山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン0-ゼロ- 第2階

ローゼンメイデン0-ゼロ- / 第2階

ここは夢と現のはざまの塔だから



すべての始まりは夢からだった。
そこに眠っていたのは、世にも美しい少女…。



■ 12階

この日も坊ちゃんは遥雲閣へ来ていた。
街も人も塔も、いつもと変わらないように見えた。

昇降機ガールが前日から姿を見せない、という話を小耳に挟む。
多くの人にとっては、それも取るに足らない些末なニュースのようだった(明日になれば、全てはまたいつも通りに戻っているのだろう)。

ただ、その昇降機ガールが菊の妹だと聞かされていた坊ちゃんには、少し引っかかるものがあった。


坊ちゃんを乗せたエレベーターは12階に到着する。
ここが塔の最上階で、展望室となっている。

これより上に階は存在しない。



■ 魔法つかいの建てた塔

坊ちゃんは、この12階からの景色が好きだった。

東京の街を一望できるくらいに高かったし、同時に、路地の様子や往来する人たちの背格好もはっきりと認識できるくらいに低かった。
遠眼鏡でのぞきこめば、いつもの日常世界は消え失せ、全く新しい世界が立ち上がってくる。

この展望室は高すぎもしないし低すぎもしない、ちょうど「はずま」のような高度にあった。

この塔を建てた人物は「幻郷」の出現する高さを、きちんと知っていたのかもしれない。


 「魔法つかいが建てたなんて触れ込みも、頷ける」

坊ちゃんは、一心不乱に遠眼鏡の中の世界を覗き続ける。
せっかく開かれた「幻郷」の扉が、閉じてしまわぬように。



■ 夢と現のはざま

やがて日没を迎える。
吹きさらしになっている展望室は、いよいよ風が冷たい。
時間切れのようだった。

この日も、坊ちゃんは薔薇乙女を見つけることができなかった。

下の階の休憩室へと降り、それから自分は少し休んでからいくと言って、付き添いの運転手を先に車に帰す。
坊ちゃんは一人で休憩室の椅子に座り、目を瞑る。


少し眠ってしまったようだ。
気付くと、あたりはすっかり薄闇に包まれていた。
自分の他には誰もいない。

いつかの夢で見た汽車の中の風景みたいだ、と坊ちゃんは思う。
もしかしたらここは、初めて薔薇乙女に逢ったあの夢の続きなのかもしれない――夢と現実が混ざり合うあの領域――。

休憩室にぼんやりと灯りがともり、窓の外は一段と暗くなる。


そして、水銀燈が現れる。



■ 水銀燈

坊ちゃんは薔薇乙女の姿を見てもあまり驚かない。
むしろこの場所では、そうして現れることのほうが自然で当たり前のように思われた。

水銀燈は、そんな坊ちゃんのリアクションに少しがっかりする。
もうちょっと驚いてくれたり怖がってくれたほうが、水銀燈としては主導権を握りやすいから。


坊ちゃんは、自分は薔薇乙女のうちの一人を探し求めている、しかし探しものは君ではない、と水銀燈に告げる。

水銀燈もそれ以上深く追及しない。
この坊ちゃんが姉妹の誰を探してるかは、あまり重要ではないようだった。


 「貴方は夢幻の中に『薔薇乙女』の誰かを探している」

水銀燈は言う。

 「この私もね」


坊ちゃん同様、水銀燈も薔薇乙女の一人を探しているらしい。
探しているのは「第0ドール」、8人目の姉妹。



■ 菊と翠星石の決意

菊は、華の行方不明のことを帰宅した坊ちゃんから知らされる。

心配させまいと平静を装ってはいるけれど、誰よりも妹の華のことを知っている菊が動揺していることは、翠星石にも伝わってきた。


菊は、明日は休みをもらって遥雲閣へ行ってみるつもりだと言う。
翠星石もその手助けをしたいからと、同行を申し出るのだった。




次回は2016年5月号(4/19発売)掲載予定


【 今回のあらすじ 】
遥雲閣に通い詰める坊ちゃんの前に水銀燈が現れる。水銀燈もまた薔薇乙女の一人を求めて、この塔に辿りついたという。探しているのは第0ドール。一方、妹の華が姿を消してしまったと聞かされた菊も、手がかりを追って、翠星石と共に遥雲閣へと向かうことになった。



