燈と与すことになった。 真紅・翠星石・蒼星石は、「まいた世界のジュン」を救出するために「まかない世界のジュン」に力を借りることにする。

そんな中で、雪華綺晶一派(?)の新ドール登場は衝撃的でした。


▼ 雪華綺晶人形の新しい姉妹たち

◇ 新しいドール

今回、ローゼンメイデン・シリーズではない、新しいドールが登場します。

雪華綺晶人形は皆人をお父さまと呼び、この新ドールを姉妹と呼んでいる。
ということは、新ドールは皆人が作った可能性が高いです。

新ドール
新ドールの背の高さは、ローゼンメイデンの中でも小柄な金糸雀の肩くらい


名前や動力源、好きな食べ物など一切不明。


また皆人が作ったとしたら、気になる点もあります。

・ボロボロすぎる
お父様デビューして間もない皆人が作ったにしては、随分と傷んでいる気がします。
洋服の破れや皮膚の状態からすると未完成品ではなく、長い年月を経て朽ちたように見えます (または、理科室で実験中に混ぜる薬品を間違えて、爆発させてしまった感じ・・・)。

※もっとも、nのフィールド内では時間など関係ないので経年劣化もアリだと思います。


・雪華綺晶人形とも似てない
当然ローゼンメイデンとは作りや材質が違いますが、姉妹であるはずの雪華綺晶人形ともかなり異なっている気もします (みっちゃんに鑑定して欲しい!)。

※雪華綺晶人形は元々ローゼンメイデンで、鳥海ファミリーにとっては謂わば「みにくいアヒルの子」なわけですので違って当然かもしれませんが。。 それに最初は自分の作風なんてないから、いろいろ試してる段階での作品ということなら、バラバラでもおかしくないです。

いずれにせよ、金糸雀のことを「オ姉さマ」と呼んたり、謎の多いドールです。


◇ 他の雪華綺晶人形の姉妹

金糸雀や水銀燈の様子を水晶越しに見ていた雪華綺晶人形の背後で、カタカタと人形たちが動いている。
おそらく、雪華綺晶人形の言う「姉妹たち」なのだと思います。

雪華綺晶人形と姉妹たち
雪華綺晶人形の姉妹たち?

「姉妹たち」は容姿や扮装は不明ですが、足には新ドール同様、ゲートルだか包帯のような布を巻きつけています。

これだけの数の人形を作るには、それなりの日数や材料が必要だとは思います。


◇ ・・・もう一つの可能性

雪華綺晶の世界では、実在するものと幻とを見分けるのが難しいです。
新しいドールや姉妹たちは本当は実在しない、という可能性も否定できません。



▼ まかなった世界のジュン(大学生)

久しぶりに登場したもう一人のジュン。
大学を辞めずに、通い続けているようです。

また、アルバイトも人間関係も悪くないように見えます。

まかなった世界のジュン


真紅は、口では「若干頼りにならない」などと言っているけど、本当は信頼しているのだと思います。

真紅の代用品として座長に返してもらった雪華綺晶人形は、きちんと部屋に飾ってありました。



▼ 水銀燈と金糸雀

二人でいる時の雰囲気が好きです。
姉妹であると同時に、自立した個人同士のコミットという感じがします。

この二人の活躍も楽しみです!





【 その他 】

書店用POPプレゼント企画

コミックス「ローゼンメイデン6巻」のPOPを抽選で5名にプレンゼント。
絵柄は、金糸雀(コミックス6巻の扉絵(表紙絵ではなく))みたいです。

「ローゼンメイデン6巻」のPOPを抽選で5名にプレンゼント


応募締切は、2012年1月5日(当日消印有効)。




<TALE 42>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2012年3号 / 12月15日(木)発売
ページ数: 27ページ
登場人物: 水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柏葉巴、雪華綺晶のような人形、謎の新人形、まかなかった世界のジュン
備考: 扉に書店POPプレゼントのお知らせあり



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 41
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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