山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン tale41

TALE41 / 別れ

私の新しい身体……拵えてくださっていたのですか?


■ まさか同じ病院で再会するなんて


 「やっと見つけたわ……めぐ……」


めぐは、思いがけない水銀燈の登場に驚き、それから一瞬だけ嬉しそうな表情をした。
しかし次の瞬間には、仮面のような微笑で感情を覆い隠してしまう。


 「久しぶりね、水銀燈」

めぐの声は中立的で、親しみも敵意も感じさせない。


 「えぇ・・・本当に」

と水銀燈は答える。


本当に久しぶりだった。

鏡の中に連れ去られためぐを追ってnのフィールドに飛び込んだ水銀燈は、まかない世界に迷い込み、真紅たちとも共同生活を送った。 その後も一人でnのフィールドを彷徨い続けて、ようやくこの場に辿りついたのだから。


それにしても、と水銀燈は思う。 長い旅の果ての再会にしてはあまりにお互いクールでドライだ。 もう少し感動的な一幕となってもいいと思うのだけれど・・・。

それは一つに、めぐがまるで「無駄な」旅のことを知っていて水銀燈を嘲弄し、再会に水を差したということもあるが、なにより雪華綺晶と一緒に行動しているめぐに水銀燈が不審を抱いたからだった。


 「そこに隠れているジャンクの末妹と馬が合ったということかしら」

水銀燈は少し憎々しげに言う。


 「白い悪魔は話が早かったわ」

いつまでも命を奪ってくれない黒い天使と違って、とめぐは言う。

 「こうして私に自由に動ける身体をくれたのよ」


ドールが媒介に力を与える・・・立場が逆転している。
それではまるで、めぐが人形になってしまったみたいだ。

そんなことが可能なのか、またそれが何を意味するのか、水銀燈には分からない。


 「解せないわね、それは契約?」

 「ふふ・・・違うわ、約束よ」



■ 病院のまやかしの廊下

ジュンの見舞いのため有栖川大学病院へ来ていた真紅たちもまた、どこまでも続くような無限の廊下の中にいた。


 「ここって、もうとっくに病院とかでなく……」

と翠星石は言う。

 「雪華綺晶のnのフィールドの中です」


ジュンが深くて暗い眠りに陥った理由はこれまで不明だったが、このような妨害をしてくる以上、雪華綺晶が関与していたことはもう疑いようがない。


今まで他のドールたちに気取られぬように密かに行動していた雪華綺晶は、もう自分の正体と動向を隠すつもりはないらしい。 おそらく、その必要がなくなったのだ。

計画が次のステップへ進み、ジュンにドールたちを近づけさせないことが最優先事項になったのだろう。

ドールを遠ざけようとしているということは、雪華綺晶はジュンの肉体を何かに利用しようとしているのだ。 もしかしたら、すでにどこかへ連れ去られてしまった後かもしれない。


それでも、この場であれこれ考えていても何も始まらない。
とにかく進んでみるしかなかった。


 「無事でいて頂戴、ジュン」

真紅は祈らずにはいられない。



■ 失われたもの

雪華綺晶ドールそっくりの人形がたくさん現れる。
人形たちは、水銀燈や金糸雀に襲いかかってきた。

糸で操られているだけの人形で、攻撃力はない。 巴を鏡の中に引きずり込むまでの時間稼ぎのつもりらしい。


 「ふふふ、久しぶりにすごい楽しい」

めぐは、水銀燈や金糸雀が戦う姿を見て楽しそうに笑う。

 「命を使ってできる遊びの方がよっぽど楽しい…」


必死に戦ってる水銀燈を前に、冗談を言っているようにも見えるし狂気の沙汰のようにすら見えるが、めぐは真剣だった。
とても真面目に、今、生きているという事実を楽しんでいるようだった。


命をかけた行為には、目に見える具象的な死がつきまとう。 死を手で触れられるような状況になって初めて、人間は生きている現実を強く実感することが出来る、というのは皮肉な話だ。

せっかく白い悪魔に自由な身体を――おそらくは期限つきで――もらったのに、学校は、実際は病院と大して変わらない退屈な場所だった。
看護師や医師の代わりに教師がいて、病気に蝕まれ囚われている病人たちの代わりに、システムにがんじがらめにされた生徒たちがいるだけだった (それに学校給食も、病院の食事みたいに不味かった)。

めぐは、そんな砂を噛むような思いをするために白い悪魔と取引をしたわけではない。


一方そのころ、そうやって雪華綺晶とめぐの注意が水銀燈たちに向いている間に、みっちゃんは巴を助けだそうと画策していた。

隙をみて、巴のそばに駆け寄る。


 「大丈夫? しっかりして」

みっちゃんの呼びかけに、巴は意識を取り戻す。


 「あなたは」

 「立てる? 今のうちに逃げましょ」


しかし、巴の体に巻きついた茨を引きちぎった時、雪華綺晶が気付く。
みっちゃんは最後の力を振り絞って巴を引き離し、金糸雀に託すが、自身は雪華綺晶の茨に絡み取られてしまう。