【 今回のローゼンメイデン 】

第1話の時点でいろいろと謎が出てきたので、今回の第2話で少しは状況が整理されると思いきや、逆にさら広がっていき、絡まった糸がますますこんがらがってしまったような印象を受けました。
物語はいよいよ複雑な様相を呈してきました(もちろん良い意味で)。

今回は水銀燈の登場と、そして「第0ドール」が衝撃的でした。



▼ 水銀燈

『Rozen Maiden』『ローゼンメイデン』に続きこのシリーズでも、水銀燈は2番目に登場した薔薇乙女となりました。

水銀燈は起承転結の「承」の役割を担っているようで、彼女の登場によって物語がさらに広がっていく印象を受けます。

第2階 水銀燈登場


今回、水銀燈は「第0ドール」をストーリーに持ち込みます。



▼ 第0ドール

水銀燈は「第0ドール」を探していると言う。
第0ドールが既に登場していてる誰かなのか、全くの新しいキャラクターなのかは不明。

物質の器を持たない(「ジャンクにもなれない哀れな幻影(→ TALE 10)」の)雪華綺晶のことを言ってるのかとも思いましたが、水銀燈は「8人姉妹」と明言しているので、少なくとも既出のローゼンメイデン7姉妹の誰でもないのは確かなようです。

もちろん水銀燈の思い違いにすぎない可能性もありますが、彼女はその存在を強く確信しています。


◇ 「第8ドール」ではない8人目の薔薇乙女

8人目のローゼンメイデンが、「第8ドール」ではなく「第0ドール」であることは不思議です。

そして「第0ドール」の存在を知っているのは、おそらく第1ドールである水銀燈だけだと思われます(少なくとも、今回「七姉妹」と言っていることから、翠星石は第0ドールの存在を知らない)。

翠星石と水銀燈(と読者)
8人目の存在を知っているのは水銀燈だけ?


以上の点から推測できることの1つは、水銀燈が作られた直後、初めてお父様の箱庭世界に連れてこられた時に、そこで「第0ドール」の姿を目にしたのかもしれない、ということです。
と言うのも、もし街や森で突然見知らぬドールが水銀燈の目の前に現れて、その相手がローザミスティカを持つローゼンメイデンだと分かったら、まず新しい妹「第8ドール」と考えるのが自然なので。というか、もしこれが過去編なら、まだ水銀燈は雪華綺晶の姿を見てないということになるので、その新顔が「第7ドール」であると考えるはずです。

第7や第8ではなく、やや飛躍して「第0ドール」であると水銀燈が確信したのなら、その確信に至るシチュエーションというのはかなり限定されてくると思われます。


もし、最初の薔薇乙女であるはずの自分よりも先に姉が存在していたということになれば、水銀燈にとってはかなり衝撃だったと思います。そして長い間、他の姉妹にも話さず共有もできず、重大な秘密と不安を一人で抱え込んでいたということになります。


その他、ローゼンメイデン・シリーズの大腿部内側にはナンバーが刻印されていますので、水銀燈がそれを見た可能性も考えられます。


◇ 第0ドールと13階

そもそも序数詞ではない 0 をナンバリングしたドールというのは、今回坊ちゃんが言った通り、本来であればおかしいですし成り立たない気もします。

ただ「序数としての0」に関しては、例えば、イギリスなどヨーロッパの多くの国では「Ground Floor」の概念がありますが、これは建物によっては「0階」と表記されることもあるようです。考え方の違いから来るものですので、日本人にしてれみば0階なんておかしな感じですが、それを使う国の人たちにとっては当然の感覚なのだと思います。

さて、もし遥雲閣十二階に0階があってそれを含めて12階だと言ってるのだとしたら、日本での数え方では遥雲閣の最上階は13階ということになり、ここに、ないはずの13階が出現します。

もちろん、遥雲閣は日本の建物ですから12階は12階ですし、作中での13階出現はそういう意味ではありませんでしたが、茫洋とした第0ドールのイメージを何とか掴むために(便宜的に0を序数として用いている)「Ground Floor(0階)」という考え方を持ち込んでみるのも、1つの手がかりになるのかもしれません。



