山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン tale35

TALE35 / 友達

哀れみなんかじゃない、君は僕と…よく似ている


■ 俺ジュンになりたいんだ

 「みんな出かけている?」

皆人は少し驚いて聞き返す。
人形が出かける……?


 「出かけるって…ローゼンメイデンが?」

 「うん…家中どこにもいないからさ…」


学校帰り、ローゼンメイデンを見せてもらいたいと頼み込みジュンの部屋を訪れた皆人。
だが、あいにくドールたちは留守にしていた。


 「じゃあ、せめて写真か何かないのか?」

諦めきれない皆人は食い下がる。


写真もなかった。
ジュンは代わりに、スケッチブックに真紅たちを描いてみせる。

いずれにせよ、生きた人形が存在しているという証拠はどこにもなかった。
自分のことを夢と現実の区別がつかない人間と思うかもしれない、あるいは単なるホラ吹きと思うかもしれない。


しかし皆人は疑うどころか、ジュンの話を聞いた。
とても真剣に。


 「本当にいるんだ…ローゼンメイデン」

話を聴き終わった皆人は、感心したようにつぶやく。

 「やっぱりジュンは特別だ、選ばれたんだよ」


信じてくれるとは思わなかった、とジュンは言う。


 「信じるさ」

皆人は顔を紅潮させ、ジュンが思ってもみなかった言葉を口にする。

 「俺、ジュンになりたいんだ」



■ 「9秒前の白」の河口にて

蒼星石が扉に入って目にしたものは、裸でうずくまる水銀燈だった。

両手で自分の体を抱え込み、不安で五体がバラバラになってしまうのを必死にこらえているように見える。


気配に気が付いた水銀燈が振り向く。
その目は赤く腫れて、涙を流していた。

 「ここは暗くて、何も見えないの…」


蒼星石が手を差し伸べる。
その瞬間、水銀燈の姿は消えてしまう。

水銀燈は鏡に映しだされた像だった。


  探しものは見つかりましたか?


蒼星石を囲む9面の鏡は、再び心の断片を映し出す。
今度は水銀燈やめぐ、ジュンに関する記憶の映像だった。


それは突然、外から打ち砕かれる。

 「呆れるわね、悪趣味ったらない」


鏡を砕き、現れたのは「いつもの」水銀燈だった。

だが蒼星石は、先程の不安そうにうずくまる水銀燈の姿を拭い去ることができない。
蒼星石は何かを必死を求める水銀燈の姿に、かつての自分の姿を重ね合わせずにはいられなかった。


 「よして、哀れみのつもり?」

水銀燈は少し語尾を荒らげる。


 「哀れみなんかじゃない」

蒼星石は言う。

 「君は僕と…よく似ている」



■ ある物はあるままの形に

水銀燈は、蒼星石に「預けてある」ローザミスティカの返却期限を告げる。

 「あの子を見つけて、取り戻すまでよ」


 「めぐだね?」


めぐを失い必死で追い求める今の水銀燈は、名前を忘れて迷子になってしまった頃の自分みたいだ、と蒼星石は思う。


自分には、呼んでくれるジュンと翠星石がいた。
だから水銀燈も……。

 「僕は僕自身を取り戻した…君も取り戻すべきだ」


それから蒼星石は、めぐ探しの手伝いをすると伝える。

めぐを取り戻したら、水銀燈に生命のカケラというべきローザミスティカを渡さないといけない。
それは自分から進んで、寿命を縮めるということだ。


 「…呆れるわね、律儀を通り越してバカげてるわ」


そうかもしれなかった。
でも、ドールとマスターは、お互いを必要としている限り離れてはいけないのだ。


 「ある物はあるままの形に、だから」

蒼星石は言った。



■ 魔女は毒の林檎をこしらえる

一つの幕が降りるのを待っていたかのように「手」が現れ、拍手をする。

「手」はどことなく満足気で、機嫌が良さそうに見えた。
おそらく首尾よくことが運び、劇は筋書き通りに進んだのだ。


 「ここは現在?過去未来?」

「手」がそう言うと、また別の鏡が現れる。


 「ここにございますは真実の鏡、真実ばかりを映し出す」

「手」は、芝居かかって鏡を紹介する。

 「魔女に毒の林檎をこしらえさせる位には正直者にございます」


そして、水銀燈と蒼星石に鏡を覗き込むように促す。

2人は真実の鏡の中に、水晶の棺に眠るジュンの姿を見る。



その頃、ジュンの家を出た皆人は何かにとり憑かれたように独り言を口にしていた。

 「なりたい…なる…僕はジュンになる…」


なる――…




次回は30号(6/23発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ジュンの部屋を訪れた皆人は、ローゼンメイデンに会うことは叶わなかったがその存在を確信し、マスターであるジュンに強い羨望の念を抱く。一方、「手」に導かれた蒼星石は水銀燈と出会う。2人が真実を映す鏡の中に見たものは、水晶の棺で眠るジュンの姿だった。