雪華綺晶にとっては、巴がみっちゃんに替わったところで、別に不都合はないようだった。


 「第二ドールのマスターでもかまいませんわ、いいでしょう?お父様・・・」

そう言うと雪華綺晶はみっちゃんを茨で捕らえたまま、鏡の奥へ潜っていく。
用を済ませたから、もう長居は無用と言わんばかりに。


 「じゃあ残念だけど、またね水銀燈」

めぐも雪華綺晶について鏡の中へ撤退していく。


 「みっちゃん!! 待ってて、今ッ・・・」

 「私はいいからっ、巴ちゃんを」


必死に追いかけてくる金糸雀に、みっちゃんは、今は巴を守って欲しいと言う。


雪華綺晶とめぐとみっちゃんを呑み込んだ鏡は、扉を閉ざす。 ただの鏡に戻り、入り口の機能を失う。


水銀燈と金糸雀は、気がつくと元の病院のエレベータの中に立っていた。
目の前の鏡は、何事もなかったかのように沈黙している。 今まで起こっていたことを示す痕跡は、なに一つとして残されていなかった。

ただ、世界からみっちゃんが消えてしまっていただけだった。



■ 人形師

薄暗闇の中を、一体の人形が歩いていく。
広い部屋には数本のろうそくだけが灯されている。


部屋の奥が人形師の作業場になっているらしく、そこだけが煌々と明るい。
作業場では、主らしき人物が台に向かって何かを製作していた。

人形がすぐ後ろにまで歩み寄っても、主は作業に熱中していて気がつく気配がない。


 「お父様、ただ今戻りましたわ」

人形は声をかける。

 「私の新しい身体…拵えてくださっていたのですか?」


声をかけた人形は、みっちゃんを捕獲して戻ってきたばかりの雪華綺晶だった。


 「お前が集めてくれたから材料は揃った」

だから、お前には他の誰も持っていない有機の身体を作ってあげよう・・・。


そう言うと、お父様は振り向いて愛おしそうに雪華綺晶を撫でるのだった。

ろうそくがお父様を照らし出す。
その人形師は、鳥海皆人だった。




次回は3号(12/15発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ついに水銀燈とめぐが再会する。しかし雪華綺晶を間に挟んだ二人は、接点を見出せないまま袂を分かつ。一方みっちゃんは巴の救出には成功するが、自身は囚われて鏡の中へ連れ去られてしまう。みっちゃんを連れ去った雪華綺晶を待っていた人形師は鳥海皆人だった。



【 今回の考察 】

TALE 41は、驚きと衝撃の回でした。
人形師・皆人の登場やみっちゃん強奪、たくさんの雪華綺晶人形たちの出現。

そんな中で個人的には「めぐと水銀燈の再会、そして訣別」が、一番心に残りました。


[追記 2012年05月20日]
コミックス7巻で、このTALE41のサブタイトルが「別れ」と判明しました。



▼ めぐと水銀燈

まず、カラー1ページ目の2コマが印象的です。
めぐの表情変化がリアルです、自分の中の悲しい記憶が呼び起こされてしまったくらいに。。

一瞬の戸惑いと懐かしさや親密な記憶が蘇ったような表情から一転して、相手を牽制するような形式的・礼儀上だけの微笑の表情への変化。

めぐの表情カラー


例えば、よりを戻せない相手にばったり会ってしまった時などに出る表情みたいな、そんなめぐの心情がこの絵だけで伝わってくる気がします。


この絵で、めぐは水銀燈を振り切る決意をしていることをなんとなく感じました。
なぜそんなことをしなくてはいけないのか、理由はまだ分かりませんが。

ただそれは、根拠はないけど、水銀燈のためにやっている気がするのです。


  ★―――★―――★―――★―――★―――★―――★

めぐは「往生際悪く生にしがみつき、私欲のために親しい者を裏切る醜い悪役」 を自分に与えて、その役に陶酔しているように見える。

「天使にもたらされる美しい死を待つ薄幸の少女」 という物語を自分のために用意して、それを演じて陶酔していた時のように。

これは現実逃避ではなく、避けがたい死を受け入れるために、噛み付いてくる辛い現実の痛みを、少しでも和らげるために行なっている防衛的なものだと思う。 また、悪役を演じて陶酔する露悪趣味みたいなところは、水銀燈に似ていると思います。