▼ 十二階 ――魔法つかいの建てた塔――

◇ 展望室からの眺め

十二階の展望室に上がりそこから遠眼鏡で覗くことで、いつものよく知っている世界が全く違った世界に見えてくる、と坊ちゃんは言います。

「別の世界から見た現実世界」というのは真紅が『第0世界』で状況を説明した時のセリフですが、これに通じるものがあるようにも思えます。 《→ 『Rozen Maiden』PHASE4》

RozenMaiden Phase4 第0世界
『Rozen Maiden』Phase4の第0世界


◇ 夢と現のはざまの塔

坊ちゃんはまた、遥雲閣を「夢と現のはざまの塔」と表現します。

そして夢と現の「はざま」というのは、プラスのマイナスの「はざま」に位置する 0 という数字を彷彿とさせます。
『ローゼンメイデン0』では既に「出現(プラス)」と「消失(マイナス)」が頻出していますが、それらがこの遥雲閣を起点としているところも興味深いです。

数字がプラスとマイナスを行き来するには、どうしても「0」というポイントを通過する必要があるのと同様に、遥雲閣にも何か「出入り口」的な要素があるのかも・・・とか。



▼ 出現と消失

状況整理もかねて、少しだけ書き出してみました。

□ 本来は存在しないはずなのに、世界に出現したもの
・ 薔薇乙女
・ 遥雲閣の13階
・ 第0ドール
・(坊ちゃんの夢の中に出てきた紳士)
・(12階展望室から覗く遠眼鏡の中に出現する「幻郷」)

□ 存在すべきなのに、世界から消えてしまったもの
・ 菊の妹・エレベーターガール華
・(翠星石の記憶、鞄、蒼星石)
・(人工精霊) ← 単に描く必要がなかっただけの可能性大



▼ 坊ちゃんの探している薔薇乙女 = 真紅

水銀燈の登場や第0ドールの存在でますます謎が深まった今回第2階ですが、判明したこともあります。
その1つが、坊ちゃんの探している薔薇乙女は真紅であるということ。

坊ちゃんは夢の中で真紅を見てから、すっかり心を奪われたという。
以後、本当に存在するかも分からない薔薇乙女について熱心に調べ始めます。

今回、水銀燈は何か思惑があるのかないのか、坊ちゃんの薔薇乙女探しの手助けをすると申し出ます。もし彼の探しているのが真紅だと知っていたら、また少し違ったことになってたかもしれません。




<第2階>
掲載: ウルトラジャンプ 2016年4月号 / 3月19日(土)発売
ページ数: 28ページ
登場人物: 菊、坊ちゃん、運転手さん、翠星石、水銀燈
備考:



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階


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ローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階

ローゼンメイデン0-ゼロ- / 第1階

マキマスカ・マキマセンカ



 「これが気になるのでございましょう」

その日、僕は奇妙な紳士と出会った。
今となっては、それが夢だったのか現実だったのかも分からない。


 「良いですとも、あなたにならお見せしましょう」

そう言って、男は持っていた鞄の蓋を開ける。

 「この愛おしい薔薇乙女(ローゼンメイデン)を」



■ 屋根裏の人形

場面は変わり、大正時代の東京。
大きなお屋敷で女中として働く少女の菊は、上京して日も浅く、まだ仕事にも慣れていない様子だった。

ある日、菊は大切な皿を割ってしまい、ガラクタ置き場となっている屋根裏部屋を一人で掃除するように申し渡される。
そこで、まるで生きているような精巧な造りの人形を見つける。

すっかり魅せられた菊は、憑りつかれた様にこの人形を自分の部屋に持ち帰る。



■ マキマスカ・マキマセンカ

他の土地や国から来たばかりの人たちがよくそうしてしまうように、菊もまた、自分の話し方が周りと違うことを気にしていた。
仕事が終わったあとに時々、菊は部屋で一人、東京言葉の練習もしているようだった(そして、語尾に「です」を付けるとたちまち、全てを東京言葉に変えてしまうというスゴイ裏技も発見していた)。


この日の菊は一人ではなかった。屋根裏で見つけた人形を相手に、発声と自己診断をしてみる。
実のところ菊は、自分で発見した「です」を付けるという裏技の効能に最近、少しずつ疑念を抱き始めていた。自分はなにか重大なミスを犯しているのではないか、と。

