山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

RozenMaiden newanime tale4

Anime-TALE 4 / ティーポット

どうやらしばらく、ここにいるしかないようね


ローゼンメイデン第4話です。

いよいよ真紅が動き出し、作品の雰囲気も少し変わったように感じられました。 デフォルメされた絵がたくさん出て来ましたし、明るめの音楽が多かった気もします。


今回の内容


    ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

<あらすじ>

ジュンは、nのフィールドで真紅となった人形を現実の世界へ持ち帰る。 携帯電話を通じてやってきたホーリエがローザミスティカを投入し、ジュンが改めてぜんまいを巻く。 ここに真紅が (仮の器ではあるにせよ) 蘇る。 ジュンは真紅の仮のマスターとなる。 その一連の出来事は、すべて雪華綺晶の知るところであった。


    ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


毎回、丁寧に原作がなぞられています。
原作ファンとしては、「あのシーンが飛ばされた」 とか 「あのセリフがない」 といったふうにヤキモキしなくていいのが嬉しいです。



まかなかった世界の(仮)真紅


ジュンは、nのフィールドで真紅となった人形をまかなかった世界に持ち帰ってきます。

まいたジュンが携帯電話を通じて人工精霊ホーリエを送り、真紅 (となった人形) にローザミスティカを投下します。
ちなみにホーリエが持ってきたローザミスティカは、真紅本体から取り出してきた本物です。

本物の真紅は ―― アニメ第1話でも少し描かれていたのですが ―― 雪華綺晶に搦め捕られてしまいました。
真紅は隙をみてローザミスティカだけを抜き取らせ、一旦、雪華綺晶の力の及んでいない世界へ逃れ、捲土重来の機会を窺っているというわけです。

ここで一瞬でも雪華綺晶の目を欺けたのは、真紅のボディ内にあるもう1つのローザミスティカの元持ち主・雛苺の活躍があったおかげだったりします。


仮下僕

まかない世界の真紅はボディが仮の器だということもありますが、多分そういうことではなく、大学生のジュンはゼンマイを巻いただけで 「薔薇の契約 (指輪に口づけ)」 を結んでいないので、仮の下僕なのだと思います。


真紅のマイカップ

真紅のマイカップ

真紅のマイカップもまかない世界に届いてました。
「少女のつくり方」 の何号かの付録として送らせたのかもしれません。


留守番をする真紅 (まいた世界・まかなかった世界)

今回アニメオリジナル表現で、ジュンが出かけた後に部屋を探索する真紅が描かれますが、すごく良かったです。

というのも、居心地の悪い 「仮暮らし」 してる感じが出ていたと思うので。

まいた世界で、やはり真紅が一人で留守番するシーンがあるのですが 《 原作 TALE 30 》、そこでは真紅が 「リラックス乙女」 を解禁してダラリとくつろぎます。 そのだらしない姿が 「本当の居場所にいる」 感じを醸し出していて、今回の 「仮の居場所にいる」 感じと対比しているように思えました。

TALE30 リラックス乙女解禁
まいた世界で一人でいる時の真紅


原作を知っているとそのようなことが感じ取れるのですが、読んでいないくても、このシーンは真紅がかわいらしく表現されていたので楽しめたと思います。


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今回、真紅の心情が読み取れるような表情の変化もたくさんありました。

ジュンが当然のようにアルバイトへ出かけていくことに対する驚きや、ジュンが洋服デザインについて語っている時の心配そうな表情 (真紅はジュンが引きこもる原因となった事件を知っている)、それに、その洋服の話を素直にすごいと受け入れてくれる人間がジュンのそばにいたことの安心感など、やはり真紅がまかなかったジュンのことも気にかけていることが伝わってきました。


バッグの中の真紅
バッグの中で心配そうにジュンの話を聴く真紅


真紅は、まかなかった世界のジュンが自分の手で扉を開け、「外の世界」 に自分の少しずつ自分の居場所を確保しつつあることを感じたのかもしれません。 「仮」 の下僕にとどめたのは、こちらのジュンはなるべく巻き込みたくないという真紅の優しさなのかもしれません。