そして、陶酔する一方で、一歩離れたところから冷静に自分を客観視して、自分のやっていることの意味を知っているもう一人のめぐも存在しているようにも思えます。

  ★―――★―――★―――★―――★―――★―――★


それとはまた別のところで、自由に動ける身体を手に入れた喜びと、思う存分に自由を謳歌してみたいという素直な気持ちも伝わってくる。


  「命を使ってできる遊びの方がよっぽど楽しい…」

というセリフは、そういうところから出た本音で、「悪役」を演じるために呟いたセリフではないと思う。


めぐは最初、学校に生きていることを実感できる場を期待していたと思います。 残念ながら学校は、フライドチキンの工場みたいに管理的で画一的で、そこの生徒たちも品質管理されている製品みたいに退屈なもの、とめぐの目には映ったようです (学校に期待し、失望するところは TALE 36 の翠星石を彷彿とさせる、その回の扉絵がめぐと水銀燈だったことも感慨深い)。

今回、戦闘を目の当たりにして、めぐは初めて生きているという実感ができたのだと思います。 だから、水銀燈が戦っているのに、あんなに楽しそうにしていたのだと思う (人が必死になって戦っているのを、無闇に面白がったわけではなく)。


めぐ

めぐと水銀燈、次に会えるのはいつ、どんな状況下でなのでしょう。



▼ みっちゃんと金糸雀

今回、みっちゃんは巴を助け出し、代わりに自分が雪華綺晶に捕まってしまいます。

勇気がいることだし、行動力と決断力も必要です。
普段は飄々としているけど、いざという時に見せるこういう英断は金糸雀と似ている気がします。


みっちゃん
連れ去られるみっちゃんは、最後まで金糸雀を気遣う


みっちゃんが連れ去られたことで、金糸雀は、今までなおざりにしてきたことと正面から向きあう必要に迫られる。

それは、アリスゲームとマスターの優先順位を決めること。


TALE 31 で、金糸雀はマスターは大事だけれど、ローゼンメイデンのドールが優先すべきことはアリスゲームであると、自分の考えを示しました。


迷う金糸雀


しかし、その後も態度を曖昧にしたまま、真紅や翠星石たちと連合を続けていた。
みっちゃんが連れ去られたことで、金糸雀は自分の態度と方針を鮮明にさせておいた方がいいのかもしれない。


今回はみっちゃんとめぐを助け出すため、金糸雀は腕を支え水銀燈に協力する。

金糸雀と水銀燈


これが金糸雀の出した最終的な答えなのか、それはまだ分かりません。


それに・・・
もしかしたら、どちらか1つを選ぶなんて必要もないのかもしれませんし。



▼ マスターたちと雪華綺晶

水銀燈がみっちゃんやめぐを連れ戻すために鏡の中に手を突っ込みますが、その時何かを掴む。
鏡から引っ張り出したのは、同じく有栖川大学病院にいた真紅です。

なぜ、真紅の手が水銀燈の手を握ったのか。
もしかしたら、真紅も同様に鏡に手を突っ込んで、何かを探していたのかも?
(というのも、いきなり空間から手が生えてきたら避けるか払うかして、間違っても、その手を握ったりはしないと思うので。。 あるいは、真紅たちが視界の悪い中を、手探りで進んでいた可能性もありますが)


真紅が鏡に手を伸ばして探すものがあるとしたら、それはジュンの身体だと思う。
ジュンも病室の鏡から、雪華綺晶に連れ去られてしまったのかもしれません。


今までマスターの精神ばかりを狙っていた雪華綺晶ですが、なにやら方針が変わり、身体も狙ってきているみたいなので・・・ (白い人形は黒髪で女の子のマスターを欲しているそうですが、「材料」はたくさんあった方が、なにかと好都合だと思いますし)。

こうなると、同じ病院にあるオディールや結菱氏の身体も心配になってきます。



▼ 鳥海皆人

ジュンの創作能力に憧れ、嫉妬すらしていたという皆人。

鳥海皆人


その夢がかなって、このたび、ついに人形師になりました!


ジュンがめぐに踏まれた日、皆人の持っていた「少女のつくり方」はまだ未開封(?)でした。
それから2、3日しか経っていないと思いますが、いきなり雪華綺晶の世界で「お父様」をやっている皆人。


果たして、皆人の身になにが起こり、これから何を起こすのか。
それは次回以降のお楽しみです!





【 その他 】

スピンオフ漫画 『ローゼンメイデン dolls talk(ドールズトーク)』 新連載!
「りぼん1月号」(集英社・2011年12月1日発売)より連載スタート

ローゼンメイデン dolls talk(ドールズトーク)

  漫画:かるき春
  原案:PEACH-PIT
  掲載:『りぼん』(集英社) → りぼん公式サイト


かるき春先生の描かれる
かわキュートなドールズのりぼんとフリルな日常風景を
楽しんでいただけたら嬉しいな~!と思います。
ももたねは原案という形で監修させていただきます。
本編では最近出番の少ない雛苺の活躍も!私たちも楽しみ♪です。
週刊ヤングジャンプ連載中の本編ローゼンメイデンともども宜しくお願いします。


(PEACH-PIT' days) http://blog.p-pit.net/?eid=1033888  より引用



コミックス 『ローゼンメイデン』 第6巻
2011年11月18日(金)に発売!

