山とスキーとローゼンメイデン

登山、スキーについてのブログです。 また、ローゼンメイデンについての記事も書いています。

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ローゼンメイデン tale24

TALE24 / 二人のジュン

世界は無数に選び取れるのだわ


■ ジュンとジュン

 「受け取れ! まかなかった僕!」

まいたジュンは、持ってきた鞄を開く。
中には、やはり真紅の本体が入っていた。

雛苺のローザミスティカとベリーベルも一緒にいる。


 「すぐにローザミスティカを入れれば、きっと息を吹き返す」

まいたジュンは、まかなかった自分に真紅の命運を委ねる。

 「急いでくれ」


 「ぼっ…僕がやるのか?」

まかなかったジュンは戸惑う。

今さっき、自分の組み立てた真紅が目の前で粉々に崩壊したばかりなのだ、レプリカゆえの必然の結果であったにせよ。
その光景は、生々しく網膜に焼き付けられている。


 「できるよ」

まいたジュンは、まかなかったジュンを励ます。

 「だろ?」



■ 真紅の目ざめ

まかないジュンは意を決して、作業に入る。
慎重に首をとりつける。

そして、ローザミスティカを真紅の顔の前にかざす。


 「きっと出来る…大丈夫」

まかなかったジュンは、今度は、自分で自分を励ます。
こうやって自分のことを信じて励ませるようになったのも、まいた世界の自分や真紅のおかげだ。

ありがとう


ジュンは、ローザミスティカを真紅の体に定着させることに成功する。

あとは……。


 「最後にこれを巻くのは、やっぱりお前の役目だ」

まかなかったジュンは、まいたジュンに真紅とそのぜんまいを託す。

 「真紅たちを頼んだぞ」


2人のジュンは違う選択をした。
それぞれが選んだ道には、それぞれの役割と責任があるのだ。


 「わかった」

まいたジュンは、真紅のぜんまいを巻く。

真紅は静かに目をさます。



■ 道を選べるのは人間だけじゃない

 「さあ…こちらも話を戻そう」

蒼星石は、真紅の復活を見届けてから水銀燈に話を切り出す。

 「約束通り、僕のローザミスティカを水銀燈、きみに…」


しかし、水銀燈は受け取ろうとしない。


 「水銀燈…?」


 「興が削がれたわ、今日のところは見逃してあげる」

姉妹の中で最もローザミスティカに執着しているように見える水銀燈が、一時的にしろ無条件で受取りを留保するということは、今までの彼女の言動からは考え難いことだ。

おそらく当の水銀燈も、自分の気持ちの本当のところを掴みかねているはずだ。


 「ただ、少し考えたいことができただけ…」

と水銀燈は言う。

 「このゲーム、正攻法だけでは勝てないのかもしれない…」


雛苺は自分の意思でローザミスティカを真紅に差し出し、その後もずっと真紅を守っていた。
また翠星石は文字通り命をかけて、雪華綺晶から蒼星石を取り戻した。

アリスゲームは姉妹の潰し合いだと信じ(あるいは信じようとして)、そしてやっとの思いで奪いとった蒼星石のローザミスティカにも、ひたすら拒み続けられた水銀燈にとっては、それらの事実は衝撃的だった。


今さら自分のやり方や考え方を変える気は毛頭ない、と水銀燈は言う。
アリスゲームには、悲しく残酷な側面があるのは事実なのだから……綺麗に繕ったところで、ローゼンメイデンである以上は、最後には姉妹から魂のかけらを奪うことになる。
それならば、目的地への最短距離を通ったほうがいい……はず。

ただ、否定し続けてきた真紅のやり方が有効な手段の1つであると、今になって認めざるを得なくなったのも事実であった。


真紅がジュンに言った「世界は選択肢に満ちている」とは、何も人間に限ったことではなく、ドールにも当てはまることなのだろう。


 「いいこと? 貴女は私のもの」

水銀燈は、ローザミスティカは預けてあるだけだと蒼星石に念を押すと、めぐを探すために何処かへと飛び去ってしまう。


 「…やれやれ、僕も相当、往生際が悪いな」

と、蒼星石は双子の姉に向かって言う。
翠星石は泣いて喜ぶのだった。


それらのやりとりを、ラプラスの魔は離れた場所から見守っている。



■ それぞれの世界へ

 「お別れだな」

まかなかったジュンは、ローゼンメイデンのドールたち、そしてまいた世界のジュンに別れを告げる。

 「少しさみしいよ」


ジュンは蒼星石のマスターとなっていたが、契約の指輪はまいた世界の自分に譲渡したという。


真紅は、まかなかったジュンの手をとって声をかける。

 「どうか覚えていて、ジュン…」


  覚えていてね
  貴方の作ったお人形のことを…

  忘れそうになったら 貴方の胸の奥に目をこらしてみて
  子どもの頃の日々と一緒に
  薔薇乙女はそこに ちゃんといるのだわ
  貴方が覚えていてくれれば いつだって