まかなかった世界


ジュンが 「まきません」 を選択した時、ローゼンメイデンが世界に存在する可能性はなくなりました。
これがまかなかった世界です。

「まかなかった世界」 は新しく創造された世界などではなく、1つの可能性が消えたというだけで、元々の世界と何ら変わりがありません。

ローゼンメイデン ネット検索結果
まかなかった世界とまいた世界、それぞれの「ローゼンメイデン」のヒット数


検索結果をみると、「まいた世界」 には都市伝説レベルという程度ですが、ローゼンメイデンを知っている人も少なからずいるようです。


                 ◆       ◆       ◆

ローゼンメイデンたちは 「まきます」 を選ばれた時に初めて 「その世界にいてもいいよ」 ということになって、世界と紐付けられるものなのかもしれません。

つまり、真紅が自分たちローゼンメイデンを 「招かれざる客」 と表現していますが、それに則って言うと 「まきます」 は 「まねきます」 ということ、とも解釈できそうです。


まかなかった世界の出入口

今回真紅も言っていましたが、現在まかなかった世界で確認されている 「安定的なnのフィールドへの出入口」 は、ジュンの携帯電話の画面だけです。

数インチというサイズなので人工精霊みたいに小さいものなら出入りできますが、人形や人間の大きさではそこを通り抜けることができません。

それは強い力を持つ雪華綺晶といえども例外ではなく、なので当面は雪華綺晶も直接的には手を出して来られないと考えて良さそうです。



大学生ジュンの部屋


原作ではユニットバスだったので鏡は1つだけでしたが、アニメ版では洗面所と風呂場の2箇所に鏡があります。

今回の話の中では、洗面所の鏡が波打ち、風呂場の鏡にも雪華綺晶のイバラが映っていました。
両方がnのフィールドに繋がりそうな雰囲気があります。

2枚の鏡
2枚の鏡


特にまかなかった世界ではnのフィールドへの出入口となる鏡は貴重なので、2枚とも繋がるとなると、出入口のレア度がかなり下がりそうです。



「今回は私へのおみやげがあるんだって」


絵本


レギュラー化している謎の絵本、第3話目です。

前に帰ってきたとき、
伯父さんは私の家に来た。
そのときのおみやげは、
外国の高いお酒。

父さんは大喜びだったけど、
子供にはつまらない。
でもね、
今回は私へのおみやげがあるんだって。


「私へのおみやげ」 が何であるのか気になります。
もしかしたら、ローゼンメイデン本編に繋がるようなものかもしれません。

あと、ちょっと気になったのは、第2話では 「叔父さん」 だったのが今回は 「伯父さん」 になっていたことです。
同一人物の話をしていると思うので、単なる誤字だとは思いますが。



次回予告


第5話 「天使の黒い羽根」
放送日 : 2013年8月1日 (TBS)

http://www.tbs.co.jp/anime/rozen/story/index-j.html#story05

いよいよ水銀燈の登場です!



< アニメ TALE 4 「ティーポット」 >

・放映日: 2013年7月25日(TBS)
・登場人物: 桜田ジュン、店長、斉藤さん、真紅、雪華綺晶
・原作範囲: 『ローゼンメイデン』 TALE3



[ ブログ内関連ページ ]
2013年の「ローゼンメイデン」新アニメ 7月よりTBS系列にて


関連記事
ローゼンメイデン tale43

TALE43 / 平穏な日常

お願いよ、力を貸して・・・


  二つの世界を結ぶ点は、もう消えてしまったんだろう

  それでも時々、あの初めてのメールを思いおこす
  そして、あれは夢じゃなかったと確かめる



ジュンは時々、違う世界の自分を想う。
もう一人の自分にぜんまいを巻かれた、ローゼンメイデンの人形たちを思い出す。

彼らは、ある日突然こちらの世界へやって来て、同じように唐突に立ち去った。


それは現実に起きた出来事のはずだ。
でも、たとえ夢だったとしても別に構わない気もする。



■ 「平穏な日常」

現実にしろ夢にしろ、この接触はジュンの意識に変化をもたらす強烈な体験となる。
この出来事の後、ジュンは以前よりもずっとうまく現実世界と関わり合っていくことができるようになった、ようにみえる。