コミックス「ローゼンメイデン」6巻お知らせ




『りぼん』 2012年01月号 (Amazon)

ローゼンメイデン 6 (Amazon)





<TALE 41>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年51号 / 11月17日(木)発売
ページ数: 30ページ
登場人物: 水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柿崎めぐ、柏葉巴、草笛みつ、雪華綺晶の分身のような人形、鳥海皆人
備考: カラー3ページ(うち扉絵見開き2P)、サブタイトルなし



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 40
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


関連記事
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ローゼンメイデン tale37

TALE37 / 硝子の靴

あなたの存在が、みんなをイライラさせるの


■ 気付いたら、学校に来ても足が震えることはなくなっていて

月曜日の朝、巴が迎えに行ったときには、ジュンはすでに家を発った後だった。
巴は、通学路の途中でジュンに追いつく。


 「早いね」

 「早起きにも慣れてきたかな……」


転校生についてジュンは巴に尋ねてみる。
クラスメイトに興味を持てるくらい余裕も出てきたのだろう、と巴は考える。

ジュンが女子生徒に興味を持つ・・・。


 「桜田くん…自分以外のこと、背負いすぎていた気がするから…」

と巴は言う。

 「だからそういうの…良い事だと思う」


そうじゃない、自分はただ、めぐの上履きがゴミ箱に捨ててあったから気にしているだけだ・・・とジュン自身は、そう信じているようだった。


それから巴は、転入初日に、めぐがジュンに会うためにこの学校へ来たと言っていた事実を伝える。
だが、ジュンには全く心当たりがない。

いずれにせよ、気がつくと学校へ来ること自体には抵抗を感じなくなってきた。
自分は学校に馴染んできているのだ、とジュンは思う。


ジュンは、もう重くなくなった教室の扉を開ける。



■ ・・・また?

教室に入ると、好意的ではないクラスメイトの視線がジュンに集まってくるの感じる。
周りの空気の質が変わっていき、居心地の悪い空間が自分を覆っていく。


  …また? なんで…

以前も体験した、あの拒絶的な空間だ。


 「アレ、めぐちゃんの上履きだよね」

 「なんであの人の机に」


これか・・・

前日、ゴミ箱の中にめぐの上履きを見つけて、そのままにもしておけず、とりあえずジュンは自分の机にしまっておいた。
それが見つかり、誤解を受けてしまっている。

うまく筋道を立てて事情を説明出来そうにない。

おまけにこの空気に飲み込まれると声がうまく出なくなってしまい、手足の自由までも奪われる。そうやって人間を縛り上げ、支配してしまう種類の空間なのだ。

何も言えずに黙って立っているジュンの横では、誤解や憶測がさらに広がっていく。


そこへ予鈴と同時に、めぐ本人が教室に入ってくる。
上履きではなく、スリッパを履いていた。

それを見たクラスメイトは自分たちの推察の正しさを確信して、めぐに事の顛末を話す。


話しを聞いていためぐだが事態を飲み込むと、それはジュンがやったことではなく自分がやったことだと話す。ジュンは、自分の手違いで捨ててしまった上履きを親切に拾ってくれただけだ、と。