ともあれ菊は人形に話しかける、呼びかけてみる。


その時、タグのついた鍵のようなものに気付く。
ゼンマイだ。
まるで菊の呼びかけに応じて、ゼンマイが現れたようにも見えた。

タグには、“マキマスカ・マキマセンカ” という呪文のような一文が記されている。

人形の背中に穴を確認した菊は、ゼンマイを差し込み、巻いてみる。



■ 届け物

菊の働くお屋敷には、坊ちゃんと呼ばれる青年がいる。
坊ちゃんはどこか儚げだった。何かを探し求めているような、遠くだけを見つめているような眼差しをしていた。

菊は密かに、この坊ちゃんに想いを寄せている。


 「そうだよ、坊ちゃんにこの忘れ物を届けておくれ」

朝、突然坊ちゃんへのお使いを言い渡される菊。
坊ちゃんと話をするチャンスではあるのだけれど……。

坊ちゃんはもともと体が弱く外出を控えがちだったが、このところは毎日のように、別段用事もないのに遥雲閣へ通いつめているという。
当然、女中の間で様々な噂や憶測が飛び交うことになる。


坊ちゃんを乗せた車は路肩に停まって、菊の到着を待っていた。
菊は忘れ物の風呂敷包みを手渡す。
その時、ちらりと包みの中身が見える。
ありがとう、と言って坊ちゃんは車窓の中から受け取る。全ては事務的だ。

女中に対しても物腰が柔らかく丁寧だけど、心ここにあらずという印象だった。
坊ちゃんは遥か遠くだけを見ている……。

渡した包みの中身が遠眼鏡(双眼鏡)だったことも、なにか関係してるのだろうか、と菊は考える。



■ 翠星石

ぜんまいを巻くと、屋根裏で見つけた人形は動き出した。
そして、そのままベッドの下に走り去ってしまった。

おそらくはそういう仕掛けのカラクリ人形なのだろうけれど、一方で、まるで人形には意思があって、驚いて逃げてしまったようにも菊には見えた(もしこの人形に人間みたいな意思があったら、こちらの話もしっかり聞いてくれるのに、という菊の願望がそう錯覚させたのかもしれない)。

いずれにしても今の菊は、話を聞いてくれる相手が欲しかった。
腑甲斐無い自分や対照的にモダンで華やかな妹のことへの愚痴をぶちまけても、静かに受け止めてくれて、優しい言葉を探してきてくれる……間違っても自分を罵ったりなんかしない、そんな相手が。

その点、愛らしくていかにも大人しそうなこの人形は打ってつけの相手のように思えた。

しかし、この人形は翠星石だった。



■ 薔薇乙女

『薔薇乙女(ローゼンメイデン)』、それが坊ちゃんの探しているものだった。
そして、この屋根裏の人形こと翠星石がその薔薇乙女だという。

翠星石は人形ではあるけれど、自分の意思で動くし話もできる、キャラメルもムシャムシャ食べる。
どうやら、かなり特別な人形のようだ。
坊ちゃんが『薔薇乙女』を必死に探すのも、少し分かる気はする。

一方で謎も残る。


 「僕の探しているものはもっと途方もない」

食後のコーヒーを飲みながら、坊ちゃんは言った。

 「ずっと遥か遠くにいるんだ」


坊ちゃんは、自分の屋敷のガラクタ置き場にこの人形が存在していることを知らなかったのだろうか。
そもそも、たまたま名前が一緒なだけで、坊ちゃんの探してる『薔薇乙女』がこの翠星石であるとは限らない。坊ちゃんが探しているのは人形などではなく(菊的には一番考えたくないことだが)、本当に薔薇乙女と呼ばれる人間の女性なのかもしれないのだから。

いずれにせよ菊は、そこまで踏み込んだことを訊ける立場にはない。

おそらくこれからも坊ちゃんは双眼鏡を持って遥雲閣の最上階(12階)の展望室へ通い続けるし、菊は離れた場所からそれを見送るしかないのだ。
遥雲閣の天辺から、坊ちゃんはどんな景色を見ているのだろう……。