手元に残った結果だけをみれば、違う世界から来たジュンや真紅たちが空想や無意識によって生み出された架空の人物、ということにしてしまっても問題ないはずだ。

むしろ全ては夢だったということにして、フタを被せてしまった方が楽になれる。
生きた人形が存在するというオカルトみたいな事実を認めなくて済むし、アリスゲームという面倒くさそうなことにも関わらなくて済むのだから……。


それでもジュンは、やはり現実に起こった出来事として受け止める。
この記憶が現実世界から離れていかないように、しっかりと結びつけておく。

もしジュンが忘れてしまったら、かつてこの世界に真紅たちが存在したことを知る者はいなくなる。 それは――真紅が言ったように――最初から存在しなかったのと同じことなのかもしれない。


そうなれば、あちらへ通じる扉が開かれる可能性は永遠に失われてしまうのだ。



■ 鍵

ある時、斉藤さんはジュンのポケットからはみ出すストラップに気づく。

 「なあにソレ、カギ?」


ゼンマイだ、とジュンは答える。
ジュンは、真紅が残していったぜんまいをストラップにして携帯電話に結び付け、普段から肌身離さず持ち歩いていた。


ぜんまいと謎の人形、この2つの(どこからかやって来て、こちらの世界に残置された)物体が、ともすれば夢とも見分けがつかなくなりそうなあの一連の出来事を、現実世界に結びつける役割を果たしてくれているようだった。

物質の持つ現実的な重みと固定された形骸は、曖昧で流動的な人間の記憶や想いを補ってくれるし、持ち主を励ましてもくれる。


この2つの物質が存在している限りジュンは真紅達の存在を忘れることはないし、いつの日かまた、向こう側へ通じる扉を開いてくれるかもしれない。

そういう意味でこのゼンマイは鍵なのだ。 斉藤さんが指摘したように。


 「いつかまた会えるだろうか、僕の人形たち」

ジュンは強くローゼンメイデンたちのことを想う。


その晩、一本の電話がかかってくる。



■ テレビ電話

ジュンは何かの音で目を覚ます。
いつの間にか眠っていたようだ。

それが着信音だということに思い当たり、携帯電話に手を伸ばす。


ジュンを呼び続ける着信音は、いつもと違って聴こえた。
脳がまだ覚醒していないせいかもしれないし、あまり使わない機能でかかってきたのかもしれないし、特別な場所から想像もしない人が、尋常ではない用事でかけてきたのかもしれない。

ジュンは電話に出てみる。
その全てだった。


まず音声が入り、映像が送られてくる。
画面に映しだされたのはローゼンメイデンのドールたちだった。 翠星石と蒼星石、そして真紅がいる。

真紅達が、どこかの領域からかテレビ電話を使ってジュンにコンタクトしてきたのだ。 テレビ電話?


事態は入り乱れ、現実と夢が混ざり合っているようだった。
ジュンはとりあえず現実的な質問を投げかけてみる。

 「今かけてる携帯はいったい誰の…」

 「桜田くん?」


人間の少女が映る。
中学時代にほとんど接触を持たなかったまかない世界のジュンでも、柏葉巴だとすぐに分かる。
携帯電話の持ち主は彼女なのだ。

でもなぜ。

 「な…何で…? 柏葉と真紅たちが一緒に? まいた僕は?」


ジュンは、ますます混乱した。



■ 失われる「平穏な日常」

真紅が会話を引き取り、自分たちの置かれている状況を手短に説明する。

まいた世界のジュンが雪華綺晶に囚われてしまったこと、ジュンは力をくれるマスターでもあるので、ジュンを助けるためにはジュンの力が必要であるジレンマに陥ってること、つまり今頼れるのは(まかなかった)ジュンだけであること。