 「助かっちゃった、ありがと」


それでクラスメイトたちの誤解も解ける。
疑ったことを、みんなはジュンに謝る。


体育館での学年集会では誰も助けてくれなかったし庇ってくれなかったけど、今回はめぐがいた、と思うジュン。



■ 少女のつくり方

次の休み時間、礼を言おうと思った時には、もうめぐの姿は教室にはなかった。
だが、ジュンはめぐの行きそうな場所に心当たりがある。

屋上だ。
ジュンは急ぎ、屋上へ向かう。


途中、廊下で皆人に出会う。
ちょうどジュンを探していたところだと言う。

 「ジュンに聞いてほしいことがあって…」

 「ちょっとゴメン、今急いでて」


ジュンは、しかし取り合わない。

 「じゃごめん、今度なっ」


走り去るジュンを見送る皆人は、何かに取り憑かれているみたいに目も虚ろで表情を欠いていた。
皆人が肩から下げているバッグには、何かのケースが入っている。

『少女のつくり方』だった。



■ 本当はシンデレラだって迷惑してたんじゃないかしら

見上げると屋上の扉が開いている。

 「やっぱりあそこだ」


階段を駆け上ろうとしたジュンは、不意にバランスを崩して転倒する。
脱ぎ捨てられた上履きが落ちていて、それに躓いてしまったのだ。


 「王子様オーディションがあったら失格ね」

と、階段の上から声がかけられる。

ジュンが見上げると、めぐが立っていた。
開いた扉から差し込む光を背にしている。逆光になって、表情を読み取ることができない。

 「硝子の靴に躓くなんて、ありえないもの」


ジュンは転んだ拍子に足を挫いてしまったらしく、起き上がることが出来なかった。


 「僕、君にお礼が言いたくて…」

みんなの誤解を解いてもらったことを本当に感謝している、
とジュンは倒れた体勢のまま言う。

しかしめぐにとっては、そんなことはどうでもいいみたいだった。


 「ねぇ上がってこないの? いい天気よ」

 「…ちょっと…立てなくて…」

 「ふうん」


教室にいる時のめぐとは、雰囲気が違ってみえた。


 「目を閉じて いいって言うまで」

とめぐが言う。

 「私ね…あなたのこと、ちょっとだけ詳しいの」


ジュンは目を閉じる。

素足で廊下を歩く時の、ペタペタという粘着性のある足音がする。
めぐは階段を降りている。


 「あのね、あんな靴本当はいらなかったの、ねぇ…どうして拾ったりしたの?」

めぐの声は無機質だった。


それからジュンは何かが体に乗ってくる圧迫感を感じ、目を開く。
めぐの足が押し付けられている。


 「あなたってミジメよね、そうして床に這いつくばって」

ジュンを踏みつけながら、めぐは言う。

 「でも悪いのはぜーんぶあなた自身のせいなのよ、わかる?」


めぐの言葉は辛辣だった。
それはジュンに向けられた言葉だが、同時に、どうしようもできないめぐ自身の運命を呪う言葉にも聞こえた。


 「あなたの存在がみんなをイライラさせるの」



■ あやつり人形


 「あなたの存在がみんなをイライラさせるの」

めぐの言葉に、突然感情が宿る。


しかしそれは、めぐを糸で操っていた者にとっては不本意なことだったらしい。
余計なことをするなと言うように、糸を手繰って注意を促す。


 「なに?わかってるわ、大丈夫よ、手加減なんかしないから」

と、めぐはその場にいない何者かに応えた。




次回は39号(8/25発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ようやく学校に慣れてきたジュンに、クラスメイトたちの猜疑の目が向けられる。その窮地から救ってくれためぐに礼を言うため、休み時間に屋上へ向かうジュン。そこで、普段とまるで様子が異なるめぐを目にする。めぐは何者かによって操られていた。



【 今回の考察 】

今回は《TALE 33》同様、ローゼンメイデンのドールたちが全く出てこない回でした。
しかし純粋に人間たちの物語とは行かず、そこには何者かの思惑が見え隠れする。

ジュンが人形たちの世界から少しずつ離れようとしてるのに対して、皆人は渦巻きに飲み込まれるように(あるいは自分から進んで)人形の世界へ引き寄せられている。また、めぐは何者かの(文字通り)操り人形になっていることが判明する。


▼ 柿崎めぐ

◇支配の程度

めぐが何者かに操られていることが判明する。

その何者かは、黒い衣装を着込んで天井裏に潜み本物の糸を使ってめぐを操っている・・・わけではなさそうです。操り人形のような描写があるけど、もしかしたらそれさえも象徴的に描かれたもので、実際は違う方法で操られているのかもしれない。
いずれにせよ、めぐは操られている。

ただ、

 「あなたの存在がみんなをイライラさせるの」

とめぐが言ったとき、操り手がめぐに何か注意を促している。
その後のめぐのセリフから、「余計なことはしなくていい」というようなことを操り手は言っていると推測できます。

つまりそれは、めぐ本人の意志で「操り手」の思惑にそぐわないことを言ったということで、めぐは意識まで完全に支配されているわけではない、ということになる。

常にめぐとしての意識があるのかはわからないが(病院での「お父様」発言など謎も多い)、少なくとも、例えば《PHASE 43》の濃い霧に出現した蒼星石などに比べると、支配力は全然弱いようにみえる。


あやつり人形
PHASE 28にもあやつり人形の描写が出てくる、今回とは関係なし?


◇操り手の思惑

めぐはジュンにイライラしている。
そこからは、憎しみさえ感じさせる。

そしてめぐは、一度も会ったことのなかったはずのジュンを良く知っていると言う。

 「私ね…あなたのこと、ちょっとだけ詳しいの」


「操り手」がジュンのことを知っているということなのか、その「操り手」を通してめぐ自身がジュンを知っているのかそれはわからない(おそらく両方だと思う)。

ここでは、めぐの「操り手」が雪華綺晶だと仮定

雪華綺晶は、マスターの資質を持つ者を連れ去り養分を吸い上げる。
ところがジュンは自分で扉を開けて、人形たちの世界から離れようとしている。《TALE 36》での翠星石とのすれ違いが示すとおり、ジュンはマスターの資質を失いつつあるように見える。

傷つけようとするのは、再びジュンを家に引きこもらせて、マスターとしての資質を取り戻させようとしているのかもしれない。しかしそれなら、朝の上履き騒動に便乗して、めぐに泣きまねをさせれば済んだことのようにも思えます。

それで済まさなかったのは、雪華綺晶は悔しさから復讐みたいなことを考えているのかもしれない。まかない世界のジュンとの契約を邪魔されたことに対しての「お返し」を・・・ (自分との約束を反故にした水銀燈に対して、めぐを隠すという嫌がらせをしたみたいに)。