そのころ、遥雲閣ではささやかな異変が起きていた。



■ 13階

夕暮れ時、最上階で客を降ろした遥雲閣のエレベーターの中には乗務員の華だけが残された。
終業間際で客も無く、つい気が緩む。

ふと上に目をやった華は、文字盤に見たことのない13番目の数字が浮かび上がっていることに気付く。

エレベーターの函は存在しないはずの13階に接続し、その扉を開こうとしていた。




次回は2016年4月号(3/19発売)掲載予定


【 今回の概要 】
大正時代のお話。大きな屋敷で女中として働く菊は、屋根裏で一体の人形を見つける。ゼンマイをまくと、この人形はまるで生きているように動き出す。翠星石と名乗るこの人形は、屋敷の坊ちゃんが探し求めている薔薇乙女とも何か関係がありそうだった。



【 今回のローゼンメイデン 】

ついにローゼンメイデンの新シリーズ、スタートです!
とにかく嬉しいです。

『Rozen Maiden』(アルファベット表記) → 『ローゼンメイデン』(カタカナ表記)
に続く、新シリーズのタイトルは『ローゼンメイデン0-ゼロ-』。


▼ 大正時代

今回の舞台は大正時代。

時は大正時代


この時代設定は意外でしたが、もっと意外だったのは、大正時代の雰囲気がローゼンメイデンと妙にマッチしているということ。「カラクリ人形」とか「舶来品」とか、そういう単語の1つ1つがことさらにしっくり来ます。


凌雲閣(作中では遥雲閣)も登場。
今後、重要な舞台の1つになりそうな予感です。
 → 凌雲閣の写真 <国立国会図書館所蔵写真帳から>


当時のキャラメルの価値
 → 森永ミルクキャラメルの歴史年表|森永製菓


ちなみにローゼンメイデンのシリーズは2002年にスタートしたので、今年で14年目。大正時代に直すと、もう来年にはこの時代が終わり、次の昭和が控えてるということになります。



▼ 翠星石

今回、唯一登場する薔薇乙女は翠星石。

翠星石とキャラメル
究極の少女アリスを目指す・・・それが薔薇乙女!


ただ、鞄に収まっていないことや人工精霊のスィドリームがいないこと等、不自然な点も多々見受けられます。
いつの時代も行動を共にしていたという双子の妹の姿もなく、また、最初は記憶もありませんでした。
誰かと契約しているのかも不明。


たとえば、まかなかった世界からまいた世界への帰り道、翠星石は足を滑らせて転落してしまいましたが《→ TALE 26》、そういう事故が起きたのかもしれません。

ローゼンメイデンTALE26 翠星石の滑落
nのフィールドはいろいろな時代、世界へとつながっている <TALE26より>

今後の展開と合わせ、気になります。



▼ 菊と華

屋根裏部屋の掃除中に翠星石を見つけ、ゼンマイを巻いたのが菊。
今回はこの菊と翠星石を中心に、ストーリーが展開しました。

菊には華という妹がいます。もしかしたら双子の姉妹なのかもしれません。
華は、当時の花形職業だというエレベーターガールをやっていて、今回のラストでは不思議な現象に遭遇します。

そういうわけで次回は、華も大きくストーリーに絡んで来そうな感じです。

菊と華
キクアンドハナ



▼ 坊ちゃん

薔薇乙女(ローゼンメイデン)を探し求める青年。
記憶のない翠星石がこのお屋敷にいたのは、あるいは、薔薇乙女を呼ぶ坊ちゃんの声が聞こえて、呼び寄せられたからなのかもしれません。

しかし坊ちゃんは未だ翠星石の存在を知らず、毎日双眼鏡を持って塔の展望室へ通っています。
(もしこの時代に金糸雀がいたら、傘で空中散歩している彼女の姿を双眼鏡で目撃できたかも?)