 「お願いよまかなかったジュン、力を貸して…」


ジュンはもちろん承諾する。
真紅の頼みだったし、なにより自分自身を救い出すために。

扉は開かれ、世界は繋がったのだ。


そこで電話の映像と音声が乱れる。
ノイズが混入する。

真紅たちの他にも、違う世界からこの世界に干渉しようとする者がいるのだ。


そして、ジュンの背後で人形が動き出す。




次回は13号(2/23発売)掲載予定


【 今回の概要 】
金糸雀と水銀燈が出会ったドールはニセモノ世界のホンモノだった。まやかし世界にいることの危険性を感じた金糸雀は、この局面の早急な打開を試みる。その頃、真紅たちはまかなかった世界とのコンタクトに成功するが、まかなかったジュンにも異変が忍び寄る。



【 今回の考察 】


▼ ニセモノ姉妹

まやかし世界で水銀燈と金糸雀が出会った人形は、雪華綺晶がローゼンメイデンを模して作った「姉妹」ということらしい。
つまり、水銀燈たちにとっては「ニセモノの姉妹」ということなる。


ニセモノ姉妹と本物姉妹


この人形は、実際は全然ローゼンメイデンの誰にも似ていない・・・ように見えます。
少なくとも姿形を本物に似せるつもりはなかったようです。

もともと実体を持たない雪華綺晶は、物質が作り上げる形状や容姿というものに興味がないのかもしれないし、うまく認識出来ないのかもしれません。

つまりこの人形の姿こそが、雪華綺晶がとらえて認識しているローゼンメイデンの姉妹たちの像なのかもしれない。


例えば、この「ニセモノ姉妹」には蜘蛛みたいにたくさんの手があり、襲ってくる。

これまで、雪華綺晶は一人で他の姉妹たちを相手に戦うことが多かった。

雪華綺晶vs他の姉妹連合
真紅たちにすれば、強大な力を持つ雪華綺晶に対抗するためのやむをえない共闘だったが……


「か弱い末っ子の自分を、姉たち全員が寄って集ってイジメた」という悲しみと恐怖の記憶が、雪華綺晶のローゼンメイデンの姉妹に対するイメージとなって、このたくさんの細い手がある人形を作り上げたのかもしれません。


そして、外の世界から遮断されて完全に雪華綺晶の主観だけで成り立つこの世界にあっては、現実社会で共有されている価値観や客観的事実などは意味をなさない。 イジワルな姉はニセモノであり(自分は本当の妹じゃないから冷たい仕打ちを受ける?)、雪華綺晶にとって都合の良い人形こそが本物の姉妹ということになる。


あるいはもっと辛辣で、「貴女たちはアリスという究極の少女を目指しているけれど、実際はこんなにも醜い存在」 という風刺と批難を込めた雪華綺晶から姉たちへ送るメッセージなのかもしれない。



▼ 雪華綺晶と「平穏な日常」

今回の話は2つの場面から成っています。

・まやかしの世界で水銀燈と金糸雀が出会った「ニセモノ姉妹」の話。 主観の支配する世界では「思い込み」だけでニセモノと本物が容易に入れ替わってしまう可能性もあるということ。

・まかない世界のジュンが、夢と現実の混ざり合うような領域で真紅たちからの電話を受けること。 結果、世界は繋がり扉は開かれる。

                 ◆       ◆       ◆




この2つの場面に共通しているのは、「本物とニセモノ」「現実と夢」といった対義的で明確に区分されいると思われる概念が簡単に混ざり合い、時に入れ替わってしまっているということです。


ニセモノは本物があって生まれてくるものですが、本物(という概念)もニセモノが存在して初めて成り立つ (本来的にモノが本物であることは当然で、「本物という概念」は必要ない)。