(もしそうだとしたら、金糸雀にも相当なお返しを考えていると思われる)



◇めぐが踏むのは自分の影

朝の上履き騒動は、ただめぐ本人の意志で、ジュンを庇ったのかもしれません。
めぐは操られてるだけで、めぐ本人はジュンを傷つけるつもりはないのかも。というのも、2人は元々接点があるわけではないですし。
でも、やはりめぐ自身もジュンに苛立っているのは確かだと思います。


 「あなたの存在がみんなをイライラさせるの」

このセリフは前述のとおり、めぐ本人の意志で発したセリフだと思うので。


これは、ただジュンに対してというより、めぐが(ジュンの中に見た)自分の影に言い放ったセリフのようにも思える。

不治の難病のせいで自分が他人の負担になり、両親の夫婦仲も悪くなり、母親は耐えられずに出ていった。


めぐの思い出
めぐは自分のことを、みんなにとってのお荷物という


そんなお荷物で惨めな自分自身に向けられた言葉でもあるかもしれない。
めぐの心の中で一番暗くて冷たい場所から出てきた言葉なのだと思う。


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めぐは以前、病室に活けられた切花に対しても自分を投影して、その花たちを激しく憎んでいた。 《→ EXTRA TALE


 「生首にされて…根もないくせに、枯れるのを待つだけのくせに…まだ咲いているの」

 「死にかけの死に損ない、いいえ、うまく生きられないんだから、生き損ないって言った方が合ってるかな」

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めぐにとって、水銀燈が死を受け入れて諦観している(詩文的で美しい)面の自分の影だとしたら、ジュンは生を諦めきれず這いつくばっても生きようとする(散文的で醜い)面の自分の影なのかもしれません。


  天使 = 水銀燈 = 現実と死を静かに受け入れる「綺麗な」自分

  生き損ない = 切り花 = カエル = ジュン = 生にしがみついて這いつくばりながら、本当は何かに期待している「惨めな」自分


          ~  ☆  ~  ☆  ~  ☆  ~  ☆  ~


この3人は、3面鏡のようにお互いを映しあっているのかもしれない。

蒼星石は言う。

 「ジュンくんと水銀燈…そして彼女のマスターめぐ、あの3人は奇妙な糸で結ばれている」
TALE 36

心の庭師であり、影を追い求め・そして怯えていた蒼星石だからこそ気が付いた、3人の関係かもしれません。


めぐにとってジュンは、自分の認めたくない面の影・・・

もちろん、めぐ自身はそんなことには気付かない可能性があります。
めぐが意識できるのは、(自分でも理由のよく分からない)ジュンに対する苛立ちと憎しみだけです。

めぐはどこから来ているか分からない自分の中の苛立ちに、後付けの理由をかぶせて、自分を納得させるかもしれない。
罪のない切り花たちを、生首にされてる癖に生きているという理由をつけて憎んだみたいに、徹底的に。
それが、結局は自分自身(自分の影)を峻烈に攻撃しているのかもしれないことに気づくこともなく。


逆に考えると、雪華綺晶がジュンへの「刺客」としてめぐを選んだ理由がその自他をも傷つける攻撃性にあるのだとしたら、雪華綺晶の目的が見えてくる気もします。




▼ 鳥海皆人の「少女のつくり方」

皆人の元に「少女のつくり方」が届いたようです。
そして、ジュンに見てもらうため(?)学校へ持ってくる(前日、ジュンが翠星石を学校へ連れてきたことはさすがに知らないと思うけど、奇しくも、憧れているジュンと同じことをしたことになる)。

鳥海皆人と少女のつくり方
皆人が学校に持ってきた少女のつくり方、定価設定は安定の1280円


◇皆人の持つ少女のつくり方の中身

今まで本編では、2シリーズの「少女のつくり方」が登場した。
いずれも、まかない世界のジュンの元に届けられた。

1),「少女のつくり方」・真紅のレプリカ
真紅が奪われた自分の本体を取り戻すために、緊急避難先として送り込んだレプリカ。
あくまで模倣品だが、作り手によってはローザミスティカを入れると仮の体として使えるようになる。
ただしリスクも高く、また1週間という期限もついていた。

2),「新・少女のつくり方」・蒼星石の本体
雪華綺晶が第2の「家」として使うために、まかない世界へ送り込んだ蒼星石の本体。
他のドールのボディを自分のものとして利用できるのは、幽体である雪華綺晶ならではのようだ。


皆人の元に届いた「少女のつくり方」は、今のところ正体不明。

ただ、上記の2つのうち1)のレプリカとは考えづらい。雪華綺晶と雛苺を除く全てのドールは自分の本体に収まっていて、リスクを冒してレプリカに乗り移る必然性が全くないので。
2)のドール本体のパターンだとすれば、皆人の元に送られて来ているボディは消去法で雛苺のものとなり、送り主は雪華綺晶、皆人を何らかの理由で狙っているということになってくる。その場合、真紅の中の雛苺のローザミスティカが気づくのかベリーベルが反応するのか、または、雛苺の友達のボス猫が気づくのか・・・。ただ、以前この方法を使った雪華綺晶は、みすみす蒼星石のボディを失ってしまったので、今回は何かひねりを加えてくると思われる。

あるいは、1),2)のどちらでもなく全く新しいパターンかもしれません。
(次回以降のお楽しみ!!)


