山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン extra tale

EXTRA TALE / 番外編

けれど、消えてしまったのは貴女の方だったなんて


■ めぐをめぐる旅

 「第15509世界…ここも違った」


  どこにも見つからない
  まかなかった世界を出てから、もうずっと探し続けているけれど…


水銀燈の周りには暗黒の空間が広がり、無数の扉が浮かんでいるだけだった。
いろいろな世界に繋がっている無数の扉たち……。

nのフィールドは広大だ。
何のあてもなく、どこにいるのか分からないめぐを探し続けるのは無謀なことのようにも思えた。


 「わかっているわメイメイ、休めというんでしょ」

水銀燈は持っていた鞄に腰を降ろす。

 「末妹も、あんな死にかけをさらってどうするというのよ」


  だって私、死にかけだもの


ふと、めぐの言葉を思い出す。
それが呼び水となり、水銀燈の脳裏にめぐと過ごした日々の記憶が呼び覚まされる。



■ ラプンツェルの姫と天使

 「天使に導かれて、私は病院から消えるの」

と、めぐは言った。

 「魔法みたいにね」


それが切実な願いであることを、水銀燈は知っている。

めぐは難病を患っていて、死を抱えながら生きていた。
現代の医学で治療することは出来ない。

本人はそのことで、「生き損ない」と自分を揶揄する。
ちょうど花瓶に活けられた根を持たない切花のように、病院に入れられて、ただ意味もなく、どこにも繋がらない生を引き伸ばされているだけだ、と。


映画や小説では「不治の病の少女」は美しく描かれるものだ、儚げに、詩文的に。

 「現実には人生のお荷物、みぃんな、困るだけなのよ」


医療費も時間も精神的なものも、いろいろな負担が家族にのしかかる。
めぐの母親は、耐えきれずに父親から離れていってしまったという。

その責任を、めぐは感じずにはいられない。


ある時、めぐはお見舞いの花を水銀燈の髪に飾りつけながら、「花の生首」と表現した花瓶の切花を指して言った。

 「こいつらも私よりは、はるかにマシ」

自分とは違って、生きていても誰にも迷惑をかけないから……。


しばしば、そんなめぐの感情は歪められて吐き出されていた。
それは、父親や看護師への暴言となって現れた。

その歪められた感情の裏に隠されているものを、水銀燈は自身の経験から知っている。


 「貴女って本当は、父親が嫌いなんじゃなくて」

と、めぐをからかうように言う。

 「傍にいてほしいだけなんじゃないの?」


めぐが、ラプンツェルのお伽話について語ったのはその時だ。

めぐはどこへも行くことができない、まるで高い塔に幽閉された姫みたいに。
そして、姫と違って髪を伸ばして編んでも、王子様は助けに来てはくれない。
逆に、母親をはじめとして多くの人が、めぐから離れ遠くへ行ってしまった。

そんな時、目の前に天使が現れた。


 「ねぇ水銀燈」

めぐは懇願する。

 「いつか本当に…本当に私を迎えに来てね」


それはめぐの、本当に切実な願いだった。


  私をおいて、どこかに消えたりしないで



■ けれど、消えてしまったのは貴女の方だったなんて

 「行くわよ、メイメイ」

水銀燈は立ち上がる。
めぐを探す旅を続けなければならい。

水銀燈は自分に問う。

  私は、めぐを取り戻してどうしようというのかしら


 「わからないわ」


自分がめぐの望んでいる通り死を与えるのか、それとも他にめぐのために出来ることがあるのか、それは水銀燈にもわからなかった。


  それでも――




次回は11号(2/10発売)掲載予定


【 今回の概要 】
めぐを探してnのフィールドを彷徨う水銀燈が、病院で共に過ごした日々の回想をする。めぐを取り戻したところで何が出来るのかは分からない、何をしたいのかも分からない。それでも水銀燈は、めぐを取り戻さないわけにはいかないのだ。



【 今回の考察 】

今回は、水銀燈とめぐの話。
単館上映の映画みたいに静かで、重いテーマを扱った回でした。

今回の話しは好きです。
個人的には、今までのローゼンメイデンの話で最高の回と思えるくらいに。

EXTRA TALEの水銀燈
水銀燈のめぐを探す旅はまだ続く

今回のEXTRA TALE、単行本に収録される際、どこに入るのかもちょっと気になります。


▼ 柿崎めぐ

今回、めぐが何かを語りげに、頬を紅潮させている姿は印象的です。
いつも諦観したような態度だけど、本人も気がつかないところで、何か希望を持ち続けているのだと感じさせる表情です。

めぐの願いとは
死を願う時とは異なる、めぐの表情

TALE 29のラストで、病気の治っためぐが登場しますが、それも心のどこかで望んでいる姿なのだと思う。

オディールの時もそうだったように、雪華綺晶は望む夢を人に与えて利用する。
雪華綺晶は、めぐの心の奥底に押しやられていた(本人も気付いていない)その願望を、目ざとく見つけ出したのかもしれません。

病院で死を先延ばしにしながら、辛うじて命をつなぎ止めているようなめぐが、偽りであっても、すがっていける夢を見続けるのが、いけないことなのかは分からない。

例えば病気が治り、同年齢の人たちと同じように学校へ通う自分……それが、不治の病に囚われている現実から逃れるための一刻の幻だったとしても、結局最後には絶望が待ち受けているとしても、今のめぐにとっては、包まれてみる価値のあるものかもしれません。

「あなたの本当の望みを叶えられるのは、あの末妹かもしれないわね」 と、水銀燈は言う。 「私は、めぐを取り戻してどうしようというのかしら」


「めぐの本当の望み」が、雪華綺晶に与えられる幻のことか、それとも普段から望んでいる「綺麗な死」のことなのかは分からない。

どちらにしても自分では与えることが出来ないかもしれないと、水銀燈は感じているようだ。
それでも、めぐを取り戻したいと考える。


「黒い天使」と「白い天使」、めぐはどちらを選ぶのか……。
めぐをめぐる展開からも、目が離せません。




<EXTRA TALE>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2011年6・7合併号 / 1月6日(木)発売
ページ数: 23ページ
登場人物: 柿崎めぐ、水銀燈



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 31
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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2011.02.16 05:42 | 山とスキーとローゼンメイデン

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