生と死も似たような合わせ鏡で、死がなければ生という概念が生まれないのかもしれません。
また、目が覚めなければ夢であると気づくこともないのかもしれない。

これらは片方の事象や概念を意識することでもう片方も認識することができて、その時になって初めて、それぞれの領域を確保・定義する必要が生じ、お互いを隔てる壁が築かれるのだと思います。


◇ 雪華綺晶

雪華綺晶は、この対となる概念の片方を致命的に欠損しているように見える。 つまり、本来は分かつべき概念の間に壁を築き上げることができないのです。
彼女は夢と現実の区別を付けることはなく、現実で叶わないことなら夢の中で叶えれば良いと考える。

物理的な器を持たない雪華綺晶は肉体に輪郭がなく、自分の領域というものをおそらくは把握できない。 空間と自分の境目をうまく見定めることができない。
そういう事情もあって、壁を作るという習慣が身につかなかったのかもしれない。


◇ 「平穏な日常」

壁を作れない雪華綺晶に対して、(「三匹の子ぶた」でレンガを積む末っ子みたいに)ひたすら外に対して壁を築いて来たのがまかなかった世界のジュンで、彼はまだ見たことのない自分の「限界」にまで想像だけで壁を作ってしまう。
それをまいたジュンに指摘されて、今度は意識的に壁を壊していくことにする。

ジュンが今まで築いてきた余計な壁を壊している間は、それでいろいろなことがうまく行くように見えていた。 壁を壊すことで世界が広がっていくのだから当然かもしれない。
今回の話では、世界を隔てる壁まで壊してしまう。 それによってもたらされるものが吉であるか凶であるかは、今後のお楽しみ・・・!


今回のサブタイトルは「平穏な日常」です。 それが失われようとしている回に「平穏な日常」というタイトルをつけるところは良いですね。

平穏ではない状態に移行して始めて「平穏な日常」というものを認識できる、といっているみたいで。


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<TALE 43>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2012年9号 / 1月26日(木)発売
ページ数: 27ページ
登場人物: まかなかった世界のジュン、水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柏葉巴、雪華綺晶人形、雪華綺晶人形の姉妹、斉藤さん、山口店長
備考:



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 42
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


関連記事
ローゼンメイデン tale42

TALE42 / 絶望と希望

そう、もう一人いたんだよ


■ 仲良しごっこはおしまい

鏡の中に手を差し込んだ水銀燈が掴んだものは、真紅の手だった。


 「真紅!?」

 「水銀燈? どうして貴女が……」


翠星石と蒼星石も、真紅の後に続いて現れる。
思いがけず、姉妹たちは一堂に会することとなった。


意識を取り戻した巴も加わり、それぞれが見聞きしたことを語り合う。

しかし欠けているピースが多すぎる。 寄せ集めた情報は断片的すぎて、組み合わせたところで何も完成しないし、どこにも導いてくれそうになかった。

行動に移るべき時のようだった。
水銀燈は、いつまでも続く方向性も生産性もない真紅たちの会話を 「パーティーのおしゃべり」 と揶揄して、一人で立去ろうとする。


好きで話し合いを続けているわけではなく、マスターを奪われてしまい行動を制限されてしまっているという事情もあるのだが、結局のところ水銀燈の言うとおり 「パーティーのおしゃべり」 にすぎないことには違いなかった。 そして、当の真紅たちにもそれは分かっていた。


 「仲良しごっこはおしまい」

と金糸雀も言う。

 「もう私も時間を無駄にしたくない」


もう時間を無駄にはできない。
普段は妹たちの話を聞き、あまり自分の意見を押し出さすことのない金糸雀の発言だけに、強い意志が感じられる。 みっちゃんを奪われたことで、少し焦りが生じたのかもしれない。