この坊ちゃんも、重要な登場人物の一人であることは間違いなさそうです。

坊ちゃん
坊ちゃん(菊視点)

坊ちゃんとは別に旦那様と呼ばれる方もいるみたいで、そちらが屋敷のご当主様なのだと思います。
翠星石がいたのは、この旦那様のガラクタ置き場。



▼ 新シリーズ0-ゼロ-

今回始まった「0-ゼロ-」と前シリーズとの関係も気になります。
独立した外伝的なものかもしれませんし、前シリーズへとつながっていく話かもしれません。逆に、前シリーズからの続きかもしれない。

というのも、ローゼンメイデンの世界には「nのフィールド」があって、時代や場所を飛び越えることができてしまい、大正時代だからと言って「過去の話」とは限らないので。


これも次回以降が待ち遠しいです。



▼ 押絵と旅する男

今回の冒頭、汽車の中で2人の男がやりとりするシーンから十二階への話の流れは、江戸川乱歩の『押絵と旅する男』を彷彿とさせます。というかおそらく、オマージュなのだと思います。

ちょうど今年で著作権が切れて青空文庫で無料公開されていますし、短編なので気軽に読めます。
瞼に焼き付くような鮮やかな場面描写が印象的です。

 → ◇青空文庫 『押絵と旅する男』 (ファイル形式:txt、html)

 → ◇曇天文庫 『二銭銅貨・人間椅子 他41編』 (ファイル形式:mobi、epub)


仮にこの短編小説のとおりだとすると、冒頭のシーンは今回より数十年後の未来の話で、年老いた奇妙な紳士のほうが坊ちゃん(の弟)ということになりますが・・・。うむ、この辺は意識せず気楽に。



▼ ウルトラジャンプ 2016年3月号

ウルトラジャンプ 2016年3月号 thumbnail

今回のローゼンメイデン0-ゼロ- 第1階が掲載されたのは『ウルトラジャンプ 2016年3月号』(集英社)。
この号は、ふろくも充実しています。

ふろくの1つミニクリアファイルは、家電の説明書や保証書などを収納するのに便利なA5サイズで、実用的でもあるのですが、使うのがもったいないくらい綺麗です。


また、懸賞のプレゼントもあります。
ウルトラジャンプ本誌に付いてるハガキで応募します。
応募締切は、2016年3月18日(金)(当日消印有効)。

ウルトラジャンプ 2016年3月号 懸賞応募 thumbnail



次回も楽しみです!!



<第1階>
掲載: ウルトラジャンプ 2016年3月号 / 2月19日(金)発売
ページ数: 35ページ
登場人物: 菊、華、坊ちゃん、お敏さん、翠星石
備考: カラー扉、表紙、ふろく、プレゼント懸賞



[ 関連ページ ]
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


ローゼンメイデン tale43

TALE43 / 平穏な日常

お願いよ、力を貸して・・・


  二つの世界を結ぶ点は、もう消えてしまったんだろう

  それでも時々、あの初めてのメールを思いおこす
  そして、あれは夢じゃなかったと確かめる



ジュンは時々、違う世界の自分を想う。
もう一人の自分にぜんまいを巻かれた、ローゼンメイデンの人形たちを思い出す。

彼らは、ある日突然こちらの世界へやって来て、同じように唐突に立ち去った。


それは現実に起きた出来事のはずだ。
でも、たとえ夢だったとしても別に構わない気もする。



■ 「平穏な日常」

現実にしろ夢にしろ、この接触はジュンの意識に変化をもたらす強烈な体験となる。
この出来事の後、ジュンは以前よりもずっとうまく現実世界と関わり合っていくことができるようになった、ようにみえる。

手元に残った結果だけをみれば、違う世界から来たジュンや真紅たちが空想や無意識によって生み出された架空の人物、ということにしてしまっても問題ないはずだ。

むしろ全ては夢だったということにして、フタを被せてしまった方が楽になれる。
生きた人形が存在するというオカルトみたいな事実を認めなくて済むし、アリスゲームという面倒くさそうなことにも関わらなくて済むのだから……。


それでもジュンは、やはり現実に起こった出来事として受け止める。
この記憶が現実世界から離れていかないように、しっかりと結びつけておく。

もしジュンが忘れてしまったら、かつてこの世界に真紅たちが存在したことを知る者はいなくなる。 それは――真紅が言ったように――最初から存在しなかったのと同じことなのかもしれない。


そうなれば、あちらへ通じる扉が開かれる可能性は永遠に失われてしまうのだ。



■ 鍵

ある時、斉藤さんはジュンのポケットからはみ出すストラップに気づく。

 「なあにソレ、カギ?」


ゼンマイだ、とジュンは答える。
ジュンは、真紅が残していったぜんまいをストラップにして携帯電話に結び付け、普段から肌身離さず持ち歩いていた。


ぜんまいと謎の人形、この2つの(どこからかやって来て、こちらの世界に残置された)物体が、ともすれば夢とも見分けがつかなくなりそうなあの一連の出来事を、現実世界に結びつける役割を果たしてくれているようだった。