【 今回の考察 】

▼ 蒼星石と水銀燈

今回、うずくまる水銀燈を見つけた蒼星石は、声をかけて呼びかける。
しかし、その声は届かない。

また、水銀燈は探しものをしていたと言う。
水銀燈の探す「自分を繋ぎ止めてくれるマスター」、それは蒼星石が探し続けていた「切り離された自分の影」同様に、己の輪郭を保つために大切なものだ。草の根を分けてでも探し出して、取り戻さなければならない。

届かない声、探しもの、自分自身を保てなくなるような不安感・・・それら水銀燈の抱え込んでいるものは蒼星石に、かつて名前を失い迷子になっていた時のことを思い出させる。以前の自分をそこに見出す。
(そして蒼星石もまた、雪華綺晶に前マスターを連れされてしまっている)

蒼星石と水銀燈
蒼星石は、水銀燈に自分の姿を重ねる


◇「手」が二人を引き合わせた目的

前回、蒼星石は「手」によってこの「9秒前の白」の河口に導かれた。
水銀燈は自分では迷い込んだと言っているが、おそらく蒼星石同様、意図的に導かれたに違いない(nのフィールドは、偶然に出会うにはあまりに広大すぎる・・・ハズ)。

二人の出会いは、「手」によって仕組まれた可能性が高い。

今回、二人が出会ったことで

 ・蒼星石が(水銀燈のマスターである)めぐを一緒に探すと申し出た。
 ・ローザミスティカの譲渡期限が定まった。
 ・2人は、(蒼星石のマスターである)ジュンの水晶で眠る姿を見せられた。


ということに相成った。

そのことから、蒼星石と水銀燈は、二人のマスターであるジュンとめぐに関することで引き合わされた可能性が高い。しかし、ジュンに関することなら真紅達も無関係ではない。


わざわざこの二人だけを引きあわせたということは、ローザミスティカの取引に関することかもしれません。
あるいは、雪華綺晶に捕まったマスターたちを救い出すという真紅たちの協力体制を煩わしく思って、あえて「契約していない邪魔者たち」を排除したのかもしれません。

いずれにしても「馴れ合いが好きではない」この二人は、なんだかんだでコンビを組んだり取引をすることが多い気がします。

前回のコンビ結成時は水銀燈が蒼星石を一方的に利用しようとしたが、今回は蒼星石が自分の損を承知で水銀燈に協力を申し出ているのも面白い。



▼ 水晶の棺に眠るジュン

今回のラストは、なかなか衝撃的だ。
蒼星石と水銀燈は、真実の鏡の中に水晶の棺で眠るジュンを見るというところで終わる。

水晶の棺の中のジュン
真実の鏡が映し出したのは、水晶の棺に眠るジュンの姿だった


◇ いつ、どこのジュン?

 ・違う世界のジュン
 ・近い未来の、まいた世界のジュン


水晶の棺に眠らされるのは精神だが、その姿は肉体と同じ姿をとるらしい。

棺の中のジュンは中学生くらいだから、まかなかった世界の大学生のジュンということはないと思われる (また、登場もしていないどこかで分岐した他の世界のジュンというのも、少々飛躍しすぎている気がする)。

そして、現在のジュンは、おそらくまだ精神をとられた状態ではないはず (断定は出来ませんが)。

ということで、まいた世界の近い未来のジュンという線が妥当かも。
「ここは現在?過去未来?」 という「手」のセリフがあるし。


◇ 毒の林檎で眠らされた?

今回、皆人がジュンに強い憧れを抱いている様子が強調されている。
まるで、白雪姫の美しさに羨望して嫉妬する悪い魔女みたいに。

「魔女に毒の林檎をこしらえさせる位には正直者にございます」

という「手」の言ったセリフはもちろん白雪姫の話からの引用で、真実を映す鏡のことを言ったのだが、一方で、羨望した皆人を魔女と見立て、ジュンが毒の林檎を食べ白雪姫のように眠りにつくということを暗示しているようにも思える。




<TALE 35>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年26号 / 5月26日(木)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: ジュン、鳥海皆人、蒼星石、水銀燈、手
備考: カラー扉



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 34
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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