  そう
  世界が見えない選択肢に満ちているようにね

  私たちは
  貴方の永遠のお人形



まいたジュンは、まかなかったジュンにドールたちとまいた世界に戻ると告げる。

 「じゃあ行くよ まかなかった僕」


 「僕はもう一方の世界へ… まかなかった世界へ」


ローゼンメイデンの物語は、巻くことを選んだジュンの物語であり、
まかなかったジュンには、違う物語が待っているはずだ。


 「さあ、行くか」




次回は24号(5/13発売)掲載予定


【 今回の概要 】
ジュンがぜんまいを巻き、真紅は本当のボディで蘇る。まいたジュンは当初の目的を達成し、まかないジュンも寄って立つべき核のようなものを自らの内に形成するに至る。2人のジュンは、それぞれ自分の世界への帰途につく。



【 今回の考察 】

水銀燈について

今回、蒼星石のローザミスティカを手にできる立場にありながら、水銀燈は保留する。
結果だけ見れば、真紅がかつて雛苺に対してとった姿勢と同じだ。このとき水銀燈は、雛苺のローザミスティカを奪わなかった真紅をイカれてると言い、神聖なアリスゲームを穢したと非難する。(PAHSE8)
水銀燈自身は、あくまで今回は“保留”であると信じていて、真紅のやり方を踏襲してしまっていることに気づいていない。
当人は自分のやり方を貫いていると思っているが、明らかに無意識の自己矛盾に陥っている。

というのも、無意識の海での水銀燈は、姉妹からローザミスティカを奪った自分を穢れてるといい、このまま壊れても構わないとさえ言っている。(PHASE29)
意識下では自分のやり方には否定的で、アリスゲームに勝ち抜けないことに気づいている風もあるのだ。

水銀燈は自分の内にいるこの“反逆者”には気づいていない。
今回の保留という行動は、雛苺や翠星石の行動によって揺り動かされて、この無意識の反逆者から心理的な影響を受けた結果なのだと思う。



現在の状況 (TALE24終了時点)
各ドールが持っているローザミスティカ(以下RM)の数と契約しているマスター

水銀燈: RM1個(水銀燈のRM)、マスター(柿崎めぐ)
金糸雀: RM1個(金糸雀のRM)、マスター(草笛みつ)
翠星石: RM1個(翠星石のRM)、マスター(なし)
蒼星石: RM1個(蒼星石のRM)、マスター(まいた世界のジュン)
真紅: RM2個(真紅のRM、雛苺のRM)、マスター(なし)
雛苺: RM0個、マスター(なし)
雪華綺晶: RM1個(雪華綺晶のRM)、マスター(オディール? なし? ― 契約の指輪は自分で持っている ―)

これから予想される契約

真紅とまいたジュン
→「まず僕は真紅を救い出す、そしてもう一度薔薇の契約を結ぶ」 (TALE 2 まいたジュンのメール)
翠星石とまいたジュン
→「翠星石のマスターはチビジュンだけですから」 (TALE21 翠星石のセリフ)



【 その他 】

「ローゼンメイデン」書店用POPプレゼント!! 抽選で10名に

ローゼンメイデン 書店用POPプレゼント

ヤングジャンプでのローゼンメイデン連載2周年とコミックス第3巻の大ヒットを記念して。
応募締切りは 4月22日木曜日 (当日消印有効)



<TALE 24>
掲載: 週刊ヤングジャンプ 2010年19号 / 4月8日(木)発売
ページ数: 26ページ
登場人物: まかなかったジュン、まいたジュン、水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、ラプラスの魔

ヤングジャンプ 2010年 4/22号 (Amazon)



[ 関連ページ ]
前回 ローゼンメイデン TALE 23
ローゼンメイデン原作の全話レビュー


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