翠星石が、一人になるのは危険だと言って金糸雀を引きとめようとする。


 「私たちはいつだって、本当は一人だわ」

そう言うと金糸雀は傘を広げ、一人でその場から飛び去る。



■ 新しいドール

金糸雀にもどうすればいいか分からなかったし、みっちゃんの居場所すら掴めていない。
それでも行動を起こさなければ、みっちゃんに近づけないのだ。

金糸雀は、どこまでも続くように見える「ハリボテ」の病院廊下を、あてもなく飛び続ける。


 「ひとつ思い出したわ」

水銀燈が後ろから声をかける。
ただ一人、金糸雀を追ってきたのだった。


 「私が見たのは、目よ」

人形なのに、人形の目みたいではなかった・・・
水銀燈はみっちゃんの部屋で見た謎の人形について、思い出せたことを語って聴かせる。

それは大事な話かもしれなかった。 しかし、そんなことは今の金糸雀にはどうでも良くて、水銀燈が一緒に来てくれたことが嬉しかった。


そして水銀燈の方も話しかけるキッカケが欲しかっただけで、そんな話をするためにわざわざ追って来たわけではなさそうだった。
かつてマスターを追って鏡に飛び込み、nのフィールドを彷徨っていた水銀燈には、今の金糸雀の気持ちが良く分かるのかもしれない。


そんな二人の前に、見えない壁が立ちふさがる。
透明なガラスみたいな壁だ。 壁の向こう側も見えるし、自分の姿もうっすらと表面に映っている。


 「……? 水晶のカベ……」

雪華綺晶の世界で一度触れた金糸雀は、それがガラスではなく水晶であると確信する。

水晶の壁の向こう側で、開かないはずのハリボテの扉が開く。
扉の隙間からは 「目」 が金糸雀と水銀燈を窺っている。


「目」 の持ち主が扉から出てくる。 見たことのない人形だった。
金糸雀たちローゼンメイデンよりも頭1つ分小さく、動きもぎこちない。


 「オ姉さま・・・」

と、その人形は言った。



■ 4人寄れば文殊の知恵

飛び去った金糸雀を水銀燈が追っていったようだ。 おそらく二人は合流している。
あの二人が一緒なら心配はいらない、ひとまず安堵する真紅や翠星石。


問題は、自分たちのこれからの方針だった。

 「マスターが見つからないことには…」


と、さっそく最初にして最大の難関に突き当たってしまう。

なにしろ、真紅と翠星石と蒼星石の3人のマスターはジュンであり、そのジュンは今は雪華綺晶に囚われてしまっている。
ジュンを救い出すには雪華綺晶との衝突が避けられないが、そのためにもジュンの力が必要だった。


 「桜田くんを助けるにも桜田くんの力が必要って……ジレンマね」

と巴が言う。

その言葉が、真紅に何かを閃かせる。

 「ジュンを助けるためにはジュンが……」


翠星石や蒼星石も、ある人物を思い出す。
同一人物だけど、同一人物じゃない・・・もう一人のジュン。


 「そう、もう一人いたんだよ」



■ まあ若干頼りないのだけれどね

その日、ジュンは朝から慌ただしかった。

大学へ行く前に、アルバイト先の本屋に顔を出さなければいけないことになっていたのだが、あいにく、その朝は寝過ごしてしまったのだった。

そこへメールが入り、斉藤さんも今日に限って遅刻であることを告げる。


悪いことが重なる日は、本当に立て続けに面倒が起きるものなのだ。

 「なんか、今日はめんどくさいことが起きる予感がする・・・」


まかなかった世界のジュンのこの予感は、遠からず的中しそうだった。




次回は9号(1/26発売)掲載予定


【 今回の概要 】
期せずして一堂に会することになったドールたちだが、金糸雀と水銀燈の袂別により再び二手に別れて行動することになる。金糸雀たちは水晶の壁に阻まれ、そこで見たこともないドールと出会う。一方の真紅たちは、まかなかった世界のジュンに希望を見出す。