物質の持つ現実的な重みと固定された形骸は、曖昧で流動的な人間の記憶や想いを補ってくれるし、持ち主を励ましてもくれる。


この2つの物質が存在している限りジュンは真紅達の存在を忘れることはないし、いつの日かまた、向こう側へ通じる扉を開いてくれるかもしれない。

そういう意味でこのゼンマイは鍵なのだ。 斉藤さんが指摘したように。


 「いつかまた会えるだろうか、僕の人形たち」

ジュンは強くローゼンメイデンたちのことを想う。


その晩、一本の電話がかかってくる。



■ テレビ電話

ジュンは何かの音で目を覚ます。
いつの間にか眠っていたようだ。

それが着信音だということに思い当たり、携帯電話に手を伸ばす。


ジュンを呼び続ける着信音は、いつもと違って聴こえた。
脳がまだ覚醒していないせいかもしれないし、あまり使わない機能でかかってきたのかもしれないし、特別な場所から想像もしない人が、尋常ではない用事でかけてきたのかもしれない。

ジュンは電話に出てみる。
その全てだった。


まず音声が入り、映像が送られてくる。
画面に映しだされたのはローゼンメイデンのドールたちだった。 翠星石と蒼星石、そして真紅がいる。

真紅達が、どこかの領域からかテレビ電話を使ってジュンにコンタクトしてきたのだ。 テレビ電話?


事態は入り乱れ、現実と夢が混ざり合っているようだった。
ジュンはとりあえず現実的な質問を投げかけてみる。

 「今かけてる携帯はいったい誰の…」

 「桜田くん?」


人間の少女が映る。
中学時代にほとんど接触を持たなかったまかない世界のジュンでも、柏葉巴だとすぐに分かる。
携帯電話の持ち主は彼女なのだ。

でもなぜ。

 「な…何で…? 柏葉と真紅たちが一緒に? まいた僕は?」


ジュンは、ますます混乱した。



■ 失われる「平穏な日常」

真紅が会話を引き取り、自分たちの置かれている状況を手短に説明する。

まいた世界のジュンが雪華綺晶に囚われてしまったこと、ジュンは力をくれるマスターでもあるので、ジュンを助けるためにはジュンの力が必要であるジレンマに陥ってること、つまり今頼れるのは(まかなかった)ジュンだけであること。

 「お願いよまかなかったジュン、力を貸して…」


ジュンはもちろん承諾する。
真紅の頼みだったし、なにより自分自身を救い出すために。

扉は開かれ、世界は繋がったのだ。


そこで電話の映像と音声が乱れる。
ノイズが混入する。

真紅たちの他にも、違う世界からこの世界に干渉しようとする者がいるのだ。


そして、ジュンの背後で人形が動き出す。




次回は13号(2/23発売)掲載予定


【 今回の概要 】
金糸雀と水銀燈が出会ったドールはニセモノ世界のホンモノだった。まやかし世界にいることの危険性を感じた金糸雀は、この局面の早急な打開を試みる。その頃、真紅たちはまかなかった世界とのコンタクトに成功するが、まかなかったジュンにも異変が忍び寄る。



【 今回の考察 】


▼ ニセモノ姉妹

まやかし世界で水銀燈と金糸雀が出会った人形は、雪華綺晶がローゼンメイデンを模して作った「姉妹」ということらしい。
つまり、水銀燈たちにとっては「ニセモノの姉妹」ということなる。


ニセモノ姉妹と本物姉妹


この人形は、実際は全然ローゼンメイデンの誰にも似ていない・・・ように見えます。
少なくとも姿形を本物に似せるつもりはなかったようです。

もともと実体を持たない雪華綺晶は、物質が作り上げる形状や容姿というものに興味がないのかもしれないし、うまく認識出来ないのかもしれません。

つまりこの人形の姿こそが、雪華綺晶がとらえて認識しているローゼンメイデンの姉妹たちの像なのかもしれない。


例えば、この「ニセモノ姉妹」には蜘蛛みたいにたくさんの手があり、襲ってくる。

これまで、雪華綺晶は一人で他の姉妹たちを相手に戦うことが多かった。

雪華綺晶vs他の姉妹連合
真紅たちにすれば、強大な力を持つ雪華綺晶に対抗するためのやむをえない共闘だったが……


「か弱い末っ子の自分を、姉たち全員が寄って集ってイジメた」という悲しみと恐怖の記憶が、雪華綺晶のローゼンメイデンの姉妹に対するイメージとなって、このたくさんの細い手がある人形を作り上げたのかもしれません。