桜田ジュン(大)と少女のつくり方
真紅に止められていた「新・少女のつくり方」に手を出そうとしているジュン




<TALE 37>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年34号 / 7月21日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: ジュン、柿崎めぐ、柏葉巴、鳥海皆人
備考: カラー扉



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 36
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


関連記事
ローゼンメイデン tale35

TALE35 / 友達

哀れみなんかじゃない、君は僕と…よく似ている


■ 俺ジュンになりたいんだ

 「みんな出かけている?」

皆人は少し驚いて聞き返す。
人形が出かける……?


 「出かけるって…ローゼンメイデンが?」

 「うん…家中どこにもいないからさ…」


学校帰り、ローゼンメイデンを見せてもらいたいと頼み込みジュンの部屋を訪れた皆人。
だが、あいにくドールたちは留守にしていた。


 「じゃあ、せめて写真か何かないのか?」

諦めきれない皆人は食い下がる。


写真もなかった。
ジュンは代わりに、スケッチブックに真紅たちを描いてみせる。

いずれにせよ、生きた人形が存在しているという証拠はどこにもなかった。
自分のことを夢と現実の区別がつかない人間と思うかもしれない、あるいは単なるホラ吹きと思うかもしれない。


しかし皆人は疑うどころか、ジュンの話を聞いた。
とても真剣に。


 「本当にいるんだ…ローゼンメイデン」

話を聴き終わった皆人は、感心したようにつぶやく。

 「やっぱりジュンは特別だ、選ばれたんだよ」


信じてくれるとは思わなかった、とジュンは言う。


 「信じるさ」

皆人は顔を紅潮させ、ジュンが思ってもみなかった言葉を口にする。

 「俺、ジュンになりたいんだ」



■ 「9秒前の白」の河口にて

蒼星石が扉に入って目にしたものは、裸でうずくまる水銀燈だった。

両手で自分の体を抱え込み、不安で五体がバラバラになってしまうのを必死にこらえているように見える。


気配に気が付いた水銀燈が振り向く。
その目は赤く腫れて、涙を流していた。

 「ここは暗くて、何も見えないの…」


蒼星石が手を差し伸べる。
その瞬間、水銀燈の姿は消えてしまう。

水銀燈は鏡に映しだされた像だった。


  探しものは見つかりましたか?


蒼星石を囲む9面の鏡は、再び心の断片を映し出す。
今度は水銀燈やめぐ、ジュンに関する記憶の映像だった。


それは突然、外から打ち砕かれる。

 「呆れるわね、悪趣味ったらない」


鏡を砕き、現れたのは「いつもの」水銀燈だった。

だが蒼星石は、先程の不安そうにうずくまる水銀燈の姿を拭い去ることができない。
蒼星石は何かを必死を求める水銀燈の姿に、かつての自分の姿を重ね合わせずにはいられなかった。