【 今回の考察 】

状況が整理されるような回でした。

金糸雀が旗幟を鮮明にして真紅たちの同盟から離脱、結果として水銀燈と与すことになった。 真紅・翠星石・蒼星石は、「まいた世界のジュン」を救出するために「まかない世界のジュン」に力を借りることにする。

そんな中で、雪華綺晶一派(?)の新ドール登場は衝撃的でした。


▼ 雪華綺晶人形の新しい姉妹たち

◇ 新しいドール

今回、ローゼンメイデン・シリーズではない、新しいドールが登場します。

雪華綺晶人形は皆人をお父さまと呼び、この新ドールを姉妹と呼んでいる。
ということは、新ドールは皆人が作った可能性が高いです。

新ドール
新ドールの背の高さは、ローゼンメイデンの中でも小柄な金糸雀の肩くらい


名前や動力源、好きな食べ物など一切不明。


また皆人が作ったとしたら、気になる点もあります。

・ボロボロすぎる
お父様デビューして間もない皆人が作ったにしては、随分と傷んでいる気がします。
洋服の破れや皮膚の状態からすると未完成品ではなく、長い年月を経て朽ちたように見えます (または、理科室で実験中に混ぜる薬品を間違えて、爆発させてしまった感じ・・・)。

※もっとも、nのフィールド内では時間など関係ないので経年劣化もアリだと思います。


・雪華綺晶人形とも似てない
当然ローゼンメイデンとは作りや材質が違いますが、姉妹であるはずの雪華綺晶人形ともかなり異なっている気もします (みっちゃんに鑑定して欲しい!)。

※雪華綺晶人形は元々ローゼンメイデンで、鳥海ファミリーにとっては謂わば「みにくいアヒルの子」なわけですので違って当然かもしれませんが。。 それに最初は自分の作風なんてないから、いろいろ試してる段階での作品ということなら、バラバラでもおかしくないです。

いずれにせよ、金糸雀のことを「オ姉さマ」と呼んたり、謎の多いドールです。


◇ 他の雪華綺晶人形の姉妹

金糸雀や水銀燈の様子を水晶越しに見ていた雪華綺晶人形の背後で、カタカタと人形たちが動いている。
おそらく、雪華綺晶人形の言う「姉妹たち」なのだと思います。

雪華綺晶人形と姉妹たち
雪華綺晶人形の姉妹たち?

「姉妹たち」は容姿や扮装は不明ですが、足には新ドール同様、ゲートルだか包帯のような布を巻きつけています。

これだけの数の人形を作るには、それなりの日数や材料が必要だとは思います。


◇ ・・・もう一つの可能性

雪華綺晶の世界では、実在するものと幻とを見分けるのが難しいです。
新しいドールや姉妹たちは本当は実在しない、という可能性も否定できません。



▼ まかなった世界のジュン(大学生)

久しぶりに登場したもう一人のジュン。
大学を辞めずに、通い続けているようです。

また、アルバイトも人間関係も悪くないように見えます。

まかなった世界のジュン


真紅は、口では「若干頼りにならない」などと言っているけど、本当は信頼しているのだと思います。

真紅の代用品として座長に返してもらった雪華綺晶人形は、きちんと部屋に飾ってありました。



▼ 水銀燈と金糸雀

二人でいる時の雰囲気が好きです。
姉妹であると同時に、自立した個人同士のコミットという感じがします。

この二人の活躍も楽しみです!





【 その他 】

書店用POPプレゼント企画

コミックス「ローゼンメイデン6巻」のPOPを抽選で5名にプレンゼント。
絵柄は、金糸雀(コミックス6巻の扉絵(表紙絵ではなく))みたいです。

「ローゼンメイデン6巻」のPOPを抽選で5名にプレンゼント


応募締切は、2012年1月5日(当日消印有効)。




<TALE 42>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2012年3号 / 12月15日(木)発売
ページ数: 27ページ
登場人物: 水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柏葉巴、雪華綺晶のような人形、謎の新人形、まかなかった世界のジュン
備考: 扉に書店POPプレゼントのお知らせあり



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 41
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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