そして、外の世界から遮断されて完全に雪華綺晶の主観だけで成り立つこの世界にあっては、現実社会で共有されている価値観や客観的事実などは意味をなさない。 イジワルな姉はニセモノであり(自分は本当の妹じゃないから冷たい仕打ちを受ける?)、雪華綺晶にとって都合の良い人形こそが本物の姉妹ということになる。


あるいはもっと辛辣で、「貴女たちはアリスという究極の少女を目指しているけれど、実際はこんなにも醜い存在」 という風刺と批難を込めた雪華綺晶から姉たちへ送るメッセージなのかもしれない。



▼ 雪華綺晶と「平穏な日常」

今回の話は2つの場面から成っています。

・まやかしの世界で水銀燈と金糸雀が出会った「ニセモノ姉妹」の話。 主観の支配する世界では「思い込み」だけでニセモノと本物が容易に入れ替わってしまう可能性もあるということ。

・まかない世界のジュンが、夢と現実の混ざり合うような領域で真紅たちからの電話を受けること。 結果、世界は繋がり扉は開かれる。

                 ◆       ◆       ◆




この2つの場面に共通しているのは、「本物とニセモノ」「現実と夢」といった対義的で明確に区分されいると思われる概念が簡単に混ざり合い、時に入れ替わってしまっているということです。


ニセモノは本物があって生まれてくるものですが、本物(という概念)もニセモノが存在して初めて成り立つ (本来的にモノが本物であることは当然で、「本物という概念」は必要ない)。

生と死も似たような合わせ鏡で、死がなければ生という概念が生まれないのかもしれません。
また、目が覚めなければ夢であると気づくこともないのかもしれない。

これらは片方の事象や概念を意識することでもう片方も認識することができて、その時になって初めて、それぞれの領域を確保・定義する必要が生じ、お互いを隔てる壁が築かれるのだと思います。


◇ 雪華綺晶

雪華綺晶は、この対となる概念の片方を致命的に欠損しているように見える。 つまり、本来は分かつべき概念の間に壁を築き上げることができないのです。
彼女は夢と現実の区別を付けることはなく、現実で叶わないことなら夢の中で叶えれば良いと考える。

物理的な器を持たない雪華綺晶は肉体に輪郭がなく、自分の領域というものをおそらくは把握できない。 空間と自分の境目をうまく見定めることができない。
そういう事情もあって、壁を作るという習慣が身につかなかったのかもしれない。


◇ 「平穏な日常」

壁を作れない雪華綺晶に対して、(「三匹の子ぶた」でレンガを積む末っ子みたいに)ひたすら外に対して壁を築いて来たのがまかなかった世界のジュンで、彼はまだ見たことのない自分の「限界」にまで想像だけで壁を作ってしまう。
それをまいたジュンに指摘されて、今度は意識的に壁を壊していくことにする。

ジュンが今まで築いてきた余計な壁を壊している間は、それでいろいろなことがうまく行くように見えていた。 壁を壊すことで世界が広がっていくのだから当然かもしれない。
今回の話では、世界を隔てる壁まで壊してしまう。 それによってもたらされるものが吉であるか凶であるかは、今後のお楽しみ・・・!


今回のサブタイトルは「平穏な日常」です。 それが失われようとしている回に「平穏な日常」というタイトルをつけるところは良いですね。

平穏ではない状態に移行して始めて「平穏な日常」というものを認識できる、といっているみたいで。


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<TALE 43>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2012年9号 / 1月26日(木)発売
ページ数: 27ページ
登場人物: まかなかった世界のジュン、水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、柏葉巴、雪華綺晶人形、雪華綺晶人形の姉妹、斉藤さん、山口店長
備考:



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 42
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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