 「よして、哀れみのつもり?」

水銀燈は少し語尾を荒らげる。


 「哀れみなんかじゃない」

蒼星石は言う。

 「君は僕と…よく似ている」



■ ある物はあるままの形に

水銀燈は、蒼星石に「預けてある」ローザミスティカの返却期限を告げる。

 「あの子を見つけて、取り戻すまでよ」


 「めぐだね?」


めぐを失い必死で追い求める今の水銀燈は、名前を忘れて迷子になってしまった頃の自分みたいだ、と蒼星石は思う。


自分には、呼んでくれるジュンと翠星石がいた。
だから水銀燈も……。

 「僕は僕自身を取り戻した…君も取り戻すべきだ」


それから蒼星石は、めぐ探しの手伝いをすると伝える。

めぐを取り戻したら、水銀燈に生命のカケラというべきローザミスティカを渡さないといけない。
それは自分から進んで、寿命を縮めるということだ。


 「…呆れるわね、律儀を通り越してバカげてるわ」


そうかもしれなかった。
でも、ドールとマスターは、お互いを必要としている限り離れてはいけないのだ。


 「ある物はあるままの形に、だから」

蒼星石は言った。



■ 魔女は毒の林檎をこしらえる

一つの幕が降りるのを待っていたかのように「手」が現れ、拍手をする。

「手」はどことなく満足気で、機嫌が良さそうに見えた。
おそらく首尾よくことが運び、劇は筋書き通りに進んだのだ。


 「ここは現在?過去未来?」

「手」がそう言うと、また別の鏡が現れる。


 「ここにございますは真実の鏡、真実ばかりを映し出す」

「手」は、芝居かかって鏡を紹介する。

 「魔女に毒の林檎をこしらえさせる位には正直者にございます」


そして、水銀燈と蒼星石に鏡を覗き込むように促す。

2人は真実の鏡の中に、水晶の棺に眠るジュンの姿を見る。



その頃、ジュンの家を出た皆人は何かにとり憑かれたように独り言を口にしていた。

 「なりたい…なる…僕はジュンになる…」


なる――…




次回は30号(6/23発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ジュンの部屋を訪れた皆人は、ローゼンメイデンに会うことは叶わなかったがその存在を確信し、マスターであるジュンに強い羨望の念を抱く。一方、「手」に導かれた蒼星石は水銀燈と出会う。2人が真実を映す鏡の中に見たものは、水晶の棺で眠るジュンの姿だった。



【 今回の考察 】

▼ 蒼星石と水銀燈

今回、うずくまる水銀燈を見つけた蒼星石は、声をかけて呼びかける。
しかし、その声は届かない。

また、水銀燈は探しものをしていたと言う。
水銀燈の探す「自分を繋ぎ止めてくれるマスター」、それは蒼星石が探し続けていた「切り離された自分の影」同様に、己の輪郭を保つために大切なものだ。草の根を分けてでも探し出して、取り戻さなければならない。

届かない声、探しもの、自分自身を保てなくなるような不安感・・・それら水銀燈の抱え込んでいるものは蒼星石に、かつて名前を失い迷子になっていた時のことを思い出させる。以前の自分をそこに見出す。
(そして蒼星石もまた、雪華綺晶に前マスターを連れされてしまっている)

蒼星石と水銀燈
蒼星石は、水銀燈に自分の姿を重ねる


◇「手」が二人を引き合わせた目的

前回、蒼星石は「手」によってこの「9秒前の白」の河口に導かれた。
水銀燈は自分では迷い込んだと言っているが、おそらく蒼星石同様、意図的に導かれたに違いない(nのフィールドは、偶然に出会うにはあまりに広大すぎる・・・ハズ)。

二人の出会いは、「手」によって仕組まれた可能性が高い。

今回、二人が出会ったことで

 ・蒼星石が(水銀燈のマスターである)めぐを一緒に探すと申し出た。
 ・ローザミスティカの譲渡期限が定まった。
 ・2人は、(蒼星石のマスターである)ジュンの水晶で眠る姿を見せられた。


ということに相成った。

そのことから、蒼星石と水銀燈は、二人のマスターであるジュンとめぐに関することで引き合わされた可能性が高い。しかし、ジュンに関することなら真紅達も無関係ではない。


わざわざこの二人だけを引きあわせたということは、ローザミスティカの取引に関することかもしれません。
あるいは、雪華綺晶に捕まったマスターたちを救い出すという真紅たちの協力体制を煩わしく思って、あえて「契約していない邪魔者たち」を排除したのかもしれません。

いずれにしても「馴れ合いが好きではない」この二人は、なんだかんだでコンビを組んだり取引をすることが多い気がします。

前回のコンビ結成時は水銀燈が蒼星石を一方的に利用しようとしたが、今回は蒼星石が自分の損を承知で水銀燈に協力を申し出ているのも面白い。



▼ 水晶の棺に眠るジュン

今回のラストは、なかなか衝撃的だ。
蒼星石と水銀燈は、真実の鏡の中に水晶の棺で眠るジュンを見るというところで終わる。

水晶の棺の中のジュン
真実の鏡が映し出したのは、水晶の棺に眠るジュンの姿だった


◇ いつ、どこのジュン?

 ・違う世界のジュン
 ・近い未来の、まいた世界のジュン


水晶の棺に眠らされるのは精神だが、その姿は肉体と同じ姿をとるらしい。

棺の中のジュンは中学生くらいだから、まかなかった世界の大学生のジュンということはないと思われる (また、登場もしていないどこかで分岐した他の世界のジュンというのも、少々飛躍しすぎている気がする)。

そして、現在のジュンは、おそらくまだ精神をとられた状態ではないはず (断定は出来ませんが)。

ということで、まいた世界の近い未来のジュンという線が妥当かも。
「ここは現在?過去未来?」 という「手」のセリフがあるし。


◇ 毒の林檎で眠らされた?

今回、皆人がジュンに強い憧れを抱いている様子が強調されている。
まるで、白雪姫の美しさに羨望して嫉妬する悪い魔女みたいに。

「魔女に毒の林檎をこしらえさせる位には正直者にございます」

という「手」の言ったセリフはもちろん白雪姫の話からの引用で、真実を映す鏡のことを言ったのだが、一方で、羨望した皆人を魔女と見立て、ジュンが毒の林檎を食べ白雪姫のように眠りにつくということを暗示しているようにも思える。




<TALE 35>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年26号 / 5月26日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: ジュン、鳥海皆人、蒼星石、水銀燈、手
備考: カラー扉



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 34
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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